公開中の映画『石門』より、主人公が予期せぬ妊娠を知る本編映像が解禁された。

“女性と性”をテーマに、『卵と石』、『フーリッシュ・バード』、『石門』へと、独自のアプローチで映画を作り続けてきた、ホアン・ジーと大塚竜治の両監督による最新作『石門』は、望まぬ妊娠に直面した20歳のリン(ヤオ・ホングイ)を主人公に、現代を生きる多くの女性が直面する、簡単には超えることができない壁を描く作品だ。
“中華圏のアカデミー賞”と称される第60回台北金馬獎(2023年11月開催)で日本資本映画と初の《最優秀作品賞》を受賞、《最優秀編集賞》との2冠に輝いた。
いち早く作品を鑑賞した観客からは、「永遠にも感じる余白が余韻に変わる。女にしか解らない痛みと苦しみが自分の周りをぐるぐると廻ってる」「つらい出産がリアルによみがえってきてしまい泣いてしまった」など、妊娠をきっかけにさまざまな壁に直面するリンに共感する声が届いている。
「若い女性の視点から”生殖”が価値化される生々しさを冷徹な筆致で描き出す」「限りなくドキュメンタリーに近いリサーチや素材集め」など、入念なリサーチの上で主演のヤオ・ホングイの素の姿も取り入れ、今を生きる女性を映した主人公像を作り上げた両監督に対する高評価の声も。
また、「渾身の演技に魅了される」「全員が自然な演技で素晴らしかった」など、独自の空気感で主人公を演じたヤオ・ホングイへのコメントも。
フライアテンダントを目指しているリンは、大学に通いながら英会話の勉強もしている。だが、多額の賠償金を要求されている母のために、寸暇を惜しんで仕事をしている。
今回解禁された映像は、卵子を売ることを決意したリンが卵子提供ドナーの検査結果を聞かされる場面だ。
リンは仲介人から呼び出しを受けて面接会場を訪れる。隣室では面接が行われており、依頼人が3人のドナーの学力を測るために数学の問題を出している。この国では優良な遺伝子を持つ卵子が求められているからだ。
リンを別室に呼び出した仲介人は、「あなたは妊娠1ヶ月よ。今決めたほうがいいわ。体のことを思えば早いうちがいい。負担が少ないから」と告げる。予期せぬ妊娠の知らせに黙しているリンは、「中絶から1カ月もたてばまたドナーに志願できるわ。困ったことがあればいつでも電話して。私たちにはいろいろコネがあるの。腕のいい婦人科医を紹介できる」という声に俯く姿が映し出されている。
『石門』に続いて、ホアン・ジー監督の長編デビュー作『卵と石』、ホアン・ジーと大塚竜治共同監督作『フーリッシュ・バード』の初公開が決定、4月4日(金)よりアップリンク吉祥寺で公開される。
ストーリー
2019年、中国湖南省の長沙市。単発の仕事で日々お金を稼ぎながら、フライトアテンダントになるための勉強をしている20歳のリン。郊外で診療所を営んでいる両親は、死産の責任を求めて賠償金を迫られていた。ある日リンは、自分が妊娠一ヶ月であることを知る。子供を持つことも中絶することも望まなかったリンは、両親を助けるため賠償金の代わりにこの子供を提供することを思いつくのだが…。
『石門』
出演:ヤオ・ホングイ リウ・ロン シャオ・ズーロン ホアン・シャオション リウ・ガン
監督:ホアン・ジー、大塚竜治
2022/日本/中国語/2時間28分/DCP/原題:石門/英題:Stonewalling
配給:ラビットハウス
(c)YGP-FILM
公式サイト:https://stonewalling.jp/
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