2017年9月に亡くなった名優ハリー・ディーン・スタントン(『パリ、テキサス』『レポマン』『ツイン・ピークス』)最後の出演作『ラッキー』が、2018年3月17日(土)より、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク渋谷ほかにて全国順次公開される。 本作は名バイプレイヤーとして知られるジョン・キャロル・リンチが、全ての者に訪れる人生の終わりについて描いた初監督作品。現実主義で一匹狼、すこし偏屈なラッキーというキャラクターはハリー・ディーン・スタントンの人生になぞらえて当て書きされており、劇中に登場するエピソードはスタントンの体験に基づくもの。また、ラッキーの友人として映画監督のデヴィッド・リンチが出演。実際、長きにわたる友人である彼らの”素”を思わせるやりとりを見ることができる。
『ラッキー』一般先行試写会5組10名様ご招待!
本作の公開に先駆け、下記日程において一般試写会の開催が決定いたしました!
皆様のご応募を心よりお待ちしております。※応募締切:2月25日(日)
【日時】3月5日(月)20:15開場 20:30開映 (上映時間88分)
※試写会後にアンケートのご協力をお願い致します。
【場所】アップリンク渋谷(東京都渋谷区宇田川町37-18 トツネビル1F)
プレゼントは終了いたしました。たくさんのご応募をいただき、誠にありがとうございました。
偉大な俳優へのラブレター
この作品の脚本は、ハリー・ディーン・スタントンのアシスタントであり古くからの友人であるローガン・スパークスとドラゴ・スモーニャにより2015年に執筆された。
作品の構想はアリゾナからロサンゼルスに向かう車の旅の途中で生まれ、友人であり師匠であるスタントンに捧げたいと、ふたりが彼から聞いた逸話をもとにアイデアを膨らませていった。俳優として活躍するジョン・キャロル・リンチは、15年来の友人だったドラゴから、当初ダイナーの店主ジョー役のオファーを受け、台本を読むことになる。この脚本を読みハリーと共演できることと、そして、「台詞のかけ合いだとか、キャラクターたち、コミュニティ感覚が気に入った。この小さな町は誰をも包み込んでくれる」とたちまちこの物語に惹かれ、リンチは参加を快諾。その後、制作陣はハリーの友人に監督してほしいと思っていたが、その人物が多忙のため、リンチがかねてから監督をやりたいと知っていたドラゴは、リンチに監督をすることを提案した。
スパークスとドラゴ、そしてリンチの3人は一部を再構成して、新しい要素を書き足し、シナリオに肉付けをしていく。ある日突然、「自分はあと数週間、数か月しか生きられないかもしれない、数年、数十年なんてない」と思い知らされたラッキーというキャラクターはスタントンへの当て書きであり、ハリーの人生を参照にしている。
映画の冒頭、ラッキーは行きつけのダイナーに入っていき、カウンターにいる店主のジョーに「ろくでなし(ナッシング)め」と言い、ジョーは「そっちこそ」と答え、ラッキーは「ありがとよ」と言う。これは、スタントンがロサンゼルスのアゴーレストランに行くたびに行われている、彼とそのレストランのボーイのやりとりからとられている。
盟友デヴィッド・リンチの参加
脚本家のローガン・スパークスは、ハリーと長い付き合いを持つデヴィッド・リンチとエド・ベグリーの参加を実現させた。彼らの役も、それぞれの当て書きである。ジョン・キャロル・リンチ監督は、この作品に入れ込みとても協力的だったデヴィッド・リンチとの撮影について、素晴らしい現場だったと述懐する。
「ハリーが脚本にあるシーンのことで苦労していたときがあって、私はなぜその台詞がそこにあるのか彼に説明した。ハリーは納得していなかった。現場ではよくあることだが、俳優が同僚の俳優に説明を求めたりする。今回は、それがデヴィッド・リンチだった。ハリーがデヴィッドに向かって言った『あんたはこれ判るかね』。するとデヴィッドが言う『分かるよ、ハリー』。ハリーは言う『こりゃいったいどういう意味だい』、デヴィッドは私を見て言う『話に入ってきてくれ』。彼はハリーの方を向くと、静かな同情を湛えながら言った『私は答える立場にないんだ、ハリー』。彼の敬意、私に任せてやろうという気づかいは嬉しかったね!ハリーはそのシーンを演じ、我々は次に進んだ」。最終的にこのシーンは編集の段階でカットされ、スタントンの判断は正しかったことが証明された。その他のキャストは、リンチ監督やドラゴ・スモーニャをはじめとしたこのプロジェクトの人々を介して、数珠繋がりのように決まっていった。
トータル18日間、ハリー・ディーン・スタントンを気遣う撮影
スタントンが高齢のため、この企画はすべてがスピーディーに運ぶように気を配られた。撮影はロサンゼルスに住むスタントンを気遣い、ロサンゼルス北部にある荒野で行われた。その後、終盤の1日をアリゾナ州ケーブ・クリークで撮影し、荒野のショットや巨大サボテン弁慶柱を映像に収める。トータル18日の撮影だった。
週5日の撮影で、なるべく週数が少なくなるようスケジュールを組み、ハリ ー・ディーンのエネルギーを温存するよう心がける。荒野を歩くシークエンスの繰り返しで、スタントンは38度の炎天下を5キロ歩き、「持てるものすべてを我々にくれた」とリンチ監督を驚嘆させた。
銀行強盗もしない、飛行機から飛び降りもしない、人助けもしない。
「人生の終わり」にファンファーレは鳴り響かない
全ての者に訪れる「死」
90歳の気難しい現実主義者ラッキーがたどり着いた、ある答え。
ストーリー
神など信じずに生きてきた90歳のラッキーは、今日もひとりで住むアパートで目を覚まし、コーヒーを飲みタバコをふかす。いつものバーでブラッディ・マリアを飲み、馴染み客たちと過ごす。
そんな毎日の中でふと、人生の終わりが近づいていることを思い知らされた彼は、「死」について考え始める。子供の頃怖かった暗闇、去っていったペットの亀、「エサ」として売られるコオロギ―小さな街の人々との交流の中で、ラッキーは「それ」を悟っていく。
作品タイトル:『ラッキー』
監督 :ジョン・キャロル・リンチ(『ファウンダー ハンバーガ帝国のヒミツ』)
出演:ハリー・ディーン・スタントン、デヴィッド・リンチ、ロン・リビグストン
2017/アメリカ/88分/英語/1:2.35/5.1ch/DCP
配給:アップリンク
公式サイト:http://www.uplink.co.jp/lucky/
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2018年3月17日(土)新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷ほか全国順次公開