『バッドランズ(地獄の逃避行)』(73)や『シン・レッド・ライン』(98)、『ツリー・オブ・ライフ』(11)などで数々の賞を受賞したテレンス・マリック監督による映画『天国の日々』が、監督自身の監修により4Kレストア化され、4月4日より全国順次公開される。この度、本作の修復前・後の比較映像と、アザービジュアルが解禁された。

20世紀初頭のテキサスの壮大な農場を舞台に、人間の弱さともろさを美しい映像で描いた本作は、第32回カンヌ国際映画祭で監督賞、さらに第51回アカデミー賞(R)では撮影賞を受賞。日本では、約5年後の1983年に劇場公開された。
本編の夕暮れ時のシーンは全て、“マジック・アワー”と呼ばれる、1日にわずか20分しかない日没間近の柔らかい光の中で撮られ、本編のほとんどをこの時間に費やすという極めて異例の方法で撮影された。手がけたのはエリック・ロメール監督作品に多数参画し、フランソワ・トリュフォーらヌーヴェル・ヴァーグの作品でも撮影監督をつとめたネストール・アルメンドロス。
この度解禁されたのは、『天国の日々』の従来版と、4Kレストア版がどう変わったのかが一目で分かる比較映像。一本ずつ風に揺れる麦畑、マジックアワーの中のリチャード・ギアとブルック・アダムスなどがより鮮やかに詩的に表現されていることが分かる。
国立映画アーカイブの主任研究員・岡田秀則氏は、ここ数年で劇場公開が急増した4K版と、従来の2K版との違いについて、「画面の肌理が違う。デジタルスキャンによる解像度は、4Kでようやく科学分子からなる35mmフィルムのレベルに達する」と、今回の4K版で本来の姿となって復活したと解説。
さらに、これまでのフィルム映写機とDCP(現在主に使用されるデジタル素材)の違いについては「劇場の暗い環境で鑑賞することで、グラデーションの違いがよく分かる」とコメントしている。
併せてアザービジュアルも解禁。シカゴの工場でトラブルを起こし追われた青年ビルが、恋人のアビー、妹のリンダと共に、生きるために放浪し、テキサスへ向かう汽車でのワンシーンを切り取っている。

『天国の日々 4K』
出演:リチャード・ギア ブルック・アダムス リンダ・マンズ サム・シェパード ロバート・J・ウィルク ステュアート・マーゴリン
監督・脚本:テレンス・マリック
製作:バート・シュナイダー ハロルド・シュナイダー
撮影:ネストール・アルメンドロス ハスケル・ウェクスラー
美術:ジャック・フィクス
音楽:エンニオ・モリコーネ
1978年|94分|アメリカ|原題:Days of heaven|カラー|5.1ch|1.85:1
配給:アンプラグド
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公式サイト:unpfilm.com/heaven
公式X:https://x.com/daysofheaven4k
4.4(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開