互いの顔を見たことがない姉と弟。私たちはなぜ生まれてきたのか―。
感動のドキュメンタリー映画『イーちゃんの白い杖』のDVDが2020年9月23日より、Amazonにて販売が開始される。
2018年11月、テレビ静岡(フジテレビ系列)は開局50周年を記念して、映画『イーちゃんの白い杖』108分)を静岡県内3映画館で先行公開した。
当初、上映は2週間を予定されていたが、連日観客が絶えず、1館は6日、1館は2週間続映となった。その後も「地域で自主上映会を開きたい」との声が後を絶たず、全国にイーちゃんの輪は広がっていった。
沖縄ではイーちゃんと同じ全盲の女性が「どうしても映画を観たい」と仲間に呼びかけ実行委員会を設立。500人規模の上映会を成功させたケースもあり、障がい者自身が立ち上がるきっかけにもなった。
2019年6月、東京のポレポレ東中野で上映開始に続き、横浜、長野(4館同時)、名古屋、京都と全国の映画館でも上映が行われ、2020年に入っても自主上映会の予約が後を絶たない中、新型コロナウイルスの流行によって上映会は中止や延期を余儀なくされることに。
そんな中、「自宅でイーちゃんに会うことはできないか」との問い合わせが相次ぎ、このたびのDVD化が決定した。以下、監督の橋本真理子氏のメッセージを紹介する。
「姉弟の絆、家族の絆を描いたこの映画こそ、人と人の心をつなぐはず。その願いを込めてDVD化を決めました。この映画で日本を、世界を元気にできれば幸いです。
DVDには、視覚障がい者のための音声ガイド、聴覚障がい者のための日本語字幕、外国の方向け英語字幕を収録しました。お好みで選択可能です。スマートフォンで操作可能なUDCastも機能しますのでイーちゃんたち目の不自由な人たちが映画をどう楽しんでいるのか、春風亭昇太さんのナレーションと副音声の両方を感じて下さい。障がい者を知る。道徳の教材にもぴったりです。」
2020年9月23日 映画『イーちゃんの白い杖』DVD発売!
※DVDは、スタッフの思いとイーちゃんのその後が分かるオリジナルパンフレット&ポストカード付き。
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イントロダクション
生まれつき目が見えないイーちゃん。本名小長谷唯織さんは20年前、県立静岡盲学校で白い杖の使い方や点字など、視覚障がい者として生きる基本を学んでいた。
触って、なめて、においを嗅いで。目が見えない世界は想像を超える発見があった。だが成長するにつれ「なぜ自分だけ違うのか」不思議に思うようになる。
そして、大勢友達がいた地元の保育園とは違い、同級生がいないさみしさを実感する。障がいを持った者同士、分かり合えると信じ、中学生になったイーちゃんは、東京の盲学校へ進学した。
しかし、ここで経験したのは、いじめ。
大好きなピアノで気持ちを整理しようとするが、心が追いつかなかった。
「現実から逃げないでほしい」と厳しく接する母。ピアニスト、歌手、作家。夢も破れ、何もかも嫌になった。
障がいがあろうがなかろうが悩みは同じだ。「学校にいても家にいてもつらい」「死にたい」とも考えた。
でもそばにはいつも2歳下の弟・息吹がいた。重度の障がいで、食べることも歩くこともトイレにもいけない弟。入退院を繰り返し、手術を何度経験しても前に進む弟。
イーちゃんは、自分の甘さに気づき、自殺を踏み止まる。「私の弟だから強いんだ!」障がい者が生き、働く。壁はいくつも乗り越えなければならない-しかし、乗り越えようとする強さがあれば、必ず幸せはやってくる。
<受賞>
1999年 「イーちゃんの白い杖-100年目の盲学校」 第8回 FNSドキュメンタリー大賞特別賞
2010年 「いおりといぶき-私たちが生まれた意味」 第19回 FNSドキュメンタリー大賞優秀賞
2011年 世界子どもの権利賞グランプリ
2019年度 児童福祉文化賞/第56回ギャラクシー賞「報道活動部門」奨励賞
制作スタッフ コメント
語り:春風亭 昇太
この映画は、障がいというより家族・兄弟とは何かを改めて考えさせられました。特に姉弟のシーンはダメです。自宅で映画映像を見た時からダメで、そのうち慣れるかと思いましたが慣れませんでした。
ナレーションを収録している間も、そのシーンが来ると見ないようにしていました。抱えるものは人それぞれ違いますが、障がいがあろうがなかろうが、根底は変わりません。いま、核家族化で離れて暮らしている方も多いと思いますが、家族のありがたさ、つながりをこの映画で感じてもらえたらうれしいです。唯織と息吹、2人には、あまり頑張らないで、これからを楽しく生きていってほしいと心から思います。是非、ご覧下さい。
音楽:川口 カズヒロ
目の不自由な姉弟のドキュメンタリー映画に歌を書く。プレッシャーもありましたが、イーちゃんと橋本監督が歌をとても気に入ってくれて、作って良かったと心から思っています。漠然と前向きな詞や応援歌は、私が健常者である以上、同情や上から目線に聞こえかねないと思い、主人公の強さや自分の弱さと向き合いながら作りました。主題歌「I―あい―」は、主人公「いおり」「いぶき」「生きる」「意味」の頭文字、「私」「目(eye)」「愛」…この映画の最大のテーマを一文字で表せる言葉にしました。歌詞に出てくる数字の「1」に似ているのも理由です。そしてタイトルの「」にも「守られている」「1人ではない」という意味を込めました。映画の意味が心に届く―私の音楽がその道標になれたら本望です!
監督:橋本真理子
-唯織と息吹 この出会いが、私を変えました-
障がい者にカメラを向けることがタブーとされていた20年前。盲学校100周年のニュース取材中、目の前を駆け抜けたのがイーちゃんです。
「この子は感性が違う」と直感し、同時に弟が重度の障がい児だと知ります。本当は1回目の番組で終わるはずでした。でも、唯織と息吹はこの先どう生きるのか、生きやすい社会になるのか心配でした。障がい児・医療的ケアが必要な子たちの教育、障がい者雇用、旧優生保護法。
正直この20年で新たな課題も浮き彫りとなり、何が解決したのか、答えに苦しむのが現状です。更には、2016年、神奈川県相模原市で重度障がい者を狙った殺人事件が発生、許せませんでした。人は年をとれば目も悪くなり、歩くのも億劫になる…誰もが、障がい者になると私は思います。唯織も息吹も少し早かっただけ。2人が生きやすい社会は、私たち自身が生きやすい社会になるはずです。障がい者が隠れて生きる社会はやめにしたい。障がいがあろうがなかろうが、誰にも生まれてきた意味がある―この思いを伝えたくて映画にしました。
制作番組 主な受賞歴
1999年 「イーちゃんの白い杖-100年目の盲学校-」第8回 FNSドキュメンタリー大賞特別賞
2000年 「笑顔が戻るまで-定時制高校からのメッセージ」前島賞
2001年 「こちら用務員室-教育現場の忘れ物-」第10回 FNSドキュメンタリー大賞グランプリ
2003年 「アンニョンハセヨ-朝鮮学校は今-」前島賞奨励賞
2007年 「章姫-父が残したイチゴ-」第23回 農業ジャーナリスト賞特別賞
2010年 「いおりといぶき-私たちが生まれた意味-」
世界子どもの権利賞2011グランプリ
第19回FNSドキュメンタリー大賞優秀賞
厚生労働省「児童福祉文化財」
2012年 「いのちの乳房-再建に挑んだ女神たち-」
第54回科学技術映像祭文部科学大臣賞
第50回ギャラクシー賞奨励賞
作品タイトル:『イーちゃんの白い杖』
語り:春風亭昇太
音楽: 川口カズヒロ(DATSUN320)
監督:橋本真理子
撮影:杉本真弓/編集:大澤裕也/効果:山川英夫/デザイン:森部道子
プロデューサー:永井 学
配給協力:浜松市民映画館
配給・制作:テレビ静岡
公式サイト:http://www.sut-tv.com/ichan/
2020年9月23日 映画『イーちゃんの白い杖』DVD発売!
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