マイケル・ホイ、ダヨ・ウォン『ラスト・ダンス』Q&Aレポート 2024年香港映画祭 Making Waves開幕

画像1

11月1日、東京・YEBISU GARDEN CINEMAにて「香港映画祭2024 Making Waves」が開幕しオープニングセレモニーが開催された。
オープニング作品『ラスト・ダンス』出演のマイケル・ホイ、ダヨ・ウォンや、香港映画観客動員数第1位を記録した『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』出演のフィリップ・ンなど豪華来日ゲストが勢ぞろいした。

オープニングセレモニー冒頭、ゲイリー・マック(香港特別行政区政府 文創産業発展処副コミッショナー、香港電影発展局事務局長)より「2022年から映画祭がスタートし、これまでに東京は重要な開催都市としてより多くの作品が上映され、より多くの映画人、より多くのプロモーションが行われており、今年は大阪、福岡でも開催されます。香港映画に対する皆さんの情熱と力強いサポートが日本でより多くの香港映画を上映し続ける励みとなりました。今回来日した映画人は創作の思いを観客とわかちあい、フィードバックを大切に感じています。映画をとおして香港と日本の文化交流がより深まると確信しています」と挨拶。
また「香港―アジア映画共同制作助成制度」を新たに立ち上げ、スタンリー・クワンプロデュース、脚本ジュン・リー、松永大司監督作品と、古賀俊輔プロデュース、ヴィンシー・チェク監督作品という香港と日本の合作が進行中ということも紹介された。

そして大きな拍手の中、上映作品の豪華ゲスト総勢14名が劇場後方より二手にわかれ客席の通路を通って登場。会場に黄色い歓声があがる中、『ラスト・ダンス』のマイケル・ホイ、ダヨ・ウォン、ミシェル・ワイ、チュー・パクホン、アンセルム・チャン監督、『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』のフィリップ・ンと谷垣健治アクション監督、アンガス・チャンプロデューサー、『離れていても』のサーシャ・チョク監督、『スタントマン』のアルバート・レオン&ハーバート・レオン監督、『ラブ・ライズ』のホー・ミウケイ監督、チャン・ヒンカプロデューサー、『バイタル・サイン』のネオ・ヤウがにこやかに登壇し一言ずつ挨拶。

マイケル・ホイは「How are you?」と英語で観客に呼びかけ、「Thank you for loving Hongkong films for such a long time(香港映画を長く愛してくださってありがとうございます)」と御年82歳の大ベテランらしいコメント。
続いてダヨ・ウォンは「ラスト・ダンス、おくりびとです。よろしくお願いします」と日本語で挨拶。
一方、『トワイライト・ウォリアーズ』出演のフィリップ・ンと「なんで僕がここにいるかわからないんですけど」と切り出し会場を沸かせた『トワイライト・ウォリアーズ』アクション監督の谷垣健治は、時折舞台上で揃いのポーズを決める場面も。
終始観客からは拍手と歓声が沸き起こり、豪華ゲストとともに香港映画への熱気感じるセレモニーとなった。

画像2

※オープニングセレモニー写真 左から
ウィンサム・アウ(香港特別行政区政府 駐 東京経済貿易代表部首席代表) 
ゲイリー・マック(香港特別行政区政府 文創産業発展処副コミッショナー、香港電影発展局事務局長)
サーシャ・チョク(「離れていても」監督)
ハーバート・レオン(「スタントマン」監督)
アルバート・レオン(「スタントマン」監督)
チャン・ヒンカ(「ラブ・ライズ」プロデューサー)
ホー・ミウケイ(「ラブ・ライズ」監督)
ネオ・ヤウ(「バイタル・サイン」出演)
マイケル・ホイ(「ラスト・ダンス」出演)
ダヨ・ウォン( 「ラスト・ダンス」出演)
ミシェル・ワイ( 「ラスト・ダンス」出演)
チュー・パクホン( 「ラスト・ダンス」出演)
アンセルム・チャン(「ラスト・ダンス」監督)
フィリップ・ン(「トワイライト・ウォリアーズ」出演)
谷垣健治( 「トワイライト・ウォリアーズ」アクション監督) 
アンガス・チャン(「スタントマン」プロデューサー、「トワイライト・ウォリアーズ」「贖罪の悪夢」エグゼクティブ・プロデューサー

そしてオープニング作品『ラスト・ダンス』上映後にはマイケル・ホイ、ダヨ・ウォン、ミシェル・ワイ、チュー・パクホン、アンセルム・チャン監督が再び登壇し、Q&Aがスタート。

画像3

マイケル・ホイとダヨ・ウォンはマイケル・ホイ監督・主演作『マジック・タッチ』以来32年ぶりの共演となったことについて、「私はダヨ・ウォンが一人でスタンドアップショーをやっているころから知っていて、一人でお笑いをやりながら一人で稼いで、でも一人だから大変だろうと心配していました。こうやってまた共演することができて嬉しく思っています」とマイケル・ホイ。

画像4
マイケル・ホイ

ダヨ・ウォンは「32年前はとにかく役者になりたくてスタンドアップをやっていた。そして今はどちらでもといいかと思っているところでマイケルにまた出会うことになりました。」と嬉しそうで、「これが人生~」と日本語で言いかけると「そうですよね~」とマイケル・ホイも日本語で返し、会場が笑いに包まれた。劇中、道教のお葬式における道士マン役のマイケルとそのパートナーとなる葬儀会社のドウサン役ダヨ、さすがのコンビネーションで名コメディアンぶりを見せる二人。

画像5
ダヨ・ウォン

一方、マンの娘を演じたミシェル・ワイ、息子を演じたチュー・パクホンはそれぞれの共演について、「前々から共演していて、本作と同じ監督のコメディも撮影したことがある仲。この人は笑うツボを心得ていて、すばらしい」(ミシェル・ワイ)、「以前共演したコメディ作品でお互いの信頼関係をつくることができたので本作でも暗黙の了解ができていました。実は信頼して一緒にお芝居ができる相手に出会うことはなかなか難しいところもあるんです。そして、私たちのパパ、マイケル・ホイさんにも感謝したいです。素晴らしい経験でした」(チュー・パクホン)と語った。

画像6
ミシェル・ワイ
画像7
チュー・パクホン

続いて、アンセルム・チャン監督へこの題材を選んだ理由について質問があり「本作で描かれている香港のお葬式は、中国語では“破・地獄”と書きます。香港では民間伝承のような形で道教になりますが、元々中国の南部から伝わってきたもの。人間は元々原罪をもっているが、特に若くして亡くなった人に対して、審判を受ける前に道士が間にたって地獄に行かないように救おうというもの。香港を代表するような文化だと考えました。また「ラスト・ダンス」というタイトルは、人生における最後の舞(ダンス)、生と死は私たちはコントロールすることができず受け入れるしかないのだけれど、そのためのラストダンスということがあります」と説明。

また劇中、コロナ禍でウェディング会社から葬儀社に転職し戸惑いながらも生と死に向き合っていく役どころのダヨ・ウォンがラストでみせる演技に引き込まれたという質問には、「南音(なんおん)という中国広東語圏の伝統芸能のひとつで、その南音を歌うシーンがあります。その歌詞に“もう再び会うことは難しいでしょう”というとても悲しいセリフが出てくるんです。前半にはマイケルさん演じるマンさんが飲茶をしながら歌うのですが、今度は彼のために私が歌うという場面なのでこみ上げるものがあり、撮影もその時の気持ちもよく覚えています」とダヨ・ウォン。

脚本も担当したアンセルム・チャン監督は、「この映画のように生と死を描くときには人生が大きなテーマになる。登場人物が大切で、マイケルとダヨが演じた伝統と現代を象徴する役どころを考えました。亡くなった人そして生きている人を救う、人間の命、生命とは何か、という探求をもってそのメッセージを脚本で一番最初に書きました」と振り返り「またこの“破・地獄”というセレモニーを色々リサーチすると、道士には「女性はこの仕事ができない」という習わしがあることを知った。私は男尊女卑の考え方に批判的なので、今回ミシェルが演じた娘をつくり古い慣習に一発くらわしてやろうと思った」など、登場人物の色々なキャラクターやストーリーにこめた思いを熱弁。

画像8

ここで、ダヨ・ウォンから観客の皆さんの感想を直接聞きたいというリクエストが。
中国南部出身の女性は「このような古く文化的な葬式の形式や生死の思想を映画をとおして、世界各地の人に広められるとはとても嬉しい」と話し、子供のころからマイケル・ホイの大ファンという男性は「すごくよかったです!マイケル・ホイさんがこれまでの役とは全く違う役柄だった」と念願かなって会えたことに喜びながら話すと、マイケル・ホイは「このキャラクターは頑固おやじで口下手、自分とは全く違うので、私の父を参考にしました。子供に本音は言わない、褒めない父だった。私は真逆のタイプで、子供がダメなことがあっても怒らないし褒める。演じるにあたっては父の真似をして笑わないように(劇中の表情演じてみせる)。私にとってもチャレンジだったが楽しかった」と満面の笑顔で回答。

画像9
マイケル・ホイ

すると今度はマイケル・ホイから「日本の皆さんの両親の世代は劇中の父親のように頑固おやじなんですか」と質問すると、会場で挙手をした女性のもとに、なんとチュー・パクホンが自分の持っていたマイクを貸し出すために客席まで向かう一幕も。
あっという間に終了時間となり、最後ダヨ・ウォンから「人生は…短すぎる」とコメントも飛び出し、ゲストも観客と共に楽しみ大いに盛りあがったQ&Aとなった。

映画祭 概要

「香港映画祭2024 Making Waves – Navigators of Hong Kong Cinema 香港映画の新しい力」
日程:
東京 2024年11月1日(金)~11月4日(月) YEBISU GARDEN CINEMA
大阪 2024年11月9日(土)~11月11日(月) テアトル梅田
福岡 2024年11月15日(金)~11月17日(日) ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13

公式サイト:https://makingwaves.oaff.jp/
公式X:@MakingWaves_HKC
公式Instagram:@makingwaveshkc

主催:香港国際映画祭協会
協力:大阪アジアン映画祭
後援:香港特別行政区政府 駐東京経済貿易代表部
助成:香港特別行政区政府 文創産業發展處

関連記事
【応募終了】「香港映画祭2024 Making Waves」開催記念!オリジナル メガネ・スマホクリーナーを3名様に☆
「香港映画祭2024 Making Waves」マイケル・ホイ、テレンス・ラウら来日ゲスト発表 予告編も解禁

「香港映画祭2024 Making Waves」今年は東京、大阪、福岡の3都市で11月開催決定

目次