2020年に米NBCで放送開始の最新海外ドラマで、ある日突然他人の心の内を聞くことができる能力を持ったヒロインを主人公に描くミュージカルコメディ「ゾーイの超イケてるプレイリスト」(原題:ZOEY’S EXTRAORDINARY PLAYLIST)が、海外ドラマ専門チャンネル『スーパー!ドラマTV』にて3月より独占日本初放送中だ。
この度、好評を記念して、これまで放送した1話から5話までをイッキ見できるキャッチアップ放送<まだ間に合う! ゾーイの超イケてるプレイリスト>が決定した。
<まだ間に合う! ゾーイの超イケてるプレイリスト>
第1話~5話:【二カ国語版】4/24(土)12:00~17:00 【字幕版】4/24(土)23:00~28:00
<まだまだ間に合う!! ゾーイの超イケてるプレイリスト>
第1話~5話:【二カ国語版】5/22(土)12:00~17:00 【字幕版】5/22(土)23:00~28:00
第6話~10話:【二カ国語版】5/22(土)12:00~17:00 【字幕版】5/22(土)23:00~28:00
まだ観ていない方、もう一度観たいかたもぜひ、この機会にお楽しみいただきたい。また、この発表に合わせて、映画・海外ドラマライターの幕田千宏氏と今祥枝氏、海外ドラマ評論家の池田敏氏による、作品やキャストの魅力、劇中に登場する楽曲についてなど、本作の見どころを解説したレビューが公開された。
『ゾーイの超イケてるプレイリスト』おすすめコラム①
キャラクターの心情と音楽が完璧にフィットする心地良さは、まさに快感!さらに、ヒット曲の劇中アレンジにも注目!ある日ひょんな事から他人の秘められた心情が歌になって聞こえてくるという特殊能力を得てしまったヒロイン、ゾーイの姿を描くミュージカル・コメディ「ゾーイの超イケてるプレイリスト」。音楽ものには秀作が多いが、このシリーズも間違いなくそのひとつに数えられるだろう。
ヒットチューンをふんだんに取り入れたミュージカル・シリーズといえば「glee/グリー』を彷彿とさせるが、本作では他人の心情が歌として聞こえてくるという点がポイント。つまり劇中のエピソードや登場人物の心情と音楽とがより密接に絡み合い、共感性が増幅されているのだ。落ち込む娘を励ましたい父親が歌ったシンディ・ローパーの「True Colors」に涙し、ゲーム界のレジェンドの登場にミュージカル『ジーザス・クライスト・スーパースター』の「Superstar」で迎え入れるというこの上ない絶妙チョイスに爆笑し、自信を失いかけていた女上司がケイティ・ペリーの「Roar」を堂々と歌い上げる様に見ている側も奮起する。心の動きと音楽が完璧にフィットした快感は他の作品にはない心地良さだ。
シリーズに登場する楽曲は80・90年代くらいまでの曲が比較的多い印象だが、もちろん最新のヒットチューンからミュージカルの名曲に往年のTVシリーズのテーマ曲まで幅広く取り入れられている。クラシック・ナンバーが多めなのもドラマを幅広い世代に届けるという視点からすると非常に有効だと言えるだろう。長く愛される名曲はそれだけ知る人も多く、視聴者の記憶を刺激する。若い世代にとってもここ数年、80・90年代のカルチャーがクールなものと捉えられているので受け入れられる土壌は整っている。気になった曲はすぐにデジタルデバイスでチェックできる今の時代にも上手くフィットしているのがこのドラマの強みだ。
音楽的な面で言うとやはり楽曲アレンジにも注目したい。ホイットニー・ヒューストンのヒット曲、「I Wanna Dance With Somebody(Who Loves Me)」などは、原曲のポップチューンから一転、かなり物悲しいアレンジがされていたりするが、それがまた歌詞の内容とシチュエーションにはマッチしていてなんとも言えない説得力を生み出している。メーガン・トレイナーの「No」も使用されたシーンはわずかながら、原曲以上の高速NOの連発に、「無理無理無理無理!」なキャラクターの心情が絶妙に表現されていた。こうしたアレンジに思わず原曲はどうだったかな?と知りたくなるのも本作の醍醐味だ。
映画・海外ドラマライター 幕田千宏
『ゾーイの超イケてるプレイリスト』おすすめコラム②
ありそうで無かったガールズドラマの進化形「ゾーイの超イケてるプレイリスト」は、頭の中で周囲の人々の心が音楽となって聞こえるゾーイ(ジェーン・レヴィ)がヒロイン。そんな彼女の“脳内プレイリスト”は、若いファンには新鮮、そして大人にとっては懐かしい、ガールズドラマの進化形だ。
恐らく本作に大きな影響を与えた米国ドラマは「アリー my Love」(1997~2002年)と「glee/グリー」(2009~2015年)だ。「アリー my Love」の主人公アリー(カリスタ・フロックハート)は、妄想をよく見がち。当時まだドラマでは珍しかったCGを駆使し、謎の赤ん坊“ダンシング・ベビー”などを描いた。ゾーイの世界で人々が歌って踊る、そのヒントになったのかも。「glee/グリー」はやはり大ヒットした青春ミュージカルコメディ。過去や近年のヒットソングを満載し、幅広い年齢層に支持された。
「ゾーイの超イケてるプレイリスト」は、「glee/グリー」以上に選曲に凝っている。第1話でモー(「glee/グリー」で注目されたアレックス・ニューウェル)は、ジュース・ニュートンによる「朝の天使(Angel of the Morning)」のカバーを歌うが、この曲はMTVで初めて流れたカントリーミュージック。フレッシュなドラマ「ゾーイの超イケてるプレイリスト」の始まりにぴったりだ。他にも、第1話ではザ・ビートルズの「ヘルプ!」、第2話ではホイットニー・ヒューストンの「すてきなSomebody」、第3話ではザ・ローリング・ストーンズの「サティスファクション」、第4話ではアンドレア・ボチェッリの「君と旅立とう(コン・テ・パルティロ)」など、過去から現在につながる音楽の歴史を踏襲している。
斬新なのはゾーイが働くIT企業のオフィス。社員がどこにいてもいい最新スタイル、“フリーアドレス”なのだ。ゆったりとしているから、社員たちがいきなりダンスを始めるのも可能(?)だ。ちなみに “フリーアドレス”はコロナウイルス禍で、ソーシャルディスタンスの確保に有利とされる。本作は時代の一歩先にも進んでいく。
「ゾーイの超イケてるプレイリスト」には、ゾーイの上司ジョーン(「ギルモア・ガールズ」でママ役を演じたローレン・グレアム)や両親(「The OC」のピーター・ギャラガーと映画「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3」のメアリー・スティーンバージェン)という年上の世代も重量な役割で、ゾーイら若い世代と交流。過去から現在、そして未来を結んだタイムカプセル。今までありそうで無かったかもしれない、家族そろって楽しめるガールズドラマだ。
海外ドラマ評論家 池田敏
『ゾーイの超イケてるプレイリスト』おすすめコラム③
『ラ・ラ・ランド』の振付師、マンディ・ムーアによるストーリーを伝えるダンスの魅力『ゾーイの超イケてるプレイリスト』の大きな魅力の一つは、よく知る楽曲のアレンジに乗せてキャスト自身が歌って踊る、本格的なミュージカルシーンの素晴らしさ!本稿ではミュージカルの要素の一つであるダンスと振り付けに注目し、いかにこの作品にとって重要な位置をしめているのかを解説していきたい。
印象的な振り付けを手がけているのは、『ラ・ラ・ランド』の冒頭の高速道路のナンバーほか数々の名シーンを生んだ振付師でダンサーのマンディ・ムーア。本作で2020年のプライムタイム・クリエイティブ・アート・エミー賞スクリプテッド作品部門の振付賞を受賞したムーアは、リアリティ・コンペティション番組「アメリカン・ダンス・アイドル」や「ダンシング・ウィズ・ザ・スターズ」などでもおなじみ。「glee/グリー」や「モダン・ファミリー」のほか、セリーヌ・ディオンなどのステージショーにも携わっている。2017年にはゴールデングローブ賞、アカデミー賞、グラミー賞、エミー賞の全ての授賞式のために振り付けたことで記録を作った。
などと経歴を語らずとも「ゾーイの超イケてるプレイリスト」の第1話で、ゾーイが初めて他人の心の声をミュージカルとして知る能力を得て「Help!」を歌い踊るシーンで、ぐっと心をつかまれた人も多いのではないだろうか。大空の下、交差点でフラッシュモブのように大勢の見知らぬ人々がゾーイとともに躍るミュージカルシーンは、胸がすくような爽快感がある。全体としてキャストの歌唱力はもちろんなのだが、ブロードウェイスタイルを思わせることも多いダンスナンバーは、何度もリピートしたくなる本格派。歌がメインのナンバーでも、身体を大きく使って感情を伝える振付けも特徴的で、これぞミュージカル! という感じでテンションが上がる。
観ていればわかるがミュージカルシーンはカットが少ない。会社内や見知らぬ人々を巻き込んでの群舞では、一連の流れや全体像がわかるようにステディカムを用いて、ミュージックビデオのように見えることを避けている。一方で振り付けの流れに沿ってパフォーマンスを捉えるカメラワークは巧みで、ライブ感覚のダイナミックさと臨場感を味わうことができる(ちなみに歌は事前の録音とライブパフォーマンスが混ざっているそう)。ムーアは振り付けるだけでなく、現場では俳優やスタッフらと密接に関わりながら、カメラワークも含めてクリエイティブな面に協力して質の高いミュージカルシーンを作り上げている。そのためダンスの良さを、小さな画面上で最大限に生かすことが可能となっているのだ。(*1)
実際にムーアはプロデューサーとして、本作の創作においてコアな部分を担っている。ストーリー開発の早い段階から企画・製作総指揮でショウランナーのオースティン・ウィンズバーグらクリエイター陣と密に関わり、使われる楽曲ごとにウィンズバーグが曲を通して伝えたいことを掘り下げていき、そのシーンでのメッセージを伝えるためにダンスを考案するのだという(*2)。ストーリーテリングの手段としてダンスが使われている点が、本作をユニークなものにしている理由の一つと言えるだろう。ちなみにウィンズバーグはNBCの名物企画のライブミュージカル番組「サウンド・オブ・ミュージック」や、ザッカリー・リーヴァイ主演のブロードウェイミュージカル『ファースト・デート』などを手がけている。筆者は後者を観劇したことがあるが、軽いノリだがしっかりとダンスナンバーが楽しめる作りは、今思えば「ゾーイの超イケてるプレイリスト」の作風にとてもよく似ている。
さて、本作の振り付け、身体的な動きの重要性を端的に表しているのが、ウィンズバーグたっての希望だったという第9話「無音のプレイリスト」のアメリカ手話で行われるパフォーマンスだろう。ゾーイの父親の介護者の聴覚障害者の娘アビゲイルが、過保護な父親に反発して怒りをぶつけるダンスナンバー「Fight Song」は、歌も字幕もない。それでもアビゲイルの気持ち、言いたいことは痛いほど伝わってきて感情を揺さぶられる。改めてコミュニケーションとは何か、その多様性を問う演出の意図、メッセージ性は、ゾーイの難病でコミュニケーションが困難になった父親像は自らの父親に基づくというウィンズバーグの強い思い入れを感じさせる。アビゲイル役のサンドラ・メイ・フランクは聴覚障害のある俳優で、アメリカ手話で上演するミュージカルでブロードウェイでも活躍している。
このように丁寧に作り上げられた本作のミュージカルナンバーについて語り始めたらキリがないが、シーズン1で注目したいのは第8話「故障したプレイリスト」。才能あるゾーイ役のジェーン・レヴィが、普通なら共演者らと複数の楽曲を分担するところを、このエピソードの6つのナンバーの全てをパフォーマンスするという驚異的な試みを見事に成し遂げているのだ。作り手の要求のハードルの高さにも驚くが、それに応えるレヴィの才能おそるべし! シリーズを通して工夫を凝らしたカメラワークにも注目しつつ、感情豊かで個性的かつ躍動感あふれるレヴィを筆頭に、喜びも悲しみも全身で伝えるキャストのパフォーマンスとともにミュージカルの醍醐味を思う存分楽しみたい。
参考資料*1 https://screenrant.com/zoeys-extraordinary-playlist-behind-scenes-facts-trivia/
*2 https://www.hollywoodreporter.com/live-feed/zoeys-extraordinary-playlist-choreographer-ep-mandy-moore-asl-dance-1288537
映画・海外ドラマライター 今祥枝
<放送情報>
「ゾーイの超イケてるプレイリスト」 海外ドラマ専門チャンネル スーパー!ドラマTVにて、独占日本初放送中
[二カ国語版]毎週木曜22:00 ほか [字幕版]毎週木曜24:00 ほか
<まだ間に合う! ゾーイの超イケてるプレイリスト>
第1話~5話:【二カ国語版】4/24(土)12:00~17:00 【字幕版】4/24(土)23:00~28:00
<まだまだ間に合う!! ゾーイの超イケてるプレイリスト>
第1話~5話:【二カ国語版】5/22(土)12:00~17:00 【字幕版】5/22(土)23:00~28:00
第6話~10話:【二カ国語版】5/22(土)12:00~17:00 【字幕版】5/22(土)23:00~28:00
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