第36回東京国際映画祭上映作品『Anselm』(原題)が、『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』の邦題で6月21日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国順次公開となることが決定し、日本版ポスタービジュアルと場面写真が解禁された。
本作は、戦後ドイツを代表する芸術家であり、ドイツの暗黒の歴史を主題とした作品群で知られるアンゼルム・キーファーの生涯と、その現在を追ったドキュメンタリー。
監督は、『PERFECT DAYS』(23)で第76回カンヌ国際映画祭 主演俳優賞(役所広司)を受賞し、第96回アカデミー賞(R)国際長編映画賞にノミネートされたことも記憶に新しい、ドイツの名匠ヴィム・ヴェンダース。『パリ、テキサス』(84)、『ベルリン・天使の詩』(87)、『ミリオンダラー・ホテル』(00)などの劇映画だけでなく、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(99)、『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』(11)、『セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター』(14)などドキュメンタリーも手掛け、世界各国から高い評価を受けている。
ナチスや戦争、神話などのテーマを、絵画、彫刻、建築など多彩な表現で壮大な世界を創造するアンゼルム・キーファーはヴェンダース監督と同じ1945年生まれ。初期の作品の中には、戦後ナチスの暗い歴史に目を背けようとする世論に反し、ナチス式の敬礼を揶揄する作品を作るなど“タブー”に挑戦する作家として美術界の反発を生みながらも注目を浴びる存在となった。1971年からは、フランスに拠点を移し、わらや生地を用いて、歴史、哲学、詩、聖書の世界を創作している。彼の作品に一貫しているのは戦後ドイツ、そして死に向き合ってきたことであり、“傷ついたもの”への鎮魂を捧げ続けている。
制作期間には2年の歳月を費やし、3D&6Kで撮影。従来の3D映画のような飛び出すような仕掛けではなく、絵画や建築を、立体的で目の前に存在するかのような奥行きのある映像を再現し、ドキュメンタリー作品において新しい可能性を追求した。「先入観を捨てて、この衝撃的なビジュアルをただ楽しんでもらいたい」とヴェンダース監督は語る。
キャストには、アンゼルム・キーファー本人の他、自身の青年期を息子のダニエル・キーファーが演じ、幼少期をヴェンダース監督の息子、アントン・ヴェンダースが務めている。本作は『PERFECT DAYS』が出品された第76回カンヌ国際映画祭で、ヴィム・ヴェンダース監督作品として2作同時にプレミア上映された。
今回解禁された日本版ポスタービジュアルは、作品の1つである巨大な塔の中に佇むアンゼルム・キーファーの後ろ姿を映し出したもの。中央のキャッチコピー「圧倒的な没入感」とある通り、目の前に巨大で立体的な芸術品が迫りくるような迫力ある3D映像を、ぜひ劇場で確かめたい。
なお、2025年3月下旬から6月下旬まで、世界遺産・二条城でアンゼルム・キーファーの大規模個展が開催されることも決定している。
『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』
出演:アンゼルム・キーファー ダニエル・キーファー アントン・ヴェンダース
監督:ヴィム・ヴェンダース エグゼクティブプロデューサー:ジェレミー・トーマス
撮影:フランツ・ルスティグ
ステレオグラファー:セバスチャン・クレイマー
編集:マクシーン・ゲディケ
作曲:レオナルド・キュスナー
2023年/ドイツ/93分/1.50:1/ドイツ語・英語/原題:Anselm/カラー・B&W/5.1ch/3D&2D
字幕:吉川美奈子
配給:アンプラグド
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公式サイト:unpfilm.com/anselm
公式X:https://twitter.com/anselmjp
6月21日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国順次公開