国境や時代を超えグローバルな読者を獲得し、世界に名作・話題作を発信し続ける作家、村上春樹。名実ともに日本を、そして世界を代表する作家である彼の珠玉の短編作品『ハナレイ・ベイ』。2005年に発表され単行本、文庫あわせ累計70万部を超えるベストセラーとなっている『東京奇譚集』(新潮文庫刊)の一篇である本作が映画化、10月19日(金)に全国公開となる。
公開に先駆けて、本日10月2日(火)に丸の内ピカデリーにてプレミア上映会が開催され、主演の吉田羊をはじめ、佐野玲於、村上虹郎、佐藤魁、松永大司監督が登壇した。
登壇した吉田は「この作品は本当に魂を込めて撮影した作品で、多分まだ私の魂はこの作品に残っているんだと思います。」と本作への想いを語り、吉田と親子の役を演じた佐野も「この日を迎えることができて本当に幸せだと思っています。この映画をたくさんの人に届けるべく、頑張ります」と今日のイベントへの意気込みを語った。
また、本作でサーファー役を演じた村上が「ようやく、松永監督の渾身作が皆さんの元に届けることができると思うと嬉しいです。」と述べ、松永監督は「本当に大切な作品となりました。ようやく皆さんの元に届けられる、感無量です」と感慨深けに語った。
“村上春樹”原作の映画への出演が決まった時の感想を聞かれた吉田は「元々、村上春樹作品が好きで2つ返事でオファーを快諾しました。松永監督の『トイレのピエタ』を観た時に、〈この監督に呼ばれる女優になりたい〉と思っていたので、こんなに早く実現するとは思っていなかったです。」とコメント。さらに佐野は本作へのオファーのきっかけについて「松永監督が自分のライブを観に来てくださって、監督にオファーをいただいたんです。」と語り、松永監督は「ライブを見に行った時に、光っている人がいると思った。あれ誰?と聞いて佐野玲於という名を知ってからすぐにオファーをしました。」とコメント。
一方村上も「嬉しかったです。信頼する松永監督の作品だから脚本も原作も観ずに参加を決定しました。」と語るなど、松永監督への信頼がわかるエピソードが多く語られた。
本作が俳優初挑戦だった佐藤は「ビックリしました。他のキャストの方の参加を聞いて、もっとビックリしました。」と話すと「魁、緊張してる?」と村上がフォロー。「〈テラスハウス〉のおかげで、ハワイでは誰よりも知られている。現地の日本人が魁を見て「あれ、魁ですよね?」と吉田さんに確認していた」と撮影中のエピソードを語り、会場を沸かせた。
また佐野、村上との初共演について感想を聞かれた吉田は「私の役が閉鎖的な人物だったので、カメラが回っている時以外は誰とも関わらないようにしていた。4人でお昼ごはんを食べた時が唯一の楽しい思い出です」と述懐。
佐野も「基本は一人か羊さんとのシーンばかりだったのですが、撮影中はほとんど喋らず、日本に帰って来てから仲良くなりました。」と振り返った。
撮影中の松永監督とのエピソードについて聞かれた吉田は「クランクイン初日からボコボコにやられました。監督は撮影に納得いかない様子で私の前でため息ばかりついていた。この作品が終わったら女優を本気で辞めようと思うほど追い込まれていました。」と語ると会場からは驚きの声が上がり、それに対して松永監督は「すいませんでした(笑)。この作品は、自分の全てを出しきらないと良いものは絶対にできないと思っていた。だから妥協せずとことんやろうと思っていました。」と本作への熱き想いを語った。
続いて【人生で一番大切な人に会いたくなる映画】である事に因んで、キャストが〈人生で一番大切な写真〉を披露した。佐藤が子供の頃の家族との写真、村上は昔飼っていた愛犬の写真を披露。そして佐野はハナレイ・ベイで撮影中に撮った虹をバックにした写真を披露し、最後に吉田が、自身のご両親の結婚式の写真を披露し、「この二人が生まれなければ、私は生まれることもなかった。本当に素敵な二人で、世界で一番好きとお互いが想っている。こんな夫婦になりたいと心から思える自慢の両親です。」と家族への想いを語った。
最後に吉田が「大切な人をなくした時、人はどう生きていき乗り越えていくのか。そういった気持ちを少しでも多くの方に観て感じていただきたいです。」と締めくくり、イベントは幕を閉じた。
作品タイトル:『ハナレイ・ベイ』
出演:吉田羊、佐野玲於、村上虹郎、佐藤魁、栗原類
原作:「ハナレイ・ベイ」(新潮文庫刊『東京奇譚集』)村上春樹著
脚本・監督・編集:松永大司
音楽:半野喜弘
配給:HIGH BROW CINEMA
コピーライト:(c)2018 『ハナレイ・ベイ』製作委員会
公式サイト:http://hanaleibay-movie.jp/
10月19日(金) 全国ロードショー