【アニメ感想】働く女性は必見?!サンリオ生まれの強烈キャラ『アグレッシブ烈子』はギャグアニメならず啓蒙アニメだった

アグレッシブ烈子Netflixオリジナル『アグレッシブ烈子』が全世界独占配信中だ。『アグレッシブ烈子』は、2015年にサンリオが開催した、会社員をテーマとした新キャラクターの一般人気投票企画「サンリオキャラリーマン総選挙」から誕生した。
一流商社でOLとして働く、レッサーパンダの主人公・烈子は、毎日ムカつく上司からの仕事や同僚の愚行に不満がたまりつつも、言い返せず我慢する日々。そんな烈子の趣味は、仕事帰りに一人でカラオケに行き、デスボイスでメタルを歌ってストレス発散すること。会社というサファリパークで日々奮闘する姿を描く、ハイテンションギャグアニメということで、さっそく視聴してみた。

 

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視聴した作品:Netflixオリジナル『アグレッシブ烈子』

筆者、いきなり第一話から、かわいいレッサーパンダのキャラクターがデスメタルを歌いまくる強烈ボイスと豹変画には驚いた、笑。
慣れてくれば、「はい、次デスメタルくるね、くるね、来たわー」というノリで観ることができるのだが、なかなかシュールで迫力ある絵面に、予備知識なく本作を視聴された方は、のっけからパンチを食らこと間違い無しの迫力だ。

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なぜ夢のある愛くるしいキャラクターを生み出してきたサンリオが、この手のキャラクターとストーリーを制作したのかは疑問に思いつつも、社会にでれば、夢見る乙女ではいられない、可愛いだけでは通用しないということを暗に伝えているのか、、、と深読みするほどのこともなく、気軽に観れる作品であった。

烈子の日常は、いわゆる「仕事あるある」であるが、動物キャラクターが擬人化しているので、実際にむかつく上司や同僚がいても彼等と重なることなく観れたのは良かった。
確かにテンションの高いギャグアニメだが、ストーリーが進むにつれて、要所要所で「キメ台詞」を入れ込んでいるので、キャラクターの台詞に共感を覚える方もいるだろう。

アグレッシブ烈子

特に筆者(女性)は中堅社員であるせいか、烈子の上司、トン部長の「仕事ができない女の方が、仕事のできる女よりはいい」という第一話からのパンチには正直、笑ってしまった。実際にその通りの考え方を持つ男性が実社会において健在しているのも事実だ。

アニメ作品ではあるが、世の働く女性(男性も)の我慢どころとしんどさを、ストレートに且つシビアに描いている。烈子の我慢がピークに達する時の描写など、もはやサンリオキャラクターに在らず、冒険といわれる所以の破壊力だ。
そこに、並々ならぬ制作者の意図というか、こだわりを感じる。

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烈子は仕事が出来る出来ないに関わらず、模範的な良い人間であって、極めて真面目な普通人として描かれている。周囲の軋轢にもまれ、言いたいことも言えない我慢の日々、従順で自分さえ我慢していれば波風が立たないキャラクターを徹底して演じるOLだ。

物語は、そんな烈子の目から映る、個性豊な上司と同僚への感情を主軸に展開されているが、同時に烈子はストレスを抱えながらも現状に甘んじ、依頼心が強く、不満がありながらも自分が変わることがなく、周囲が変わることを期待するダメOLであることを、デスメタルに乗せて伝えていることが何とも挑戦的だ。

誰からも愛されるキャラクターがデスボイスのキャラに豹変するのである。
なんとも皮肉の効いた演出ではなかろうか。

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世の中には10人いれば、10通りの考え方がある。
その中で、自分の立ち位置を見つけるのが社会人としての第一歩だ。
烈子のような女性は世の中に巨万といる。そして誰もが、烈子のように恵まれた環境にはいない。口は悪いが本質を見抜く上司、いつも寄り添ってくれる同僚、陰で見守ってくれる人たち。

ストレス下においては、人間は不満しか持つことができない。
ちょっとした気遣い、優しさ、価値観の違いすらも、それは自分にとっての成長の糧になることに、いつ気が付くのか、考え方、見方ひとつで人間は如何様にも変わることができるということを烈子という極めて標準的キャラクターを使って見事に表現している作品であった。

何より、第八話から最終回までは見ものだ。
恋愛下手、なぜか彼と長続きしない女性はぜひ見てほしい。
特になんにでも頑張りすぎる人、「優しさ」「気遣い」「共感力」を大切にしている女性は一見の価値ありだ。
そして、男尊女卑のトン部長に、最後の最後で心に響くセリフを吐かせたところが心憎い。

一話15分の世界ながら、烈子を軸に様々な人間関係が描かれている。
所々で描かれる派手なパフォーマンスと相異なり、個々のキャラクターにビジネス社会における基本のセリフを何気なく盛り込んでいるのが愉快だった。

アニメと侮るなかれ。
烈子と同じく、いま悶々としながら仕事をしている人には何かの突破口になるシーンがみられるかもしれない。
本作で、少し成長した烈子の今後が気になるところだ。新たな展開を期待したい。

アニメと思って舐めていた(申し訳ない)が、不本意にもなかなか熱くさせる作品であった。

 

「アグレッシブ烈子」

2015年にサンリオが開発し、2016年第1弾シリーズの商品を発売、同年4月よりTBSの情報番組「王様のブランチ」内でショートアニメ(毎週1分)の放送をしている。
主人公の「烈子」は、毎日ムカつく上司からの仕事や同僚の愚行に不満がたまりつつも、言い返せず我慢する日々を送っている、一流商社で働くOL。趣味は「仕事帰りに一人でカラオケに行き、デスボイスでメタルを歌ってストレス発散すること」。
Netflix版「アグレッシブ烈子」(英語名:Aggretsuko)は、TVアニメシリーズから大幅にボリュームアップ。TVアニメで伝え切れなかった主人公・烈子と彼女を取り巻くキャラクターたちの日々を、コメディタッチかつハートウォーミング、そして少しドラマチックに描く。烈子がOL生活の日々の出来事を通じ、また仲間たちの助けにより「ちょっとだけ強くなる!」物語だ。2016年12月に、サンリオの米国法人が「アグレッシブ烈子」の紹介アニメの英語字幕版をYouTubeにて公開したところ、そんな「烈子」の姿に共感を覚える人、ハローキティに代表されるサンリオキャラクターのイメージとの違いに驚いた人など、欧米・アジアで瞬く間に話題となり、海外メディアでも大きく取り上げられた、注目のキャラクターである。

 

作品タイトル:「アグレッシブ烈子」
吹替対応言語:英語、中国語(広東語)、スペイン語などの8言語
字幕対応言語: 上記の他に、中国語(繁体字、簡体字)、韓国語などの23言語
配信元:Netflix
話数:10話(各話約15分)
原作:サンリオ
監督、脚本:ラレコ(代表作『やわらか戦車』、『英国一家、日本を食べる』等)
アニメーション制作:ファンワークス(代表作『やわらか戦車』、『がんばれ!ルルロロ』等)

公式サイト:https://www.netflix.com/jp/title/80198505
コピーライト:(c)’15’18 SANRIO CO., LTD. S/T・F

Netflixにて全世界独占配信中

 

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