『アンネ・フランクと旅する日記』製作の裏側が明らかに!監督へ託された難題とは…特別映像到着 ―公開中

アンネ・フランクと旅する日記

公開中の『アンネ・フランクと旅する日記』より、本作の製作の裏側を描いた特別映像が解禁された。

2009年にユネスコの「世界記憶遺産」に登録され、「世界で最も読まれた10冊」のうちの1冊に挙げられた「アンネの日記」。これまで幾度となく映像、舞台化されてきたが、本作はアニメーションでしか表現し得ないアプローチで、アンネ・フランクの生涯を、彼女が生み出した“空想の友達”キティーの視点でたどっていく。

アンネ・フランク基金(※1)が全面的に協力した本作は、2009年から始動し、「アンネの日記」が出版されて75周年を目指し、昨年のカンヌ国際映画祭に初お披露目、そして日本ではちょうど75周年目の2022年にようやく公開となった。

アンネ・フランク基金は制作の意図について、「「アンネの日記」は時代を超えて読み継がれているものの、時代とともに変化したストーリーテリングの技術や歴史の理解を踏まえ、現在、そして未来の世代に伝えていくため、“新しい言語=アニメーション映画”の必要性を感じていた」と語っている。

脚本・監督を依頼されたアリ・フォルマンは、奇しくもアウシュヴィッツ強制収容所を生き延びた両親を持つ。「基金は、ホロコーストの物語を伝える新しい方法を探していた」と振り返る。その際、フォルマンへの注文はふたつ。「現在と過去をつなぐこと」、「アンネが最期を迎えるまでの7ヶ月間を描くこと」。つまり日記には書かれていないその先の、ホロコーストについても、現代の子どもや若者たちに語り継ぐという難題がフォルマンに託された。

注文をクリアにするために、フォルマンは「アンネが空想した親友キティーに命を吹き込み、キティーを現代によみがえらせて物語を紡ぐ」という大胆な秘策を思いつき、アニメーションだからこそ可能にした表現方法で、過去から学び未来に繋がる物語として完成させた。

また本作は、アンネを通して現代の問題に目を向けさせる。アンネ・フランク基金は「今なお多くの子どもたちが紛争地域から逃れ、命の危機にさらされている。私たちが変化をもたらすためには、過去から学ぶ必要があるのではないでしょうか。「アンネの日記」を通して、過去を思い起こし、歴史の教訓を学び、ともに生き、対話することで、平和へ向かうように行動する必要があるのです」と強調する。

そして、2月16日に行ったオンラインインタビューで、次のように締めくくった。「戦争を繰り返さないという議論ももちろん大切だけど、とにかく話し合うことが必要なんだ。テーブルについて、武器ではなく言葉で問題を解決していくべきだと思う」。

※1 「アンネの日記」に関わるすべての印税が慈善や教育活動に使われるようするため、アンネの父オットー・フランクによって1963年に設立された。

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