1942年設立された映画会社・大映株式会社は、長谷川一夫、市川雷蔵、勝新太郎、田宮二郎、川口浩をはじめとする男優スターだけではなく、若尾文子、中村玉緒、藤村志保、関根恵子(高橋惠子)といった主演を張る女優も数多く輩出し、他社と比べ女優主演の映画が圧倒的に多いのが特徴と言われている。これまで、数多くの俳優女優の中から、市川雷蔵作品を上映した「雷蔵祭」や若尾文子出演作を上映した「若尾文子映画祭 青春」と、名優の作品を一挙に上映する映画祭を近年開催してきた。
そして、2019年は、京マチ子のデビュー70周年を記念して出演作品の中から代表作32作品を「京マチ子映画祭」として2月23日(土)より角川シネマ有楽にて開催、現在全国順次上映中となっている。
大映女優の中でもトップ女優として君臨した京マチ子。『羅生門』(黒澤明監督)ではヴェネチア国際映画祭グランプリ、『雨月物語』(溝口健二監督)では同じくヴェネチア国際映画祭準グランプリ、『地獄門』(衣笠貞之助監督)ではカンヌ国際映画祭グランプリを受賞するなど、主演作が相次いで国際映画祭を制し、「グランプリ女優」と呼ばれ、田中絹代、原節子と並び昭和の三大女優とされ、先日5月12日(日)逝去した伝説の女優だ。
『雨月物語』では妖艶美を前面に出した演技、映画『華麗なる一族』やドラマ『犬神家の一族』などでは、家庭内の壮絶な抗争に執念を燃やす中年女性の狂気を熱演し当時大きな話題となり、その比類なき美しさで国内外のファンを魅了してきた。そんな京マチ子を偲び、8月2日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMAにて追悼上映することが決定した。既存のファンだけではなく、若い世代にとっても、日本のいずれの女優とも一線を画した存在の京マチ子を知り、劇場の大スクリーンで堪能できる機会となっている。
「京マチ子映画祭」 概要
【上映日】
2月23日(土)より全国順次上映中
8月2日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMAにて追悼上映
【追悼上映作品】
『羅生門』(黒澤明監督)、『雨月物語』(溝口健二監督※4K修復版)、『地獄門』(衣笠貞之助監督)など国際映画祭を制した名作のほか、『赤線地帯』(溝口健二監督※4K修復版/国内初上映)、『鍵』(市川崑監督)、『浮草』(小津安二郎監督※4K修復版)、『黒蜥蜴』、『偽れる盛装』、『細雪』、『いとはん物語』に加え、京マチ子映画祭のラインナップに入っていなかった『穴』(市川崑監督)を加えた11本