第74回ベルリン国際映画祭コンペティション部門で上映され、高い評価をうけた『ラ・コシーナ/厨房』(6月13日公開)より、新場面写真10点が公開された。

本作の舞台は、スタッフの多くが移民で構成されたニューヨークの観光客向け大型レストラン「ザ・グリル」。本作はその人間関係を時にユーモラスに、時に痛烈に描いたヒューマン・エンターテインメント。まぶしく先進的な街と、レストランで働きながらアメリカン・ドリームを求めて滞在する移民たちの対比が全編ほぼモノクロームでスタイリッシュに描かれていく。
解禁となった場面写真がとらえるのは、「ザ・グリル」での一日における様々な光景。慌ただしく始まった活気に満ちた厨房の雰囲気は、やがて一変。「ザ・グリル」の料理人のひとりでメキシコ移民である主人公ペドロ(ラウル・ブリオネス)が、彼を頼ってここで働くことになった新人スタッフであるエステラ(アンナ・ディアス)と笑顔を交わす様子、ペドロの恋人であるジュリア(ルーニー・マーラ)を始めウェイトレスたちが賑やかにシュプレヒコールをあげる姿、前日の売上金の一部が消えたオフィスでオーナーたちが深刻そうに話をする様子などに加えて、ペドロがジュリアのために作った美味しそうなサンドイッチを大きく捉えたカットも。




さらに、ジュリアが店内で周囲も憚らずペドロと額を合わせて見つめ合う様子や、 売上金盗難の“犯人捜し”の取り調べ中に言葉を失うハラスメント発言をされ顔をこわばらせる様子、元カレで料理人のマックス(スペンサー・グラニース)から言い寄られる場面など、濃密かつ痛烈な人間関係が描かれる本作のトーンが伝わるカットとなっている。



本作で脚本も手がけたアロンソ・ルイスパラシオス監督は、ジュリアをペドロにとって映画スターのような存在と捉えていたという。当初からルーニー・マーラにジュリアを演じてほしいと考えていた監督は、彼女がメキシコシティで著名でない役者たちとともに本作を作るというチャレンジをするべき理由を綴った手紙を書き、脚本とともに送った。その理由を、「ルーニーのような有名で映画スターとしてのオーラを持つ俳優をキャスティングすることが、物語の関係性に深みを与えると考えました」と振り返る。


マーラは、出演オファーのための手紙が必ずしも効果的であるとは限らないという考えも持ちつつ、「アロンソの手紙には、どこか詩的なものがあって、それが本当に心に響きました。彼自身や脚本に対してすごく興味が湧いたんです」と語る。そこで、彼女は監督がメキシコシティを舞台に手がけた作品をいくつか取り寄せ、鑑賞をした上で本作への出演を快諾。本作は、アカデミー賞脚色賞を受賞した主演作『ウーマン・トーキング 私たちの選択』(22)以来の映画出演となる。
マーラは、「今の私にとって大切なのは“体験”なんです。“これは意味のある体験になるだろうか?自分が成長できる何かがあるだろうか?”と自問します。アロンソがこの映画を作ろうとしているやり方を知ったとき、私はすぐに“これはぜひ体験したい”と思いました。これまでやってきたどんな仕事とも違うものになると感じられたんです」と出演を決めた理由を明かす。
ストーリー
ニューヨークの大型レストラン「ザ・グリル」の厨房の、いつも通り目の回るような忙しい朝。店の従業員たち全員に売上金盗難の疑いがかけられる。加えて次々に新しいトラブルが勃発し、料理人やウェイトレスたちのストレスはピークに。カオスと化した厨房での一日は、無事に終わるのだろうか…。
『ラ・コシーナ/厨房』
出演:ラウル・ブリオネス、ルーニー・マーラ
監督・脚本:アロンソ・ルイスパラシオス
原作:アーノルド・ウェスカー
2024年|139分|モノクロ|スタンダード(一部ビスタ)|アメリカ・メキシコ|英語、スペイン語|5.1ch|G|原題:La Cocina |字幕翻訳:橋本裕充
配給:SUNDAE
(C) COPYRIGHT ZONA CERO CINE 2023
公式サイト:sundae-films.com/la-cocina
公式X:x.com/lacocina_jp
公式Instagram:instagram.com/sundae_films
6月13日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開