『石門』ホアン・ジー監督がタイトルに込めた思いとは?新場面写真公開

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中華圏映画のアカデミー賞と称される第60回台北金馬獎で最優秀作品賞、最優秀編集賞を受賞した映画『石門』より、新たな場面写真が公開された。

米批評サイト“ロッテントマト”で批評家の94%、観客の100%の支持を得た本作(2024年12月14日現在)。金馬獎の他、ベネチア国際映画祭「ベニス・デイズ部門」、トロント、香港、BFIロンドン、ニューヨークなど、世界の主要映画祭で絶賛され、8受賞11ノミネートされている。

監督を務めるのは、北京電影学院で脚本を学んだホアン・ジーと、日本でドキュメンタリー制作に従事した後、2005年に中国へ移住した大塚竜治。夫婦でもあるふたりは、表現に対する統制が強い中国において女性の性を描写する先駆者として作品を制作し続けてきた。『卵と石』(12)で少女の性被害を題材に衝撃的かつ社会性を感じさせるデビューを果たし、2作目の『フーリッシュ・バード』(17)では女子高校生の性が搾取される様を描いた。彼らは一貫して女性の視点や経験を重視し、社会的なタブーを映し出すことに挑戦してきた。(『石門』に続き2作品とも日本初公開が予定されている)

新たに解禁となった場面写真は、主人公のリン(ヤオ・ホングイ)が、恋人に妊娠を伝えた直後の様子を捉えた一枚。想定外の事実に頭を抱える恋人は、「もうすぐ君は航空会社と面接だ。こんな機会を逃すのはもったいない」と彼女をいたわる言葉をかけながら、「タイミングが悪い」と暗に中絶を促す。妊娠の責任を負うべき立場でありながら、まるで彼女一人の問題にするかのような恋人の態度に、沈んだ気持ちが滲むリンの背中が印象的だ。

本作は、ホアン・ジー監督が「どうして私を生んだの?」と当時5歳の娘から尋ねられたことが製作のきっかけになっている。その時、どう答えたら良いかわからなかったホアン・ジー監督は、「少女から大人になりかけている女の子が、出産を悩む姿を撮ることで、その答えを導こうと考えた」と撮影に臨んだ。

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『石門』というタイトルは、「女性を取り巻く環境に存在する、打ち破りたくてもなかなか突破して先に進めない壁」を指している。望まぬ妊娠が判明したにも関わらず、恋人の協力が得られないリンは、自分ひとりでは乗り越えられない大きな壁に直面する。診療所を営む彼女の母は死産の責任を追及され、高額な賠償金を支払うためにリンも働いて助けねばならない。中国では、優秀な遺伝子を望む富裕層等を相手にした代理出産が闇ビジネスとして常態化している。子どもを産むことを決意したリンは、賠償金の代わりにその子を差し出そうと考えるのだが…。

ホアン・ジー監督は、「彼女のお腹の赤ちゃんも石の門を突き破ってこの世界に出てくることができるのか。そんな意味を込めました」と語っている。

映画『石門』は2月28日(金)より公開。

ストーリー
2019年、中国湖南省の長沙市。単発の仕事で日々お金を稼ぎながら、フライトアテンダントになるための勉強をしている20歳のリン。郊外で診療所を営んでいる両親は、死産の責任を求めて賠償金を迫られていた。ある日リンは、自分が妊娠一ヶ月であることを知る。子供を持つことも中絶することも望まなかったリンは、両親を助けるため賠償金の代わりにこの子供を提供することを思いつくのだが…。

『石門』
出演:ヤオ・ホングイ リウ・ロン シャオ・ズーロン ホアン・シャオション リウ・ガン
監督:ホアン・ジー、大塚竜治
2022/日本/中国語/2時間28分/DCP/原題:石門/英題:Stonewalling
配給:ラビットハウス
(c)YGP-FILM

公式サイト:https://stonewalling.jp/

2月28日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開

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