【レポート】『冬薔薇(ふゆそうび)』完成披露上映会で主演の伊藤健太郎「この景色が早く見たいと」たまらず感涙

冬薔薇(ふゆそうび)

俳優の伊藤健太郎が2年ぶりに映画主演復帰する『冬薔薇(ふゆそうび)』(6月3日公開)の完成披露上映会が5月17日(火)に都内で行われ、主演の伊藤のほか、共演の小林薫余貴美子、そして阪本順治監督が登壇した。

映画復帰作の完成に伊藤は「こうしてスクリーンに戻れるんだとわかったときは嬉しかったし、あのタイミングで手を挙げてくださった阪本監督には感謝しかないという思いでいっぱいです」と言葉を噛みしめ、久々の舞台挨拶に「味わったことのない感覚というか、この景色が早く見たいとずっと過ごしていたので…。もう、すごく嬉しいです」と目に涙をため感慨無量の表情を見せた。

冬薔薇(ふゆそうび)

海運業を営む淳の父親・義一を演じた小林は「伊藤君の名前を見たときにニタッと笑いました。僕は阪本組が初めてだし、伊藤君の復帰第1作に呼ばれたことにも縁を感じました」と嬉しそうで、淳の母親・道子を演じたも「伊藤さんは私たちおじさんおばさんの話をじっくりと聞いてくれる。すぐに親子になれたのは、健太郎さんがみんなに馴染んでくれる性格のおかげ。色々な意味で可愛がっていました」と伊藤の真っ直ぐさに好感。当の伊藤は「素敵な大先輩とお芝居できたことは今後の人生の財産でしかありません」としみじみ語った。

また伊藤は、撮影初日を振り返り「クランクインには色々な思いがありましたが、1年くらい休んでいたこともあるので、正直怖かったです。でも現場に入ったら阪本組の温かい雰囲気の中で撮影することができました」と感謝し、「とにかく石橋蓮司さんら大先輩の背中がカッコよかった。自分もこれから50年後、60年後とあのような姿でいられるよう頑張りたいと思いました」とリスペクト。するとは「蓮司さんの背中って言ったって『立ったまま靴下はけねえ』とかそんなボヤキばかり。でも伊藤君はそれをずっと聞いてくれる」と振り返り、会場を笑わせた。

伊藤を抜擢した阪本監督は、伊藤の魅力について「彼の魅力は映画を見てもらえればわかります。一言でいうと、スクリーンの似合う子。アップに耐えられる人です」と断言。作品完成に「この映画の話を受けてから撮影が動き出したときに、健太郎君のことを待っている人達の前にお連れするのが仕事だったので、それがこの日だと思ったら感慨深くなりました」と思いもひとしお。

主演の伊藤も「映画復帰作という形で携わらせていただきました。賛否があるのは覚悟をしていますし、公開するにあたり怖い部分もありますが、自分があのタイミングでできる最大の力は出し切ったつもりです。自信を持ってお届けできると思っています」と、ここまでの道のりを支えてくれた人々への感謝も口にしながら、全国公開を待ち望んでいた。

冬薔薇(ふゆそうび)

ストーリー
ある港町。専門学校にも行かず、半端な不良仲間とつるみ、友人や女から金をせびってはダラダラと生きる渡口淳(伊藤健太郎)。“ロクデナシ”という言葉がよく似合う中途半端な男だ。両親の義一(小林薫)と道子(余貴美子)は埋立て用の土砂をガット船と呼ばれる船で運ぶ海運業を営むが、時代とともに仕事も減り、後継者不足に頭を悩ましながらもなんとか日々をやり過ごしていた。淳はそんな両親の仕事に興味も示さず、親子の会話もほとんどない。そんな折、淳の仲間が何者かに襲われる事件が起きる。そこに浮かび上がった犯人像は思いも寄らぬ人物のものだった……。

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