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『すばらしき世界』音楽家・林正樹「Under The Open Sky」ピアノソロ演奏本編コラボレーション映像解禁

すばらしき世界

直木賞作家・佐木隆三氏の小説「身分帳」を原案とした、西川美和監督最新作『すばらしき世界』(全国公開中)。

西川美和監督が、初めて実在の人物をモデルとした原案小説をもとに、その舞台を約35年後の現代に置き換え、徹底した取材を通じて脚本・映画化に挑んだ。本作は、生きづらい社会の中で、一度レールを外れても懸命にやり直そうとする実在の男と、彼を追う若きテレビマンのカメラを通して「社会」と「人間」の“今”をえぐる問題作。

音楽を担当するのは、日本屈指のジャズ・ピアニストとして、渡辺貞夫、菊地成孔、椎名林檎らのプロジェクトに参加している林正樹。演奏家としても小野リサ、椎名林檎、⻑谷川きよしをはじめ多方面のアーティストと共演し、多種多様な音楽的要素を内包した、独自の諧謔を孕んだ静的なソングライティングと繊細な演奏が高次で融合するスタイルが、国内外で評価されている。

今回解禁された映像は、林自らが自宅の作業部屋で撮影されたもの。作品完成後、西川監督と連絡をとる中で、監督が自ら「映画の為に作られた楽曲が少しでも多くの人の目に触れるように」と林に演奏映像を依頼し、実現した。

披露されたのは『すばらしき世界』のエンディング曲「Under The Open Sky」。映画『すばらしき世界』オリジナルサウンドトラック4曲目に収録された「The Open Sky」のロングアレンジバージョンだ。

エンドロールの曲をどうするか決まっていなかったときに、はこの曲のバリエーションをいれるのはどうかと西川監督に提案、それをエンドロールにしたいという話になったという。「映画って最後は主題歌が流れるパターンが多いものですから。こちらは「Under The Open Sky」と本作の英題をつけました、大変気に入っています」と林自身も太鼓判を押す。

は「『映画音楽はひとつの夢』といろんなインタビューで語ってきました、最初になんていいお話が舞い込んできたんだろう!」と感慨もひとしおだった様子で、「自分の音楽人生にとって素晴らしい体験でした、フライング気味ではありますが、また西川作品に携われたら望外の幸せです。」と振り返っている(『すばらしき世界』劇場用パンフレットより抜粋)。

解禁された本編コラボレーション映像は、雪深い旭川刑務所から13年ぶりに出所してきた役所広司演じる三上正夫の姿から始まる。「今度ばっかりは堅気ぞ」と決意を新たに、社会での新しい生活をスタートさせ役所に出向いたり、小さなアパートでミシンをかけたりする様子がうかがえる。そこには三上を支える弁護人の庄司夫婦(橋爪功梶芽衣子)や三上に密着取材をするテレビマン津乃田(仲野太賀)の姿が。林が奏でるメロディにのって一歩踏み出す三上の健気な姿が映しだされている。

そして、西川監督が語った4,000字を超える新規書き下ろしのライナーノーツ(16P/別冊8P)には、林との出会い、曲作りの苦労などが事細かに語られている。役所広司演じる三上がサッカーをするシーンで使われた楽曲では特に何度もディスカッションを繰り返していたが、うまくハマらず、林に「一回試しに思うがままに弾いてみてください」とお願いすると結果はワンテイクOKとなったといい、西川監督は「ほらね。音楽の神様に愛されている人はこういうことを起こしちゃうんですよ」と振り返っている。

エンディング曲について、西川監督は「刑務所を出所して、東京の片隅の古いアパートに引っ越してきた三上が、初めて自分の手で米を研ぎ、小さな窓から洗濯物を干し、ゴミ捨て場で分別を習い、温かく炊けたご飯に卵を落とし、買い物をし、縫い物をし、カーテンをかけ、近所の人に挨拶をする―。絃楽器のピチカートから始まるその楽曲は、まるで小さな子供がおっかなびっくり歩き出すようなあどけなさの中に、生きる悲しみと喜びを編み込んだ味わい深い曲だ。エンディング曲はそれしかないと全員が思った。」と言及。

最後に「映画音楽を作ってくれた全ての人に心からの敬意と感謝を伝えたい。エンディングテーマを聴き終わって劇場から出て来た人が、頭上に広がる空を少しだけ広く感じられれば良いと思っている。」と締めくくっている。

映画を観た後には『すばらしき世界』オリジナルサウンドトラック(現在発売中)で心地よい音楽の余韻に浸ってみては。

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