『MEMORIA メモリア』東京国際映画祭でジャパンプレミア上映&3月公開 ―アピチャッポン・ウィーラセタクン監督最新作

MEMORIA メモリア
Photo: Sandro Kopp (c) Kick the Machine Films, Burning, Anna Sanders Films, Match Factory Productions, ZDF-Arte and Piano, 2021

アピチャッポン・ウィーラセタクン監督の『MEMORIA メモリア』が東京国際映画祭にてジャパンプレミア上映され、3月4日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国公開となることが決定した。

本作は、『ブリスフリー・ユアーズ』(ある視点部門最優秀作品賞)、『トロピカル・マラディ』(審査員賞)、タイ史上初のパルムドール受賞作『ブンミおじさんの森』に続き、カンヌ国際映画祭4度目の受賞となったアピチャッポン・ウィーラセタクンの監督・脚本による最新作。南米コロンビアが舞台の本作は、監督が初めてタイ国外で制作した作品だ。

ポン・ジュノ、ルカ・グァダニーノ、ウェス・アンダーソンら名監督とのタッグでも知られるティルダ・スウィントン、『バルバラ セーヌの黒いバラ』でセザール賞主演女優賞を受賞したジャンヌ・バリバールら世界的に活躍する俳優陣に加え、コロンビアのTVシリーズなどで活躍するエルキン・ディアス、メキシコのアカデミー賞ことアリエル賞を受賞したダニエル・ヒメネス・カチョらをキャストに迎えた本作は、第94回アカデミー賞国際長編映画賞コロンビア代表に選出された。

監督自身の体験が基になっているとされる脚本は、カンヌ国際映画祭での出会いから「彼女と仕事を」という思いを温め続けてきた俳優ティルダ・スウィントンを念頭に当て書きされたもの。
彼女が演じる主人公ジェシカを通じて、観客はとある時期からジェシカだけに聞こえる「地球の芯から響くような」爆発音、目の醒めるような感覚など、主人公に起きたことを<体験>することになる。

北米では配信やソフトリリースの予定はなく、映画館のみでの上映となることも話題になったが、監督は「この映画は映画館で観ることが非常に重要であり、唯一の方法かもしれないと思っています。観客一人一人に、暗闇を受け入れ、夢を見てもらいたいと思っています」と語っている。

監督にとって初の試みが続いた本作だが、インスピレーションから織りなされる物語や、深遠さや穏やかさを感じさせる独自の世界観は変わらない。ぜひスクリーンで最新作を体験してみては。

MEMORIA メモリア
MEMORIA メモリア

ストーリー
地球の核が震えるような、不穏な【音】が頭の中で轟く―。とある明け方、その【音】に襲われて以来、ジェシカは不眠症を患うようになる。妹を見舞った病院で知り合った考古学者アグネスを訪ね、人骨の発掘現場を訪れたジェシカは、やがて小さな村に行きつく。川沿いで魚の鱗取りをしているエルナンという男に出会い、彼と記憶について語り合ううちに、ジェシカは今までにない感覚に襲われる。

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