キンタロー。がヘレン・ミレンに扮し登壇 映画『ホワイトバード はじまりのワンダー』原作翻訳者とトーク

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『ホワイトバード はじまりのワンダー』の公開に先駆けて、神保町にある絵本と児童書の専門店ブックハウスカフェにて、芸人のキンタロー。と、原作「ワンダー」シリーズの翻訳者・中井はるのをゲストに迎えたトークイベントが開催された。

前作『ワンダー 君は太陽』でいじめっ子だった少年ジュリアン(ブライス・ガイザー)と、ジュリアンのおばあちゃん・サラ(ヘレン・ミレン)が主人公の本作は、あれから6年、学校を退学となった自覚のない孫の行く先を心配したサラが希望に満ちた未来へ導くために、自ら封印していた“衝撃の過去”を告白する感動のヒューマンドラマ。

会場には原作本を購入した大勢の読者が参加。観客の期待が充満した雰囲気の中、司会者からの「本日はすばらしいゲストが海を渡ってやってきてくださいました!9年ぶりに来日されております。それではお迎えしましょう!」という呼び込みとともにステージにやってきたのは、本作に出演しているオスカー俳優のヘレン・ミレン(?)。

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流ちょうな英語の中に、ところどころで日本語を織り交ぜながら「皆さんこんにちは。わたしは英国の女優ヘレン・ミレンです。今日は集まってくださってありがとうございます。9年ぶりです」と挨拶。さらに、「今日はちょっとだけ“湿気てる”。ちょっと“寒い”」といった日本語を披露して会場を沸かせたミレン。語学が堪能なのも「関西外国語大学の短大の方を卒業したから」とのことで、「サラという役を演じることができて、本当にいい経験になりました。そして子どもたちの演技もすばらしかった」と語る姿は、さすが大女優の風格(?)だった。

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そしてここで映画の原作小説を翻訳した中井はるのが登場。英語を話せる同士、英語でコミュニケーションをとってみせるなど、すっかり意気投合した様子のふたり。そしてここからは、外見はヘレン・ミレン、そして中身はキンタロー。として、本作のトークを行うこととなった。

まずは映画の感想について、キンタロー。が「何の先入観もなく映画を観させていただいたんですが、こんなに泣くとは思わなかった。最後は目がパンパンになってしまって考えさせられましたね。人間が窮地に陥った時にどう振る舞うか。わたしも自分の身を振り返ってみて、自分にもできるだろうかと思いましたし、ちょっとだけラブストーリーも入っていましたし、大満足な1本でした」と話した。

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一方の中井も「『ホワイトバード』、そしてその前の『ワンダー』というお話があるんですが、それぞれ泣きながら翻訳をしていました。盛り上がるシーンが出てくるたびに『なんで?』と思いながら。ここには命をかけた救出があるんですね。(主人公のジュリアンの)身体は小児マヒで動きにくい少年なんですが、そんな彼がサラを救おうと思って、すごいことをどんどんやっていくんです。それは読んでいても、翻訳していても、本当に胸に詰まるものがあり、本当にこの映画は、最後の最後まで泣かせてくれるなと思いました」と語った。

前作の原作小説「ワンダー」を日本に紹介し、翻訳した中井だが、この小説をどうやって見つけたのだろうか。「もともとニュースにはなっていたんですが、覆面作家だったんです。出版界にいた人ではありましたが、デビュー作が評判になっていて、原作を読んでみると登場人物ごとに章立てされていて、読みやすかった。それと(登場人物)それぞれに立場が違うから、感情移入できるというか。これはぜひとも出版したいと思ったんです」とコメント。

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本作は、かつていじめっ子だったジュリアンが、祖母のサラが封印してきた戦争中のできごとを聞くことによって、本当のやさしさの意味を知っていく物語となる。そんなやさしさの意味についてキンタロー。は「劇中でも言っていますが、やさしさは勇気。親切も勇気。ただやさしいだけでは駄目で、時には、その人のために注意をすること、叱ることもやさしさだと思うんです。わたしも二児の母として学んだことですが、全部のことをいいよ、いいよと、いい顔をし続けることがやさしさではない。やさしさはいろんなケースがあって。簡単には言い表せないものではありますが、そこには愛があると思います」とかみ締めるように語った。

そんなキンタロー。が印象に残っている劇中のセリフは、「現実は現実だけど、空想は無限大」というものだった。「わたしも空想癖があるので、それでいいんだ、自由だと思ったことはうれしかった。そして最後の方に出てきたセリフには本当にボロボロと泣かされてしまいました。どんなに命の危険が迫ったとしても、それでも親切にできるというのは奇跡なんだと。それは勉強になりました」としみじみと語った。

さらに原作にあった「人は間違いによってどういう人間か決まるものではなく、そこから学んで何をするかによって決まるんだよ」というセリフを引用した中井が、「その言葉が本当に深くて。それが本当のやさしさだったり、おばあちゃんとジュリアンとの関係性が感じられるセリフだなと思いました」と語ると、「それは救いの言葉でもありますよね」と深くうなずいたキンタロー。。

さらに「あとは『光を光で包まないと、闇で覆われた人は光が見えない』というセリフとなども、現実に戦争が起きている今の社会にもズシッとくるし、皆さんの心にも響くんじゃないですかね」と指摘した中井。負の連鎖を繰り返すのではなく、そこに光をともしていくことが大事であるということ。その言葉を受けて「分かります。失敗してもどう立ち振る舞うか。スベってもどう盛り返すか、そこが肝心なんですね」としみじみ語ったキンタロー。は、「布団が吹っ飛んだ」というダジャレを披露した時にまわりがシーンとなり、これはスベったと感じた時を例に出し、「そこにどうやってアレンジを加えて、その後どうやって立ち振る舞い、挽回していくか、ということを学びました」と笑いに合わせたコメントで会場を沸かせる。

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すると中井が「そこは翻訳にも共通点があるんですよ。ここの翻訳はこうした方が良かったかなと後から思うこともあって。だから2刷で直してくれないかなと思ったりします」と続けると、キンタロー。も「お笑いにも翻訳にもまさかの共通点があったんですね。失敗して終わりじゃないというのは救われます。わたしもスベるのはすごく怖かったんですけど、先生の言葉で勇気が沸いてきました」と目を輝かせた。

そして最後に中井が「ネタバレになるので今日はお話できないですが、最後のおばあちゃんのスピーチが素敵なんです。そこに集約されていくんですが、命がけで人に愛を伝えていく、彼女の気持ちを見ていただきたいし、本も読んでください。本は本で楽しみ方が違うと思います」と語ると、キンタロー。も「サラとジュリアンの関係性、そして人間描写もすばらしいですし、それのみならず時代背景も、今の時代にリンクする。人間のひとりの思い込みによってたくさんの人が巻き込まれて、傷つく時代。それを俯瞰で見て、やさしさについて、親切にすることについて、いま一度立ち返って、考えていただきたくて。そうするとまた違う未来が生まれるかなと思います。本当にいろんなものが凝縮した、自分のマインドを変えてくれる映画なので、ぜひ見ていただきたいですね」とメッセージを送った。

映画『ホワイトバード はじまりのワンダー』は12月6日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ他にて全国ロードショー。

ストーリー
いじめによって学校を退学処分になったジュリアンは、自分の居場所を見失っていた。そんな中、ジュリアンの祖母のサラがパリから訪ねて来る。あの経験で学んだことは、「人に意地悪もやさしくもしないただ普通に接することだ」と孫の口から聞いたサラは、「あなたのために話すべきね」と自らの少女時代を明かす。時は1942年、ナチス占領下のフランスで、ユダヤ人であるサラと彼女の両親に危険が近づいていた。サラの学校にナチスが押し寄せ、ユダヤ人生徒を連行するが、サラは同じクラスのジュリアンに助けられ、彼の家の納屋に匿われることになる。クラスでいじめられていたジュリアンに何の関心も払わず、名前すら知らなかったサラを、ジュリアンと彼の両親は命がけで守ってくれる。日に日に二人の絆が深まる中、終戦が近いというニュースが流れるのだが──。

『ホワイトバード はじまりのワンダー』
出演:アリエラ・グレイザー、オーランド・シュワート、ブライス・ガイザー、ジリアン・アンダーソン、ヘレン・ミレン
監督:マーク・フォースター 『ネバーランド』『オットーという男』
脚本:マーク・ボムバック、R.J.パラシオ
2024年|アメリカ|英語・仏語|121分|カラー|スコープ|5.1ch|原題:White Bird|字幕翻訳:稲田嵯裕里|映倫区分:G
配給:キノフィルムズ
(C) 2024 Lions Gate Films Inc. and Participant Media, LLC. All Rights Reserved.

公式サイト:https://whitebird-movie.jp
公式X:@whitebird_movie

12月6日(金)TOHOシネマズ シャンテ他全国ロードショー公開

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