【レポート】『風をつかまえた少年』トークイベント開催!主人公と同世代の鈴木福が、来日した奇跡の実話の張本人とご対面

風をつかまえた少年

世界23カ国で翻訳されたベストセラーを第86回アカデミー賞作品賞受賞『それでも夜は明ける』主演のキウェテル・イジョフォーが初監督した『風をつかまえた少年』が、8月2日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館他にて全国公開となる。

2010年に日本でも出版、世界を驚かせ興奮させたノンフィクションの映画化。2001年、干ばつによる貧困で中学を退学になった14歳の少年が、当時人口の僅か2%しか電気を使うことが出来ない、アフリカの最貧国のひとつマラウイで、自分の頭脳と手だけを頼りに発電することに成功。家族と村の人々を救うだけでなく、自身も大学へ進学し、2013年にタイム誌の「世界を変える30人」に選ばれるという素晴らしい人生も手に入れた。 世界を魅了した彼の物語は日本の中学の英語教科書「NEW CROWN3」にも取り上げられた。

この度、14歳で電気と未来を手に入れたウィリアム・カムクワンバさんが来日、7月11日(木)にユニセフ・シアター・シリーズとして上映する本作の試写会に登壇し、ユニセフのハンド・イン・ハンド募金キャンペーンにも協力・賛同する鈴木福さんとトークイベントを行った。

福さんは現在中学3年生、6月7日に15歳の誕生日を迎えたばかり。自身と同世代である主人公の少年の姿をどう感じたのか、そして、自身の将来をどう考えているのか。人生の先輩でもあるこの奇跡の物語の張本人ウィリアムさんと対面し語り合った。

ユニセフ・シアター・シリーズ「子どもたちの世界」『風をつかまえた少年』試写会
ウィリアム・カムクワンバさん×鈴木福さん上映後トークイベント

■日程:7月11日(木)19:35~20:15 ※映画上映後
■場所:ユニセフハウス 港区高輪4-6-12
■登壇者:ウィリアム・カムクワンバさん(原作者)、鈴木福さん(俳優)

映画の上映が終わり感動に包まれた会場で、大きな拍手に迎えられながら、原作者でありこの奇跡の実話の張本人であるウィリアム・カムクワンバさんと、本日の特別ゲストである鈴木福さんが登場した。

まずウィリアムさんから「皆様に映画をご覧いただき大変光栄です。今回の来日では多くの方にお会いしたり、美味しい日本食を楽しんだりしています。ありがとうございます。」と観客へ向け挨拶が。そして、福さんは挨拶とともに、本作の感想について「この映画を観て、こうやって飢餓に苦しみながらも、自分の地元マラウイを守りたいという気持ちから、皆んなが協力すれば何でもできるんだなと驚いています。本当に感動して、とても尊敬しています。」と、今回の対面の喜びを伝えた。

映画の主人公である当時のウィリアムさんが風力発電を作った14歳という年齢と同世代で、6月7日に15歳の誕生日を迎えたばかりの福さん。本作を観て「日本にいると、学校に当たり前に行けて、たまに「学校イヤだなぁ」という時も僕もあります。そういう中で、世界には同い年ぐらいの子で「学校に行きたい」「学びたい」という人がいて、こうやって世界を変えられる。僕とほぼ変わらない年齢の人でもそういうことができるんだと思うと、本当にすごいなと、カッコイイなと思います。」と感銘を受けたそう。「同い年くらいの友だちも、夢がまだ決まっていないという子は多い。だから、僕らの世代にこそぜひ観て欲しい。これが実話ってことが本当に信じられないくらいに、驚きと感動がある映画です。」

また、福さんからウィリアムさんに「この映画を観ると僕が体験したことのない辛さがあると思うし、想像することすら難しいとは思うのですが、今まで生きてきた中で一番大変だったことはなんですか?」という質問が。
ウィリアムさんは「まさに映画で描かれている時期。でも、誰かがやってきて、問題を解決してくれるのを待つのではなく、自分の問題に対して自らが長期的な解決法を見つけたいという気持ちで、希望を持つことができたんです。」と答えた。また、「映画を作ることは、ある意味、自分の辛い過去を再び生き直さなければいけないという側面がありました。でも同時に、友達と過ごしたあの時間や、風車を作っていたワクワクする気持ちを思い出したりもしました。」と、映画が製作されたことについての素直な気持ちも語った。

さらに、風車を作るにあたって一番困難だったことについては 「材料探し。お金がなかったし、手にした本にも何が必要な材料が描かれていなかったので、イマジネーションを駆使して見つけられるガラクタや廃品を集めてきた。さらに、多くの人が「あいつは頭が変になったんじゃないか」と言ったり、僕のやろうとしていることが全く理解できなかったりという中で作っていった。そもそも、現地のチェワ語には「風車」という言葉が存在していなかったんです。誰も風車を見たことがなかったし。」と、映画が伝えているよりさらに困難な驚くべき当時の環境について明かすと、福さんは、「最後に風車が完成して、皆んなで喜ぶシーンは、心からホッとしました。胸がぎゅっと締め付けられるようなシーンもたくさんある中で、観ている方も嬉しくなるようなシーンで、一番印象に残っています。皆んなが出来ないって決めつけていた中で達成した喜びというのは、すごく胸に残るものがありました。」とそれに対する自身の感動を伝えた。

映画の物語の後、アメリカに留学し未来を切り開いたウィリアムさんは、現在マラウイで、若い才能を支援するイノベーションセンターの立ち上げに取り組んでいるそう。「自分たちの夢やプロジェクトを形にしてもらえるような場所を作りたいという思いがあリます。若い才能ある人々に、それを発揮する場所を提供したい。自分自身も風車を作っている時に誰かに相談できたらなと思っていたんです。アメリカに進学して、世界中の方々と触れ合えて得ることができた知識を、色々な課題の解決に生かしていきたいと思います。」と将来のビジョンを語った。

一方で、福さんも常に新しいことにチャレンジしているとのことで、自身の目下のチャレンジについて「僕の家族や親戚と一緒に琴や尺八などの和楽器、けん玉をやっていたりするので、ウィリアムさんがマラウイを大事にしているように、僕は日本文化を大事にして頑張っていきたいです。」とキラキラと瞳を輝かせながらで語った。

最後に福さんからの「やってみることの素晴らしさ、諦めないことの大切さを感じさせてくれる、また、日本で今暮らせている自分が幸せものだなと気づかせてくれる映画。ぜひたくさんの人に見て欲しいです!」という熱いメッセージで締めくくられ、本イベントは大盛況のもとに幕を閉じた。

作品タイトル:『風をつかまえた少年』
監督・脚本・出演:キウェテル・イジョフォー『それでも夜は明ける』
出演:マックスウェル・シンバ、アイサ・マイガ
原作:「風をつかまえた少年」ウィリアム・カムクワンバ、ブライアン・ミーラー著(文藝春秋刊)
提供:アスミック・エース、ロングライド
2018年/イギリス・マラウイ/英語・チュワ語/113分/シネマスコープ/カラー/5.1ch/原題:The Boy Who Harnessed the Wind/日本語字幕:松崎広幸
配給:ロングライド

公式サイト:longride.jp/kaze/
コピーライト:(C)2018 BOY WHO LTD / BRITISH BROADCASTING CORPORATION / THE BRITISH FILM INSTITUTE / PARTICIPANT MEDIA, LLC

8月2日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館他全国順次公開

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