『Playground/校庭』に著名人コメント第二弾が到着 新たな場面写真も解禁

第94回アカデミー賞(R)国際長編映画賞ショートリストへの選出を果たしたベルギーの新鋭ローラ・ワンデル監督の長編デビュー作『Playground/校庭』(3月7日公開)に、著名人コメント第二弾が到着。新たな場面写真も解禁された。

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大勢の子供たちが教室で学び、休み時間に校庭を元気よく駆け回る学校は、みずみずしい生命力に満ちあふれた場所だ。ところが小さな子供の目を通してその日常を写し取ると、多くの大人たちが抱くイメージは打ち砕かれる。ベルギー映画『Playground/校庭』は、どこにでもありそうな小学校の敷地内に舞台を限定し、全編を主人公である7歳の少女の視点で紡ぎ上げた生粋の“学校”映画だ。その徹底された演出手法は、さながら没入型のスリラー映画のような並外れた緊迫感と臨場感を生み、子供にとってあまりにも過酷な現実を生々しくあぶり出す。

1984年、ブリュッセル生まれのローラ・ワンデル監督が鮮烈な長編デビューを飾った本作は、第74回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品され、国際批評家連盟賞を受賞。さらにロンドン映画祭で新人監督賞に輝くなど、世界中で29の賞を獲得し(2024年11月時点)、第94回米アカデミー賞国際長編映画賞のショートリストにも選出された。大人にはうかがい知れない子供の世界を、斬新なスタイルで捉えたその映像世界は、驚くべき密度の映画体験を実現し、アーティスティックな完成度の高さにおいても傑出している。

本編わずか72分のミニマルな本作は、初登校の日を迎えた主人公ノラが兄のアベルに抱かれて泣きじゃくっているファースト・ショットから、観る者の目を釘付けにする。内気なノラにとって見知らぬ子供たちがあちこちで叫び声を上げ、無闇に走り回っている学校は、まさにカオスそのものだ。その未知なる混乱のまっただ中に投げ出されたノラは、どうやって友だちを見つけ、集団生活に馴染んでいくのか。しかも他者との関係を育む過程においては、同級生に残酷なことを言われたり、ふとしたことで仲間外れにされることもある。

「この作品の目的は、イジメの原因を追及することではない。誰かを非難することでもない」。そう語るワンデル監督は、社会の縮図でもある学校をあたかも戦場のように描き、そこでサバイブするためにはもう純真無垢ではいられない子供たちの葛藤と恐怖、そして幾多の苦難の果てに変化、成長を遂げていく姿を映し出した。

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また、ドキュメンタリーと見まがうほどの迫真性に貫かれた本作は、ヴィジュアルも音響もすべてが緻密に構築されたフィクションである。ワンデル監督はあらゆるショットを子供の目の高さに設定し、被写界深度が極端に浅く、視野の狭い映像によって、観る者にノラが見聞きすることを疑似体験させる。そうして100%ノラの視点で撮られたこの映画は、親や先生といった大人は子供の目にどう映るかという描写も盛り込まれ、多くの発見をもたらすサスペンスフルな一作に仕上がった。

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ちなみに、一切の無駄をそぎ落としたシャープな作風が印象的なワンデル監督は、ベルギーの偉大なる先達であるダルデンヌ兄弟はもちろん、アッバス・キアロスタミ、ブリュノ・デュモン、ミヒャエル・ハネケ、シャンタル・アケルマンの作品にインスピレーションを得たという。ダルデンヌ兄弟が製作を務める次回作『In Adam’s Interest』の完成にも注目が集まっている。

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ノラに扮したマヤ・ヴァンダービークは、キャスティングのセッションに参加した約100人の中から見出され、繊細にして豊かな感情表現を披露。そして『あさがくるまえに』(16)、『またヴィンセントは襲われる』(23)のカリム・ルクルーがパパ役、『神様メール』(15)、『ハッピーエンド』(17)のローラ・ファーリンデンが担任教師役を務め、映画に奥行きを与えている。

コメント一覧(五十音順・敬称略)

暴力の連鎖を断ち切る手立てがわからない。そのやりきれなさを纏いながら、カメラは子供の目線からすべてを射抜く。
愛する者が人を踏みつける者へと変貌した時、我々に残された僅かな手段をこの傑作は提示している。
ISO(ライター)

カメラは幼い少女から離れない。この距離の近さが感動的なのは、不安に押しひしがれる少女の心の揺れを、学校という世界の残酷さを、息が詰まるほど微細に映し出すからだけではなく、少女につねに寄り添い抱擁する愛のまなざしを感じさせもするからだ。
小野正嗣(作家、フランス文学者)

私たちはふたつの視点を持っています。
他者を見つめること。
そして、自分を見つめること。
混迷する現代社会でどれだけのひとが、
そのふたつを尊むことができているのかなと、
ノラの視点を通し、強く胸をつかれました。
呉美保(映画監督)

ハッとさせられる現実に胸が締め付けられる衝撃のラスト
誰かをしっかり抱きしめて、そのぬくもりを感じていたくなる
河瀨直美(映画作家) *解禁済み

カメラは、いっときも少女から離れず、表情だけを追い続ける。
観客は、彼女の内側に籠る孤立、孤独、苦しみ、哀しみを、最も近い距離で共有する。
本作は「ありふれた教室」で起こる学校版「サウルの息子」だ。
彼女の身の丈から覗く学校世界は、無垢でも平穏でもない。
兄妹たちの“涙の抱擁”に始まり、最後は、また彼らの“涙の抱擁”で終わる。
この涙の変遷。この痛みは、何なんだ。恐るべき映画だ。
小島秀夫(ゲームクリエイター) *解禁済み

生年と居住地域が重なっただけで箱詰めされる場所、学校。そのグロテスクな現実が、むき出しの状態でそこに在った。息を潜めていた当時の痛みが蘇る。どこまでも鋭利な傑作。
SYO(物書き)

カミソリの刃の上を歩いているかのような危うい子供たち。周りにいる大切な者も自らをも傷つけながら、残酷な世の中を血まみれで歩いていく。だが、最後に救われるのはスクリーンを見つめる我々だ。小さな手から伝わる確かな温もりや他者から感じる体温が、世の中で最も大切なものが何かを教えてくれる。静かにいつまでも続く余韻を感じて欲しい。
白石和彌(映画監督)

絶望を感じた子どもは、その絶望を顔に出すわけではない。
隠して、開き直って、また隠す。
では、その前に立って、できることとは何なのか。
絶句した後に言葉を探すがまだ見つからない。
武田砂鉄(ライター)

はじめは赤ちゃんみたいだったのに、みるみるうちに社会性ってやつを身につけてゆくちいさなノラ。演技がうまい! 演技でよかった!(フィクションじゃなかったらとても耐えられないです、こんなハラハラする話)
野中モモ(翻訳者・ライター)

子どもたちが楽しそうに遊ぶ「校庭」には世界中で起きている争いが凝縮されて詰まっている。少女の目をとおして私たちはあらゆる暴力の原点を見ることができる。このうえなく濃密な作品だ。
信田さよ子(原宿カウンセリングセンター顧問)

すごいものを観た。ただそれに尽きる。すごい映画じゃない。だって映画を逸脱している。震えた。一夜明けて余韻がまだ残っている。こんな体験は初めてかもしれない。
森達也(映画監督/作家) *解禁済み

小学生の頃、体育が苦手でトイレに逃げ込んでいた。粗暴ないじめっ子への嫌悪、友達が見せる冷酷さへの恐怖――7歳の少女の視点での追体験は、心がずっと苦しかった。
森田真帆(映画コラムニスト/コンセントエデュケーター)

母校に帰れば記憶より小さい学校があるけれど
この映画を見ている間は大きかった学校を思い出す
全ての表現が繊細で力強く編み込まれていて、その中心にあるのは圧倒的な心だと思った。
柳智之(イラストレーター)


ストーリー
7歳のノラが小学校に入学した。しかし人見知りしがちで、友だちがひとりもいないノラには校内に居場所がない。やがてノラは同じクラスのふたりの女の子と仲良しになるが、3つ年上の兄アベルが大柄なガキ大将にいじめられている現場を目の当たりにし、ショックを受けてしまう。優しい兄が大好きなノラは助けたいと願うが、なぜかアベルは「誰にも言うな」「そばに来るな」と命じてくる。その後もイジメは繰り返され、一方的にやられっぱなしのアベルの気持ちが理解できないノラは、やり場のない寂しさと苦しみを募らせていく。

『Playground/校庭』
出演:マヤ・ヴァンダービーク、ガンター・デュレ、カリム・ルクルー、ローラ・ファーリンデン
監督・脚本:ローラ・ワンデル
2021年/ベルギー/フランス語/72分/ビスタ/5.1ch/原題:Un Monde/英題:Playground/日本語字幕:岩辺いずみ/提供:ニューセレクト/後援:駐日ベルギー大使館/映倫区分:G
配給:アルバトロス・フィルム
(C)2021 Dragons Films/ Lunanime

公式サイト:playground-movie.com
公式X:@playground_film

3月7日(金) 新宿シネマカリテ、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開

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