『Flow』TAAF2025上映記念でギンツ・ジルバロディス監督と友永和秀が対談

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アニメーション映画『Flow』(3月14日(金)公開)の東京アニメアワードフェスティバル2025での上映を記念して、ギンツ・ジルバロディス監督とアニメーターの友永和秀との対談が実施された。

ギンツ・ジルバロディス監督の長編2作目となる本作。2025年ゴールデングローブ賞ではアニメ映画賞を受賞し、2025年アカデミー賞では長編アニメ賞、国際長編映画賞の2部門にノミネートされている。本編で描かれるのは、洪水に呑まれつつある世界を舞台に、時には運命に抗い、時には流され漂う一匹の猫と、道中を共にするさまざまな動物たちを見つめる、圧巻の映像体験だ。

『ルパン三世 カリオストロの城』をはじめ、宮崎駿や高畑勲らのもとでスタジオジブリ作品なども手掛けた友永は、「自分もアニメーターとして苦労して描いてきたが、『Flow』の水の表現には心を奪われた」と語る。ギンツ監督は「水は本当に難しかったです。水と言っても穏やかな水面から激しい水しぶきまで様々な表現があり、それぞれが全く違うものなので、異なる技法を考えねばなりませんでした。リアルさのみを追求するのではなく、色彩を少し強調するなど、本物の水より感情豊かにしたかったのです」と語る。

登場する主人公の猫をはじめ、犬、ヘビクイワシ(鳥)、キツネザル、カピバラなどの動物のアニメーションについて友永は、「自分が手がけてきた作品の動物はカリカチュアライズされているが、この作品では現実に近い動きで感情を表現をしていて驚いた」と述べる。ギンツ監督は「猫や犬など、普段見慣れている動物はよりリアルに、そうではない動物は少し誇張して描かれていると思います」と語る。

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また登場する動物については「猫や犬は実際に一緒に暮らしていた子たちがモデルです。鳥に関しては、猫を掴める力があり、威厳のあるリーダー的存在としてヘビクイワシを選びました。次に決まったのが、様々な動物と共存できるカピバラです。キツネザルを含め、動物たちのキャラクターはおのずと決まっていきました」と述懐する。

また、本作の特徴でもある、まるでその場に居合わせたようなリアリティあるカメラワークについては「まるで本当のカメラマンが撮ったかのようにしたかったので、手ブレのショットや、動物のアクションから少し遅れてカメラがついていくようなカットも採用しました。ただ場合によってはやりすぎると観客が酔ってしまうので、調整が必要でした」と裏側を語った。

友永が大きく感銘を受けた長尺のワンショットについては「同様のカットはいくつもあり、最長で5分くらいです。今回のために新しい方法を考案する必要がありました。私がすべてのカメラワークを決めたのですが、1年半かかりました」と長きに渡る制作のバックグラウンドについて述べる。「このようなロングショットを使用したのは、観客にまるで自分が猫になったかのような臨場感と一体感を与えるためです。遠くから見ているだけでは、猫との一体感は感じられません」と確固としたビジョンの元、作り上げられたことを語った。

友永はアニメーターとして、あまりに複雑なカットは各所相談の上、割って進行する場合が多いが、高畑勲監督は明確なビジョンの元、「なぜこのショットが必要なのか」ということを力説し、当初のプラン通りに運ぶよう持っていくことが多かったと述べる。それを受けたギンツ監督は「本作の特徴は、編集とカメラだと思います。従来の作品では、このように引き込まれる作品にはならなかったでしょう」と唯一無二の独創性について語る。その他、無料のオープンソフトである「Blender」を使用した作品制作など、『Flow』制作においての詳細なバックグラウンドが公開に。

ギンツ監督は「本作は非常に独創的で、観たことのないアニメーションだと思います。ぜひ大画面で、この世界に没入してください」と結んだ。

TAAF2025での『Flow』上映は2025年3月7日(金)19:00よりTOHOシネマズ 池袋にて。チケットは、2月6日(木)AM0:00~販売開始。

『Flow』ギンツ・ジルバロディス監督×友永和秀 特別対談(PART1)

『Flow』ギンツ・ジルバロディス監督×友永和秀 特別対談(PART2)

ストーリー
世界が大洪水に包まれ、今にも街が消えようとする中、ある一匹の猫は居場所を後に旅立つ事を決意する。流れて来たボートに乗り合わせた動物たちと、想像を超えた出来事や予期せぬ危機に襲われることに。しかし彼らの中で少しずつ友情が芽生えはじめ、たくましくなっていく。彼らは運命を変える事が出来るのか?そして、この冒険の果てにあるものとは―?

『Flow』
監督:ギンツ・ジルバロディス
原題:Flow
2024/ラトビア、フランス、ベルギー/カラー/85分  映倫:G
文部科学省選定(青年/成人/家庭向き)
後援:駐日ラトビア共和国大使館
配給:ファインフィルムズ
(C)Dream Well Studio, Sacrebleu Productions & Take Five.

公式サイト:flow-movie.com
公式X:https://x.com/flow_movie0314

3月14日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷他にてロードショー

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