『愛がなんだ』『アイネクライネナハトムジーク』の今泉力哉監督最新作『his』が2020年1月24日(金)より新宿武蔵野館ほかにて全国公開となる。
本作で映画初主演を務めるのは、ドラマ「偽装不倫」(NTV)で多くの視聴者の心を掴んだ”塩顔イケメン令和代表”等と話題沸騰中の宮沢氷魚。本作では周囲にゲイだと知られることを恐れ、東京からひとり、田舎にやってきた主人公・井川迅(いがわ しゅん)を演じる。そして、迅の忘れられない恋人・日比野渚(ひびの なぎさ)には、現在、U-NEXTにて配信中のオリジナル配信ドラマ「すじぼり」で連続ドラマ初主演を務めるなど話題作への出演が絶えない藤原季節。
恋愛映画の旗手・今泉力哉監督が、2人の青年の恋愛を題材に、「好きだけではどうしようもない」、恋愛の‟その先”の物語に挑んだ意欲作だ。
そして12月11日(水)、今泉力哉監督登壇の試写イベントが開催された。
映画『his』試写会イベント
日時:12月11日(水)20:45~
登壇者(敬称略):今泉力哉監督、森直人(映画評論家)
会場:神楽座
【イベントレポート】
上映終了後、熱い拍手が沸き起こるなか、舞台上に登壇した今泉力哉監督。
まずこの作品の成立の経緯として、今夏放送された前日譚のドラマと映画とあわせてのオファーを受け、脚本を手掛けたアサダさんとTwitter上での交流を経て、企画が実現に向けて動き出したが、その後「おっさんずラブ」が空前の大ブームとなり、まるで後ノリになってしまった、と苦笑まじりに語った。恋愛映画の旗手と呼ばれ、ままならない恋愛を描き続けてきた監督が、初めての題材として選んだ男性同士の恋愛について「今まで、あえて扱うのを避けていた」と語り、その理由として「主題として扱わなくても、群像劇の登場人物の中に当たり前に登場させた方が、差別的にはならないのでは?という考えがあった」と明かした。
また、「分かりやすくドラマチックにつくれるものは、あえて自分が撮らなくてもいいかなと思っていた」と胸中を語り、男性同士、裁判、親権を争うという類似点から『チョコレートドーナツ』と重ねて語られること、連想されることを避けたいと意識をしていたことを打ち明け主人公が生きる時代も、母親が主要な役どころとして登場する点など設定も変わるため、ちゃんと差別ができたのではないかと自信をのぞかせた。
話は恋人同士を演じた2人のキャスティングの話題にうつり、初めて仕事をした宮沢氷魚さんに関して監督は、「実年齢が若いので、ちゃんと迅に見えるのかなという不安が実はあった」と語った。しかし、宮沢さん自身がまじめに作品に取り組む姿を見て、安心したという。逆に藤原季節さんとは『アイネクライネナハトムジーク』でも一緒に作品をつくりあげており、「氷魚と季節、この組み合わせでないと、成立しなかったなと思っています」と、2人の相性の良さに全幅の信頼を寄せる場面も。
今回は、監督に専念し、脚本家を別にたてるスタイルを採用したためオリジナル脚本の時と比べて、撮影現場で驚くことが多かったと語る監督。「こんなに登場人物の感情の揺れ幅を大きくしない」と語る通り、本作のクライマックスには藤原さん演じる渚が感情を高ぶらせ、抑えきれない気持ちを表現するシーンが登場します。そのシーンの撮影中、監督が予期せぬ演技を藤原さんが披露し、それを目の当たりにした監督は驚愕したそう。「もう少し低い温度や異なるバリエーションも撮影したのですが、結果的に採用したのは、季節が最初に演じた温度の高い芝居でした」。他にも、再会のうれしさから思わず抱きしめてしまうといった何気ないシーンも、監督としては「こんなに簡単に人に触れてもいいのだろうか?」と驚き連続だったようで、今までの今泉作品の中では珍しく高いテンションで、感情の高ぶりが表現されているシーンが数多く見られるのが本作の見どころのひとつ。「二人だけの空間で、ふらっとキスをする」といったシーンは、自分ではまず書かないがこの映画の温度の高さゆえに生まれたと熱っぽく語った。
また、自身の部屋や近所の公園など身近な場所、狭い空間で映画を撮り続けてきた今泉監督が、近作『アイネ~』では仙台ロケ、本作では岐阜県白川町とついに東京を脱出し、地理的にも心理的にも広がりが出てきたと司会から指摘されると、「分からないことを理解しようと思う気持ちは常にある。リアルな生活の中で、主人公が成長してハッピーエンドというばかりではないから広がっていっても、個人を深堀りするというスタンスは変わらない」と自身の演出の本質を語った。
最後に「映画の脚本を書き、撮影現場に赴き、その後編集作業という“苦痛”に近い膨大な時間を経て、お客さんに届いて、反応が返ってきた時にようやく映画が完成する」と語る今泉監督は、「時間をかけて生み出した1本だからこそ、SNSだけではなくて、リアルに顔を突き合わせて感想を言うなどの口コミが本当に強いので、SNSとリアルと両方で応援してくれたらうれしい」と締めくくり場内をあとにした。
ストーリー
井川迅は周囲にゲイだと知られることを恐れ、ひっそりと一人で田舎暮らしを送っていた。そこに、6歳の娘・空を連れて、元恋人の日比野渚が突然現れる。「しばらくの間、居候させて欲しい」と言う渚に戸惑いを隠せない迅だったが、いつしか空も懐き、周囲の人々も三人を受け入れていく。そんな中、渚は妻・玲奈との間で離婚と親権の協議をしていることを迅に打ち明ける。ある日、玲奈が空を東京に連れて戻してしまう。落ち込む渚に対して、迅は「渚と空ちゃんと三人で一緒に生きていたい」と気持ちを伝える。しかし、離婚調停が進んでいく中で、迅たちは、玲奈の弁護士や裁判から心ない言葉を浴びせられ、自分たちを取り巻く環境に改めて向き合うことになっていく――。
作品タイトル:『his』
出演:宮沢氷魚 / 藤原季節
松本若菜 松本穂香 / 外村紗玖良 中村久美
鈴木慶一 根岸季衣 堀部圭亮 戸田恵子
監督:今泉力哉
企画・脚本:アサダアツシ
音楽:渡邊 崇
製作プロダクション:ダブ 企画製作:メ~テレ
製作:映画「his」製作委員会
日本/5.1ch/カラー/127分
配給:ファントム・フィルム
公式サイト:https://www.phantom-film.com/his-movie/
公式Twitter:@his_movie
コピーライト:(C)2020映画「his」製作委員会
2020年1月24日(金)より、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
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