11月3日(土)より公開される国連史上最悪のスキャンダルを描いた実話に基づく社会派サスペンス『バグダッド・スキャンダル』のトークイベント付き試写会が行われ、ゲストに放送作家で映画活動家の松崎まこと氏、映画評論家の松崎健夫氏、通称松崎ブラザーズの二人が登壇した。
映画『バグダッド・スキャンダル』
イベント試写会 概要
日時:10月29日(月)
場所:IMAGICA第2試写室
登壇者(敬称略):松崎まこと (放送作家・映画活動家)、松崎健夫 (映画評論家)
本作は国連史上最悪のスキャンダルとなった「石油・食料交換プログラム」における内部告発を題材としており、初めに松崎まこと氏が「石油・食料交換プログラム事件」をどれだけの人が知っているのかと観客に問うと、数名が頷く程度で、松崎健夫氏も「僕は覚えていなかった」と、いかにこの事件が世に埋もれてしまっているかが明確となった。
告発系映画というジャンルについて、松崎健夫氏は「こういった映画はフィクションの形をとりながら事実を多くの人に知らしめることができる。エンタテイメントの力を借りて分かりやすく見せるツールとして有効だ」と述べた。一方、松崎まこと氏は「国が悪くなると告発系の映画が増える」と森達也監督の言葉を拝借し、「期待してはいいのか分からないけれど、日本も告発系映画が増えるのでは」と苦笑しながらも示唆し、会場から笑いが起きた。
話題は、ヒット作を連発する米の新鋭スタジオ「A24」の勢いについて。本作も「A24」が手掛けた作品で、巧みな演出とスリルある展開は松崎ブラザーズも圧倒されたそう。まず、松崎健夫氏は「11月日本公開の映画が『バグダッド・スキャンダル』を含め4本もあるA24は、2012年に設立されたばかりで、いまや年間20本も映画を作っている。本当に勢いがある!」と称え、「ハリウッド映画は近年、原作ものやリバイバル、続編などデータがきちんと取れているものを制作しがちで、リスク回避しているのが実状。そんな中、A24は純粋なアメリカ映画ではなくアメリカ国外からひろってきた作品を発表してきた。『バグダッド・スキャンダル』もその1つ。個性的でアート性とエンタテイメント性を融合させたオリジナルで挑戦している。」続けて、「映画へのアンテナ感度が高い人は、あのロゴは間違いがないと思うまでの会社になっているのでは」と太鼓判を押した。
松崎まこと氏も「これからもA24作品が賞レースを賑わす予感がする」と述べ、A24作品の今後にも期待できそうだ。
映画『バグダッド・スキャンダル』は11月3日(土)よりシネマカリテ他全国順次公開。
ストーリー
2002年。24歳のアメリカ人青年マイケルは、念願だった国連事務次長の特別補佐官に任命され、国連が主導する「石油・食料交換プログラム」を担当することになった。これはイラクがクウェートに侵攻したことによる経済制裁の影響で、貧困にあえぐイラクの民間人を救う人道支援計画。国連の管理の元でイラクの石油を販売し、食料に変えてイラクの国民に配るというプロジェクトだ。一見理想的な政策に見えるこのプロジェクトに実はフセイン自身が関与し、国連を中心とした世界各国の企業や官僚機構が関わっていることが判明。やがて世界に例を見ない巨額の汚職事件に発展していく。実話を基にしたポリティカル・サスペンス。
作品タイトル:『バグダッド・スキャンダル』
出演:テオ・ジェームズ、ベン・キングズレー、ジャクリーン・ビセット、 ベルシム・ビルギン
監督・脚本:ペール・フライ
原作:マイケル・スーサン
脚本:ダニエル・パイン
2018年/デンマーク=カナダ=アメリカ/
原題:Backstabbing for Beginners /106分/5.1ch/シネスコ/カラー
配給:アンプラグド
公式サイト:http://baghdad-s.com/
コピーライト:(c)2016 CREATIVE ALLIANCE P IVS/ BFB PRODUCTIONS CANADA INC. ALL RIGHTS RESERVED.
11月3日(土)シネマカリテほか全国順次公開