幕張メッセで開催された「東京コミックコンベンション 2024」(通称「東京コミコン 2024」)にて12月7日に行われた、映画『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』のスペシャル・プレゼンテーションに、主人公ヘラと敵対するウルフの吹替キャストを務めた津田健次郎、監督の神山健治、プロデューサーのジョセフ・チョウ、そして『ロード・オブ・ザ・リング』3部作の全脚本を手掛け、本作の製作とストーリーを担当したフィリッパ・ボウエン、そしてMCのLiLiCoが登壇した。
シリーズの大ファンであり、本作でも吹替キャストとして参加したLiLiCoによる呼び込みのもと、4人は大きな拍手に包まれながら登壇。神山監督は「今日はお集まりいただきましてありがとうございます。よろしくお願いします」、ボウエンは「こうやってまた日本に来れたことをとても嬉しく思っています。日本のフィルムメーカーの方々が心から大好きになりました」、チョウは「東京コミコンに呼んでただいて光栄に思っております」、津田は「本日、こうやって皆さんにお会いできるのを楽しみにしていました」とそれぞれ挨拶。
早速、本作を制作した経緯について尋ねられたボウエンは、「ワーナーさんからピーター・ジャクソンと私の方に『ロード・オブ・ザ・リング』のアニメーション映画を作らないか、とお話をいただきました。私たちはアニメの大ファンということもあり、映像化の可能性はあり得ると思いましたが、そこでおりてきたのが『ローハンの戦い』だったんです」と当時の経緯を説明。
また「ロヒルリム人(※ローハン国に住む人々)の文化というものが日本のストーリーテリングの文化と合うんじゃないかと思いました。さらに、日本の作品でよく見受けられる忠義、名誉、勇気、裏切りなども描かれています」と日本の作品との親和性についても解説した。
続いて、神山監督へのオファーの経緯について、チョウは「ピーター・ジャクソンが解釈した世界の延長戦の作品である本作ですが、神山監督は映画もアニメもただ見るだけでなく全部頭の中で分析している。そしてかなりテクニカルで脚本家でもあるから間違いないなと。まとめていうと“天才だから”」と語った。
オファーを受けたことについて、神山監督は「ジョセフから話を聞いた時は、内心は踊りだしたいくらい嬉しかったです。でもこれをアニメーションで作り上げることがどれほど大変かということをわかっていたので、『これはすごく難しいね』って言った覚えがあります」と振り返る。
また、『ロード・オブ・ザ・リング』の新たな物語を創り上げることになったことについて「恐らく今までアニメーションで騎馬隊の合戦というものを映像化したことはないと思うんですよ。アニメでこれをつくるのは不可能だと正直思ったんですが、日本のアニメを作っている人たちを代表して絶対に受けるべき仕事だと思ったので、僕がここまで培ってきたモーションキャプチャーや3DCGなどのデジタル技術などを全部使えば、最終的に手描きアニメーションでもできるんじゃないかなと感じたんです」と明かした。
ひと足先に本編を視聴した津田は「やっぱすごいですね。飽きることなく画面に釘付けの状態で最後までみることができました。本当に良い作品に出演させていただいたなと思いましたね」と笑顔。LiLiCoも「背景に関しては未だに実写じゃなんじゃないかと疑っているんですよ」と、手描きアニメーションの底力に驚嘆したことを明かした。
原作である「指輪物語 追補編」の数ページしかないパートの映像化である『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』。そんな本作のストーリーを作りあげていく過程について、ボウエンは「誰の物語であるかが大事だと思います」と前置きをしながら、「本作の主人公・ヘラは原作では名前がないキャラクターで、表記は『ヘルム王の娘』までです。ただ、この物語では彼女が誰と結婚をするのかというところから始まり、ローハンの戦いのきっかけをつくるんです。そして作品をみていただくと分かる通り、アクション満載の本作の戦いも彼女の視点から描かれます」と説明。
続いて、津田が台本を読んだ時の感想を聞かれると「とても古典の良さが詰まっているんですが、でも現代を生きる僕たちもとても共感できるものもある。そして女性がどう生きていくかなどの現代的なテーマもうまく盛り込まれていて頭から最後まで一気に読んでしまいました」と称賛。また、自身が演じたウルフについては「ただの悪役ではないんです。見た感じはすごくワイルドでたくましい感じなんですけど、ちょっと弱さをはらんでいて、登場人物中で最も人間くさい。そして欠落している部分があるんですがそこが魅力的。嫌われながらも愛されるキャラクターになるかもしれない」と解説。
ここで、ボウエンが津田に対し「ウルフはヘラのことを心から愛していたと思いますか?」と質問すると、津田が「愛していたと思いますよ」と返すと、会場から拍手が巻き起こるという和やかな一幕も。また、アフレコ現場での様子について聞かれると「結構丁寧に神山監督と打ち合わせしながら収録ができてとてもスムーズでした。吹替の雰囲気も監督の意向も大事にしつつ。そして日本語吹替版も世界中で上映してくださるのは嬉しいですね」と喜びを交えながら語った。
いよいよイベントも終盤、本作の注目してほしいポイントと最後の挨拶を求められると、ボウエンは「自分は脚本家ですが、運が良ければ自分が書いたモノがビジュアル的な名称によって映像化されるんです。今回がまさにそういうことに恵まれたわけです。『ロード・オブ・ザ・リング』はもちろん、映画がお好きな人であればぜひ劇場で見ていただきたいです。とにかくスケールが壮大ですし、津田さんをはじめ吹替版の演技が素晴らしいです。音楽もサウンドエフェクトも劇場が揺れるくらいインパクトがあります。この場を借りまして日本の素晴らしいアニメーターの方々に御礼を申し上げたいと思います。魂をこの作品に注ぎ込んでくださりありがとうございます。そしてこの作品を通して世界に神山監督を知っていただけることも非常に誇らしく思います」とコメント。
そして、神山監督は「本当にたくさんのアニメーションを作ってきましたが、これほどのスケールの作品を監督するのは初めてでした。手描きアニメーションでは実現不可能だと思っていた映像をアニメーターの人たちが作り上げてくれました。本当にリアルで力強い映像になっています。そして音楽も本当に素晴らしいモノになっています。『これが映画なんだな』と自分でも驚くくらいクオリティが高く、作り手たちの情熱が反映された素晴らしい作品です。本当にみていただきたい箇所が沢山ある。でもどこか絞れない。とにかく1度劇場に足を運んでください。そして吹替版と日本語版の両方を観てください」と熱い想いを語り、イベントを締めくくった。
ストーリー
偉大な王ヘルムに護られ、騎士の国ローハンの人々は平和に暮らしていた。だが、突然の攻撃を受け、美しい国が崩壊していく…。王国滅亡の危機に立ち向かう、ヘルム王の娘である若き王女へラ。最大の敵となるのは、かつてヘラと共に育ち、彼女に想いを寄せていた幼馴染のウルフだった。大鷲が空を舞い、ムーマクは暴走、オークが現れ、金色の指輪を集める”何者”かが暗躍し、白のサルマンが登場…。果たしてヘラは、誇り高き騎士の国と民の未来を救えるのか――!?”あの指輪”をめぐる壮大な冒険へと繋がる、まだ誰も知らない伝説の戦いの幕が開ける!
『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』
日本語吹替版キャスト:市村正親(ヘルム王)、小芝風花(王女ヘラ)、津田健次郎(ウルフ)、中村悠一(フレアラフ)、本田貴子(オルウィン)、坂本真綾(エオウィン)、斧アツシ(フレカ)、森川智之(ハレス)、入野自由(ハマ)、山寺宏一(ターグ将軍)、沢田敏子(老ペニクルック)、田谷隼(リーフ)、大塚芳忠(ソーン卿)、飯泉征貴(シャンク)、村治学(ロット)、勝部演之(サルマン)
字幕版キャスト:ブライアン・コックス(ヘルム王)、ガイア・ワイズ(王女ヘラ)、ルーク・パスクァリーノ(ウルフ)、ミランダ・オットー(オルウィン)ほか
監督:神山健治(『東のエデン』『攻殻機動隊S.A.C』「精霊の守り人」)
脚本:ジェフリー・アディス&ウィル・マシューズ、フィービー・ギッティンズ&アーティ・パパゲオルジョウストーリー:アディス&マシューズ、フィリッパ・ボウエン
製作:フィリッパ・ボウエン、ジェイソン・デマルコ、ジョセフ・チョウ
製作総指揮:フラン・ウォルシュ、ピーター・ジャクソン、サム・レジスター、キャロリン・ブラックウッド、トビー・エメリッヒ
原題:THE LORD OF THE RINGS:THE WAR OF THE ROHIRRIM
配給:ワーナー・ブラザース映画
LOTR TM MEE lic NLC. (C) 2024 WBEI
映画公式サイト:http://lotr-movie.jp
映画公式X:https://x.com/LotR_JP
12月27日(金)全国公開(吹替版/字幕版同時公開※一部劇場除く)
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