ポン・ジュノ監督が5年ぶりに来日し、東京・グランドシネマサンシャイン池袋にて3月26日に行われた映画『ミッキー17』のジャパンプレミアに登壇した。
この日は、俳優の町田啓太、とにかく明るい安村をはじめ、花束贈呈のサプライズゲストとして『ゴジラ-1.0』で第96回アカデミー賞(R)視覚効果賞を受賞した映画監督の山崎貴も登壇。さらに、舞台挨拶前のレッドカーペットには、ポン・ジュノ監督作品の大ファンである、アンミカ&セオドール・ミラー夫妻、女優として活躍する井上咲楽が登壇した。

第92回アカデミー賞(R)では非英語作品史上初となる作品賞ほか最多4部門受賞という快挙を成し遂げた映画『パラサイト 半地下の家族』を手掛けたポン・ジュノ監督が最新作で挑むのは、《どん底》からの逆襲エンターテイメント。母国・韓国では公開初日からわずか4日間で動員100万人&興収10億円を突破、全米では公開初週1位スタートを切るなど、全世界で累計興行収入世界で大きな話題を呼んでいる。
ジャパンプレミアに先立って行われたレッドカーペットイベントで最初に登場したのは、正装スタイルのとにかく明るい安村、水色の春めいた衣装で劇中登場するクリーパーの人形を抱いた井上咲楽、白いジャケットのアンミカ&クリーパーの人形を抱くセオドール・ミラー夫妻、ポン・ジュノ監督の大ファンを公言する町田啓太。
そして、本作のプロデューサーであるチェ・ドゥホが姿を見せると、場内のボルテージが一段と高まり、ファンとマスコミの視線が集まる中、最後にポン・ジュノ監督が登場。観客のテンションは最高潮となり、大歓声で監督を迎えることとなった。






レッドカーペットの熱気も醒めやらぬ中、満員のグランドシネマサンシャイン・シアター12で舞台挨拶が行われ、町田と安村が登場。監督との対面について問われた町田は「ドキドキです!普段は緊張しないタイプなのですが、今日はヤバいです!本当に光栄です」、星条旗柄のバスローブをまとった安村も「とても嬉しいです。とにかく”嬉しい”安村ですね。この場に呼んでいただき、そして素晴らしい映画の宣伝をさせていただき本当に嬉しいです」とコメントし、場内を盛り上げた。
続いて、ポン・ジュノ監督とプロデューサーのチェ・ドゥホが呼び込まれると、大きな拍手とともに、会場には一斉に“「ポン・ジュノ」コール”が。ポン・ジュノ監督は「本日はお越しくださりありがとうございます。『パラサイト』以来5年ぶり、来日できてとても嬉しいです」、プロデューサーのチェ・ドゥホは「皆さんにお会いできてとても嬉しいですし、桜の季節に日本に来られたことも嬉しいです」とそれぞれ挨拶した。

念願の対面となった町田が「世界的な監督にお会いできることが夢のようです。今日を楽しみにしていました」と感無量。
一方、安村は「僕のシグネチャーポーズを英語と韓国語で見てもらいたい」とまさかのリクエスト。いつものパンツスタイルで2つのポーズを披露し会場を沸かせると、監督は「身を投げ出したユーモア、とても感動的です。圧倒的ですね」と笑顔を見せた。そんな監督を見て町田は「実は登壇前から監督が安村さんのネタを楽しみにされていると聞いていたので、今の満願の笑顔を見られて嬉しいです」とコメントした。


続いて、ポン・ジュノ監督ファン代表として、町田からの質問タイムが設けられることに。
『ミッキー17』を観て「生存本能を掻き回されるほどの衝撃を受けた」という町田が、「監督の作品は命、自然愛、階級など、いろんな要素が入れ込まれています。僕はそこに胸を打たれるし、毎回“生きていてもいい”“頑張っていればいい”と背中を押してもらえます。監督はやはりそのような価値観を大事にされているのでしょうか?」と質問すると、監督は「この映画の主人公はまぬけだけれどとても善良で、労働者として極限の状態・職業に置かれていても最後まで生きようとする。プリンターから出力される時、彼は安村さんのように何も身に着けていません(笑)それは彼の人生の一部となっていますが、最後まで生き残る気持ち、最後まで諦めない気持ち、そんなミッキーに共感してもらえたら嬉しいです」と回答。
続いて「監督のインスピレーションの源は?」という問いには、「日常的にあるささやかな事を見逃さないようにしています。例えばとんこつラーメンを食べている時にズボンにスープが落ちてしまった。これには一体どんな意味があるのだろう?なぜ?私はこれをどのようにすればよいのか?いろんなことが思い浮かんできます。小さなことから出発するのです」とアイデア探しの秘訣を披露した。

そんな中、安村が「映画では使い捨てワーカーとブラック企業の独裁者が描かれていましたが、一生懸命働いている僕が使い捨てワーカーにならないためのアドバイスを下さい!」とまさかの質問。監督は「イギリスに行かれた時は今よりも遥かに多くの観客の前で大歓声を浴びたと聞いています。あなたはすでに独自の世界を構築されている。なので決して使い捨てにはならないですよ」と回答し、監督の思いがけない優しい言葉に感動するひと幕も。
続けて、プロデューサーのチェ・ドゥホが「まずはハリウッドに行ってください。この作品には自分自身を愛することを学ぶ主人公が登場します。それは誰もが忘れてはいけない気持ちです。ナーシャとミッキー18との経験を通して、ミッキー17は自分を愛することができるようになるのです」と『ミッキー17』に重ねてアドバイスした。

また、2人のミッキーを演じ分けた主演のロバート・パティンソンについて、監督は「優れた俳優であると同時にクリエイティブで、人間的にも優しい人。現場のスタッフからも人気がありました。物静かだけど優しい人。そしてプリントしたくなる顔をしていますね(笑)」と語り、笑いを誘った。
プロデューサーのチェ・ドゥホは「仕事には全身全霊、台本はカラーマーカーを5種類くらい塗り分けて、200回くらい読んでいるはずです。トレーラーには入らず、ずっと現場にいる努力家で献身的な人物です」と常に現場ファーストで撮影に臨んでいたと振り返った。
さらにここで、『ゴジラ-1.0』で第96回アカデミー賞(R)視覚効果賞を受賞した映画監督の山崎貴が登場。ポン・ジュノ監督らの来日を花束で祝福した山崎監督は、「『ミッキー17』、本当に面白くてびっくりしました。こんなにワクワクした映画は久しぶりで、まだ観ていない人が羨ましいです(笑)。社会的な問題も内包しているのですが、まずは本当に面白い。素晴らしい映画の完成、おめでとうございます」と称賛。

続けて「監督の『グエムル-漢江の怪物-』は公開当時、先を越されてしまったというような悔しい思いで観ていました。怪獣映画に家族の物語を取り入れる。新しい怪獣映画の形だと思いました」と熱くコメントすると、その言葉を受けたポン・ジュノ監督は「『ゴジラ-1.0』、楽しく拝見しました。人間と歴史がしっかりと描かれているところが印象的で感銘を受けました。これからも怪獣映画をたくさん作っていきましょう!」と語り、世界で活躍する2人のエール交換が実現した。

最後に、これから『ミッキー17』を鑑賞する日本の観客へのメッセージを求められたポン・ジュノ監督は、「この場で既に多くのことをお話しましたが、今回お越しいだだいた山崎監督、安村さん、町田さん、本当に皆さんありがとうございました、これから映画が始まります。楽しんで御覧ください!」と語り、大きな拍手が送られ、イベントは幕を閉じた。
『ミッキー17』
出演:ロバート・パティンソン、ナオミ・アッキー、スティーブン・ユァン、トニ・コレット、マーク・ラファロ
監督・脚本:ポン・ジュノ
製作年:2025年
製作国:アメリカ
映倫区分:G
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C) 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
公式サイト:mickey17.jp
3月28日(金)公開
4D/Dolby Cinema(R)/ScreenX/IMAX(R) 同時公開