本作は、第二次世界大戦下にホロコーストを生き延び、アメリカへと渡ったハンガリー系ユダヤ人建築家ラースロー・トートの30年にわたる数奇な半生を、監督・脚本を務めた弱冠36歳の気鋭ブラディ・コーベットが描き出した、壮大な人間ドラマ。
才能にあふれるハンガリー系ユダヤ人建築家のラースロー・トートは、第二次世界大戦下のホロコーストから生き延びたものの、妻エルジェーベト、姪ジョーフィアと強制的に引き離されてしまう。家族と新しい生活を始めるためにアメリカ・ペンシルベニアへと移住したラースローは、そこで裕福で著名な実業家ハリソンと出会う。建築家ラースロー・トートのハンガリーでの輝かしい実績を知ったハリソンは、ラースローの才能を認め、彼の家族の早期アメリカ移住と引き換えに、あらゆる設備を備えた礼拝堂の設計と建築をラースローへ依頼した。しかし、母国とは文化もルールも異なるアメリカでの設計作業には多くの障害が立ちはだかる。ラースローが希望を抱いたアメリカンドリームとはうらはらに、彼を待ち受けたのは大きな困難と代償だったのだ。
主人公のラースロー・トートを演じるのは、『戦場のピアニスト』(02)で第74回アカデミー賞(R)主演男優賞を受賞したエイドリアン・ブロディ。ラースローと共に数奇な運命をたどることになる妻エルジェーベトを演じるのは、『博士と彼女のセオリー』(14)で第87回アカデミー賞(R)主演女優賞にノミネートされたフェリシティ・ジョーンズ。アメリカへ渡ったラースローの運命に大きな影響を与える大富豪ハリソンを演じるのは、『L.A.コンフィデンシャル』(97)、『メメント』(00)などのガイ・ピアース。そのほか、ジョー・アルウィン(『憐れみの3章』(24))や、ラフィー・キャシディ(『トゥモローランド』(15))など、ハリウッドを牽引してきたベテラン実力派から注目の若手まで幅広い役者陣が顔をそろえている。
昨年12月20日の北米公開時には、限定公開ながらニューヨークとロサンゼルスで約30回の上映が完売し、4スクリーンで興行収入26万6,800ドル、1スクリーン当たりのオープニングは6万6,700ドルとヒットを記録。観客の大半は35歳以下で、ほぼ半数がLetterboxd(会員数900万人を超える映画レビューサイト)を通じてこの映画のことを知ったという。
また、映画批評サイト「Rotten Tomatoes」で93%という高スコアをたたき出しており、同サイトでは「エイドリアン・ブロディによる魂の演技と、監督・脚本のブラディ・コーベットにより完璧にデザインされた『ブルータリスト』は、移民体験に対する壮大なトリビュートだ」と総評。さらに、イギリスの大手新聞・The Guardianは本作を5つ星とし「素晴らしい!夢中にさせる大作」とレビューしている。
第81回ヴェネチア国際映画祭でプレミア上映され、銀獅子賞を受賞した本作は、第90回ニューヨーク映画批評家協会賞でも作品賞と主演男優賞を受賞したばかり。現地時間1月17日(金)には、いよいよ第97回アカデミー賞(R)のノミネートが発表される。
公式サイト:https://www.universalpictures.jp/micro/the-brutalist/
2025年2月21日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開