映画『あちらにいる鬼』(11月11日(金)公開)の完成披露試写会が実施され、主演の寺島しのぶと共演の広末涼子、廣木隆一監督が登壇した。
昨年11月、満99歳で波乱の人生を全うした作家・僧侶の瀬戸内寂聴。1960年代から人気作家・瀬戸内晴美として活躍した彼女が出家した背景には、同業者で妻子ある井上光晴との恋があった。出会うべくして出会い、互いにのめり込んでいくふたりと、全てを承知しながら心を乱すことのない男の妻。原作となった「あちらにいる鬼」は、同志にも共犯にも似た不思議な3人の関係を、光晴の長女で、直木賞作家・井上荒野が書き上げたセンセーショナルな物語だ。
映画『あちらにいる鬼』完成披露試写会イベント
日時:9月29日(木)18:00~18:30
会場:スペースFS汐留
登壇ゲスト(敬称略):寺島しのぶ、広末涼子、廣木隆一(監督)
ともにビビッドな赤色のファッションで登壇した寺島と広末。文学に導かれ求め合う主人公・長内みはる(のちの寂光)役の寺島は「撮影は今年5月で髪の毛を剃ったのも5月。こんなにも髪の毛が伸びてしまうなんて…。生きているんだなあと思いました」と笑わせつつ最速のお披露目に大喜び。白木篤郎(豊川悦司)の妻・笙子役の広末は「とても素敵な映画で自分としても挑戦をさせてもらった役。是非とも本編を楽しんでいただきたいです」と新境地に手応えを得ていた。
出家を決意し、頭を丸める場面では実際に地毛を剃髪した寺島。「私は挑んでいる感じだったので大丈夫でしたが、メイクさんやプロデューサーは剃る前から泣いていて、私が『頭を剃るひと時をみんなと味わえるのは幸せ』と言ったらみんな号泣して、試合前に国歌斉唱で泣いている選手みたいでした。変なアドレナリンが出ていたと思います」と当人はケロッと回想して笑いをとっていた。
廣木監督は「寺島しのぶさんは『ヴァイブレータ』で出会ってそれから何本かやって、今回もご一緒できて良かったです。広末さんは初めてですが、二人の間にいて怖かった…。それがいい感じに出ていて抜群のバランスでした」とキャスティングに大満足。「怖い」と評された広末は「笙子は耐え忍ぶ妻のように見えるけれど、怖く見えるように演じたつもりはありません。でも男性から見たら怖いと思われるみたいです…」と苦笑いだった。
虚言を弄しながらみはると本妻・笙子の間を行き来する篤郎について寺島は「普通、浮気相手には奥さんの名前を言わないというルールがあるはずなのに、篤郎は言う。それが凄い。最初はイライラしたけれど、撮影が進む中でだんだん篤郎は奥さん込みで浮気にやってくるみたいに感じました」と感想を述べた。妻である広末は「豊川さんからは一度『ごめんね』と言われました。申し訳ない気持ちになったと仰っていました」と反省する豊川の姿を明かしながら「この映画を観ると『ウチの旦那さんが豊川悦司さんじゃなくて良かった…』と思うはず。女性から非難される役ですが、豊川さんは悪くはありません。」とフォローしていた。
完成した本作を観た際には「昼と夜2回観たけれど平常心ではいられず。自分の粗ばかり目についてしまい内容も1/3くらいしか入ってこなかったです」という寺島だが「その後に広末さんが涙を流して会場から出てきて『映画に感動した!』と。どうしてこの人はこんなに切り替えられるのかと思いました(笑)」と客観的に本作を鑑賞した広末の反応に驚き。それに広末が「本当に寺島さんが素晴らしくて3か所は号泣します!」と訴えると「一世を風靡したスーパースターだから底力に溢れている!」とポジティブな資質を絶賛。すかさず広末は「撮影が終わったらもういいんです!映画は監督のものなので私は振り返らない!」と、秘訣を明かしていた。
また、今回体調不良で欠席した豊川からは「恋愛映画であり伝記ものではありません。一人の男と二人の女の不思議な恋愛映画です。観終わったころには心地よい雷に触れたような気分になっているはずです」とのコメントがサプライズで寄せられた。これに寺島は「いい文章を書くね!」、広末は「手紙でも色気がある!」と大喜びだった。
最後に主演の寺島は「人の縁(えにし)というものは尊くて美しいもの。縁は切れるものでなくて、別れたり出会ったりが人生なのかとさらっと映画として成り立たせている廣木監督の映像はとても素敵」と胸を張り「11月11日の初日に沢山の方々に来ていただき、大きな出発ができるよう、応援を宜しくお願いいたします」と大ヒットを祈念しイベントを締めた。
ストーリー
「髪を洗ってやるよ」。
それは、男と女でいられる最後の夜のことだった。
1966年、講演旅行をきっかけに出会った長内みはると白木篤郎は、それぞれに妻子やパートナーがありながら男女の仲となる。もうすぐ第二子が誕生するという時にもみはるの元へ通う篤郎だが、自宅では幼い娘を可愛がり、妻・笙子の手料理を絶賛する。奔放で嘘つきな篤郎にのめり込むみはる、全てを承知しながらも心乱すことのない笙子。緊張をはらむ共犯とも連帯ともいうべき3人の関係性が生まれる中、みはるが突然、篤郎に告げた。「わたし、出家しようと思うの」。
作品タイトル:『あちらにいる鬼』
出演:寺島しのぶ 豊川悦司/広末涼子
高良健吾 村上淳 蓮佛美沙子 佐野岳 宇野祥平 丘みつ子
夏子 麻美 高橋侃 片山友希 長内映里香 輝有子 古谷佳也 山田キヌヲ
監督:廣木隆一
脚本:荒井晴彦
原作:井上荒野「あちらにいる鬼」(朝日文庫)
製作:「あちらにいる鬼」製作委員会
製作幹事:カルチュア・エンタテインメント
企画・制作:ホリプロ
製作協力:ダーウィン
2022/日本/139分/5.1ch/シネマスコープサイズ/カラー/デジタル
R15+
配給:ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト:happinet-phantom.com/achira-oni
公式Twitter:@achira_oni
コピーライト:(C)2022「あちらにいる鬼」製作委員会
2022年11月11日(金) 全国公開
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