ラストまで予想不能!?どんでん返しの迷宮が続く、本格派ミステリーを堪能!「ミリオネア邸宅殺人事件」DVDオススメ鑑賞法

近年、韓国ドラマで特に人気が高いジャンルといえば、何と言ってもサスペンスではないだろうか。それも、ラブロマンスやファンタジー、ホラー、ホームドラマなど、複数の要素にサスペンス&ミステリーが加えられたジャンルミックスの作品が珍しくない。

そんな中で、純粋に推理劇としての醍醐味が堪能できる正統派ミステリードラマが登場した。それが「ミリオネア邸宅殺人事件」だ。

余命宣告を受けた有名画家ユ・イノの誕生日パーティーが開かれ、郊外の屋敷にはイノの巨額の遺産目当ての親族をはじめ8人の男女が集う。
イノと元人気モデルの母との不倫により生まれた女子大生ビンナは疎遠だった父の財産に興味はない。だが、筆頭相続人であるビンナの存在を快く思わない者もいる。そして誕生会の翌朝、イノが遺体で発見され他殺と判明。全員が容疑者と目され疑心暗鬼となる状況下で、複雑な人間模様が浮き彫りになっていく。その過程が緊迫感いっぱいで目が離せない。


閉ざされた空間で起きる事件の謎を追う物語は、古くから多くの作家が手がけてきた“館もの”と呼ばれるミステリーの人気ジャンルの一つ。

人里離れた場所に立つ美術館のような瀟洒な邸宅が舞台となった本作は、こうした古典的要素に加え、SNS上で加熱する犯人捜しや、テレビ番組のスタッフによる関係者へのインタビューなど、今ならではの描写を差しはさみながら、どんでん返しの連続で見る者を迷宮へと誘う。警察の捜査で少しずつ真相が明らかになるかと思わせて、一つの事実がまた新たな疑問を生み出す。

ラストまで予想できないドラマを盛り上げるのは、個性的な登場人物たち。
ビンナの母ジヘ、イノの元妻であり演出家のソリョン、イノの甥の法学生ヘジュン、詐欺の前科があるイノの異母弟とその娘、さらに長年勤める家政婦とイノのマネージャーを務める友人は、いずれも腹に一物ありそうなクセの強い人々。怪しさ満点の彼らに扮した俳優たちが見せる巧みな演技が見ものだ。

ジヘを演じた「SKYキャッスル~上流階級の妻たち~」で知られるオ・ナラをはじめ、舞台出身の実力派が多数顔を揃えた。
彼らに支えられ存在感を発揮した若手にも注目したい。話題作「キングダム」(Netflix)で認知度を上げたキム・ヘジュンは、父親への様々な思いを抱きながら独自に真相に迫るビンナを演じMBC演技大賞新人賞を受賞。また、「潜入弁護人~Class of Lies~」のチェ・ギュジンが、善悪が判然としないヘジュン役で多面的な魅力を披露し、単なるイケメン俳優とは一味違う俳優として印象を残した。


緻密な構成が光るシナリオは新進気鋭作家チェ・ギョンが執筆した公募当選作。
被害者となるイノをはじめ、各人が抱える秘密や意外な過去が明らかになる過程はヒューマンドラマとしても見応えがある。特に、彼らが互いを疑い警戒していたかと思えば、協力したり気遣ったりするようになるなど、人間関係の変化が興味深い。
また、シリアスなだけでなく、時に笑いを誘う場面も登場する。緩急のバランスが絶妙な演出を手掛けたのは「逆賊~民の英雄ホン・ギルドン~」のチン・チャンギュ監督

舞台劇のような臨場感があり、見ているうちに自分も屋敷にいるかのような感覚に陥って、一緒に謎解きをしている気になってくる。果たして犯人は誰なのか?
犯行の手口と真の動機は?そして巨額の遺産の行方は?

全編480分があっという間に過ぎ、バラバラだったピースが全て埋まった時、爽快感たっぷりのラストが待ち受けていて、スカッとした気分になること間違いなし!

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