寺尾聰、松坂桃李ら豪華キャストが撮影秘話明かす 『父と僕の終わらない歌』完成披露試写会レポート

『父と僕の終わらない歌』の完成披露試写会が4月23日、東京・有楽町朝日ホールにて開催され、寺尾聰、松坂桃李、松坂慶子、佐藤栞里、副島淳、三宅裕司、石倉三郎、齋藤飛鳥が登壇した。

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本作はイギリスでの実話をもとに、舞台を日本に置き換え、父と息子それぞれの愛と葛藤、家族や友人たちに支えられながら、アルツハイマーの父が若き日に諦めたレコードデビューの夢を再び叶えようとするまでの物語を描く。

作品の舞台である神奈川県横須賀市の爽やかな海岸をイメージしたステージに、大勢のファンの歓声のなか登壇したキャスト陣。

本作が16年ぶりの映画主演作となる寺尾は、「心を込めて作った映画です。と、よくみんな言うんですけども、本当に心を込めて作った映画なんです。特にこの映画は、このチームワークです。こんなに素敵な仲間と一緒に映画が作れたのがこの上無い喜びです」と隣に並ぶキャスト一同を見渡しつつ、晴れやかな表情を見せ「あとひと月でスタートです。よろしくお願いします」と挨拶。

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寺尾聰

息子の雄太役を演じた松坂も、「寺尾さんもいま仰ったように、本当にこのチームワークで、愛情を込めて作りました」笑顔でコメント。

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松坂桃李

三宅は、撮影現場で自身のサンダルを佐藤が履き違えてしまったエピソードで笑いを誘い、「その辺から雰囲気が温かくなりました。寺尾さんと石倉さんを中心にまあいい雰囲気で、待ち時間もいろんな話をしました」とこちらも“チームワーク”の良さについて明かした。

石倉は「この映画は文学です。見事なものでございます」と簡潔に自信を見せ、その理由として「私も映画が好きでこの世界に入りましたけれども、この映画くらい涙腺が緩んだことはありません。寺尾聰もすごいんですよ。彼でなかったらこの映画が成り立たなかった理由もすごくよくわかります」とこれから映画を観る観客に語り掛けた。

本作の出演オファーが来た際のことや、脚本を読んだときの感想を問われた松坂は「この作品が扱っているテーマというものが他人ごとではないと思いました。老いや病気みたいなものは人それぞれ、満遍なくやってくるものだと思いましたし、それをこの登場人物の親子が、軽やかに受け止めて、前向きにそして色んな可能性を秘めながら希望につなげていくという、その姿に心を打たれて、この作品に参加させてもらう意義というものを強く感じました。そして何より、寺尾さんとご一緒出来るのであればやらせていただきます!という気持ちでした」と、出演を決めた当時の思いを振り返った。

それを受けた寺尾も「僕はいつもシナリオを読む前にまず一番最初に、どなたが中心になって、どなたの映画になるのか?を聞くんです。その時に『松坂桃李さんです』と名前を聞いて、だったらちょっと前向きに考えようかなというのが一番最初のスタートでした。年を重ねてきますと疲れも多くなるので、出来るだけ楽しい、芝居をしていてとてもいい気持ちになれる俳優さんと仕事をしたいなと思うのです。松坂桃李と親子が出来る、そして松坂慶子さんと夫婦が出来る。最高の俳優たちに囲まれてこの映画が出来たのが非常に嬉しく思います」と明かした。

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その言葉を聞いた松坂は「勿体ないお言葉です」と恐縮しきりの表情を見せながらも、「寺尾さんとは何年も前に、寺尾さんが主演の作品に少しだけ参加させていただいた瞬間がありまして、そしていつかはちゃんと共演したい、がっつりとご一緒したいという思いが自分の中でありました。今回親子役ということ形でそれが実現できたのが何よりも嬉しくて、夢のような時間でした」と充実した撮影を振り返った。

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同じく、寺尾から熱い信頼を寄せられた松坂慶子も二人との共演を楽しんだと言い、「脚本を読んで自分で想像するんですけど、実際にそのシーンの撮影になると『こういう間なんだ』『こういう風に自然に』と、演じていて感じることがとてもある。すごく楽しかったです」と明かすと、寺尾聰は「本当にいい家族です」と、改めて三人で作り上げた家族の雰囲気に自信を覗かせた。

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松坂慶子
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また寺尾や松坂、そして三宅、石倉とも共演シーンの多かった佐藤は「本当に毎日が楽しい現場で、友達が増えたなと思えてとても嬉しいです」と現場を振り返りつつ、「私自身本当に大切な、大好きな作品になったので、今日からその思いを共有できる日になるんだと思うとすごく嬉しいです」と笑顔を見せた。

そんな佐藤と夫婦でバーを営むダニエル役の副島は、錚々たる役者陣に加わることに緊張していたことを明かし、「この世界に自分が参加させてもらえるというのが本当に光栄でした。初日はド緊張で迎えたのですが、皆さんが温かく迎えてくださって本当に素晴らしいチームだなと。桃李さんが話しかけてくださったり、寺尾さんもシーンとは関係ない話でも盛り上げてくださって、本当に裏でもそのままというか。シーンで演じているそのままの温かさが繰り広げられていたので、一日一日が僕の財産になりました」と尊敬と感謝を込めて撮影を懐かしんだ。

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(左から)副島淳、佐藤栞里

オファーを受けた際、既にほかのキャストが決定していたという齋藤は「絶対に参加したいと思える、本当に素敵な皆さんが集まっていらっしゃったので、早く完成した作品が見たい!という気持ちで撮影に参加していました」とコメント。

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齋藤飛鳥

そして寺尾演じる哲太の元バンドメンバーとして、寺尾の歌唱シーンにも参加した三宅裕司は「僕は本当に音楽大好きですから。この作品は親子愛や夫婦愛もありますが、そこにこんなにうまく音楽が関わっているという本はなかなかない。そういう意味では寺尾さんしかいないんじゃないかなと台本を読んだときに思いました」と語った。

寺尾自身のライブに何度もゲスト出演するほどの仲である石倉も、「寺尾聰のバンドそのものでしたよ」とそのシーンに太鼓判を押す。そして、監督が観客役のエキストラに特に指示を出さなかったようだとの裏話も明かし、「エキストラの人たちは幸せだったでしょうね。寺尾聰のライブをずっと観れるんですから。臨場感があって観客もだんだん乗ってくるんですよ」と注目のライブシーンについて明かした。

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(左から)三宅裕司、石倉三郎

そして車内で隣に座り、誰よりも近くで寺尾の歌を聞いていた松坂は「本当に贅沢な時間でしたね。特等席でした!」と力説すると、寺尾は「デュエットが本当に楽しかったのよ~!」と当時を思い出したのか、本当に楽しそうな表情に。さらに、デュエットで歌う曲を全て覚えて撮影に臨んでいたというエピソードを暴露された松坂は「覚えていきますよ!それはもちろん!」とタジタジになりながら、ここでも和やかで息ぴったりな親子の空気感を滲ませた。

最後に、公開を心待ちにしている観客やファンに向けて、松坂は「ようやく皆さんにお届けできるというのが本当に嬉しくて仕方ないです。どう受け取るかは皆様次第なので、あとは皆様の感想でこの映画は完成すると思っていますので、感じたまま皆様の言葉で、たくさん感想の言葉を届けてくれると嬉しいです」とコメント。寺尾は「楽しんで観ていただけたらなと。げらげら笑うところもあるだろうし、ちょっときゅんと来るところもあるだろうし、その全部をひっくるめて楽しんでいただけたらと思っております。ぜひよろしくお願いします」と作品に込めた想いを語った。

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ストーリー
かつてレコードデビューを夢見たものの、息子・雄太のためにその夢を諦めた父・哲太。横須賀で楽器店を営みながら、時折地元のステージで歌声を披露しては喝采を浴びてきたユーモアたっぷりで人気者の哲太は、ある日、アルツハイマー型認知症と診断されてしまう。全てを忘れゆく父を繋ぎ止めたのは、彼を信じ支え続けた息子、強く優しい母、強い絆で結ばれた仲間、そして父が愛した音楽だった――。大好きな歌を歌う時だけ、いつもの父さんが戻ってくる。父さんの夢は僕ら家族の、皆の夢となって再び動き出す―。

『父と僕の終わらない歌』
出演:寺尾 聰 松坂桃李 佐藤栞里 副島 淳 大島美幸(森三中) 齋藤飛鳥 / ディーン・フジオカ 三宅裕司 石倉三郎 / 佐藤浩市(友情出演) / 松坂慶子
原案:「父と僕の終わらない歌」サイモン・マクダーモット著 浅倉卓弥 訳(ハーパーコリンズ・ジャパン)
監督:小泉徳宏
脚本:三嶋龍朗 小泉徳宏
音楽:横山 克
製作幹事:日活 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
制作プロダクション:ROBOT
制作協力:EPISCOPE
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
(C)2025「父と僕の終わらない歌」製作委員会

公式サイト:https://chichiboku.jp
公式X:https://x.com/chichiboku

2025年5月23日(金)全国公開

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