『忘れない、パレスチナの子どもたちを』のオンラインでの舞台挨拶が、公開初日の10月4日に行われた。
昨年2023年10月7日にイスラム組織ハマスとイスラエル軍の対立は激化してから1年、停戦の兆しが見えないまま今も戦闘が続き、犠牲者が増え続けるパレスチナ・ガザ地区。死亡者数は5万人を超え、そのうち約1万7000人以上が子供と発表されている。本作の撮影時の2年前、11日間の空爆で亡くなった子供たちの数の250倍以上に上る。
爆撃が続く中、いまなお現地ガザで映像制作を続けるムハンマド・サウワーフ監督と、送られてきた100時間にわたる映像を編集したイギリス・ロンドンのマイケル・ウィンターボトム監督を、zoomにて東京・アップリンク吉祥寺とアップリンク京都をつないだ。(英語、アラビア語通訳あり)
サウワーフ監督へ「ガザの現状についてお聞かせください。監督のご家族やご友人などはご無事でいらっしゃいますでしょうか」と問いかけると、サウワーフ監督は「ガザには220万人の人がいて、安全な場所はまったくありません。シェルターもありません。家族の誰かや愛する人を失ったり、自分の身体の一部を失ったり、すべての場所がこの戦争によって、害されています」と語った。
さらに「そして、私はその一人であります。今こうやってみなさんとお話しをしていますが、まったく安全を感じていません。この瞬間にロケットが落ちてきたり、空爆が起こるかわからないという状況です。私がいるこの場所は、私の家族や親戚47人が殺された場所でもあります」と述べた。
そして「去年2023年11月17日、逃げたシェルターに爆弾が落ち、47人が殺されました。その中に私の両親、兄弟2人、彼らの妻、その子どもたち、私の姪や甥などが殺され、私も非常に致命的な傷を負いました。その2週間後、2人の兄弟が殺されました。1人は私と一緒に映像プロダクションの会社で働いていて、この映画にも関わっていました。もう1人は外国メディアに関わっていました。しかし、こういう状況でも人々は希望を持っています。戦争というものは、ガザの争いはいずれ終わる、と希望を持っています」と話した。
また、映画が制作されて2年、いまの気持ちを聞かれると、ウィンターボトム監督は「映画の素晴らしいところはインターナショナルであるということ。どこでみることも、どんなことについてもみることができ、他の人の生活をみて、感動したり理解することができる。この映画は、殺された子どもたちとその家族、父、母、兄弟、姉妹などが、殺された子どもに対する愛が語られています。それもみることによって、子どもがあのように殺されてしまう状況で生きるというのはどのようなことなのか、自分の身に置きかえてみることもできると思います」と語った。
観客へのメッセージとして、サウワーフ監督は「もし人間にこのガザでの紛争を止めることができる手段があるとしたら、それをぜひ使っていただきたいです。子どもは、悲惨な状況の中で殺されるために生まれたのではなく、夢をかなえたり、みたり、希望を持ったりするために生まれているのです。日本の方々は、どんな方でも何かはできると思います。ぜひこのガザでの戦争を止めるために何かできることをなさってください」と話した。
ウィンターボトム監督は、「ムハンマド監督の発言に付け加えることはないです。この映画は、私のようにイギリスに住んでるものがメッセージを伝えるのではなく、彼の言葉が大切なのであり、彼は今もガザで映画を作り続けている。だから私たちはガザからの映画をみることができる。そういう意味でもムハンマドにありがとうと申し上げたい」と述べた。
公式X:https://x.com/uplink_senden
アップリンク吉祥寺、アップリンク京都 ほか 全国順次公開中
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