『ミッキー17』ポン・ジュノ監督×『ゴジラ-1.0』山崎貴監督の特別対談映像公開

『ミッキー17』のポン・ジュノ監督と『ゴジラ-1.0』で第96回アカデミー賞(R)視覚効果賞受賞の山崎貴監督の特別対談映像が公開された。

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ポン・ジュノ監督が贈るアカデミー賞(R)受賞後初となる最新作『ミッキー17』は、《どん底》の使い捨てワーカー“ミッキー”による、権力者たちへの逆襲エンターテイメント。日本では3月28日の公開後、1人で作品を楽しむ映画ファンのみならず、カップルでの鑑賞や学生のグループ客も見受けられ、IMAX(R)をはじめとするラージフォーマットや吹替版など、様々な形で本編を楽しむ観客で劇場が賑わっている。

最初に口を開いた山崎監督は、「ちょっと打ちのめされましたね、僕も次の次の映画をアメリカで撮る事になっているのですが、こんな作品ができてしまうとやたらハードルが高くなってしまって本当に迷惑だなと思いました」と思わず苦笑いする。ポン・ジュノ監督がナチュラルな日本語で「すみません」と笑顔で応じ、興味津々に「次の次に撮るアメリカの作品がどのようなものか気になります。怪獣ものですか?」と問いかける。「怪獣…ではないです。が、大きなVFXをたくさん使う映画になります」と明かすと「ほんとー」というリアクションが。

ロバート・パティンソン演じる2人のミッキーを描く映像表現と並んで、『ミッキー17』の大きな見所の一つが、大雪原を舞台にクリーパーたちが群れをなす壮大なクライマックスだ。山崎監督は「僕はVFXのオタクなのでわかるのですがアメリカで本当に一流のとてもお金のかかるチームを使って、しかも大スペクタクルシーンがあるじゃないですか。だからそれをホントどうやってやったのか知りたい」と満面の笑顔で尋ねる。

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『ミッキー17』メイキング画像

「確かにこのVFXの中でも核心の要素となるのが今(山崎監督が)抱いていらっしゃるクリーパーです」とぬいぐるみを指さしたポン・ジュノ監督は、物語の鍵を握るクリーパーについて「ベイビークリーパー、ジュニアクリーパー、ママクリーパーの3種類が出てきますが、ゴジラとミニラのように最も大きな予算が投じられたのがクリーパーでした」と説明。

さらに、「ゴジラは歴史的な伝統があるスーパースター怪獣ですので、そこから新たなバリエーションを作り出すというのはむしろ難しさもあり悩みもあったのではないかと思います。それとは違い私の場合は何もないところからのビジュアルでしたので、もちろん難しさはあったとは思いますが自由さもあったと思います」と語った。

続けて「今回クリーパーのクリーチャーデザインを担当している方は『オクジャ/okja』や『グエムル-漢江の怪物-』でご一緒した方だったので“あうんの呼吸”で作ることができました。最初の出発点でクリーパーのイメージとして私が出したのはクロワッサンのパンだったのです」と、原作では「ムカデ」と表現されていたクリーパーの誕生秘話を明かした。そして「もし明日の朝ごはんでクロワッサンを召し上がるのであれば是非注意深く見てみてください。特にママクリーパーによく似ています」とユーモア溢れるコメントで笑顔を誘う場面も。

本編を観ることでどんどん可愛さが増していくクリーパーは、「作っている当時は気づかなかったのですがポスプロの段階で見た時に、あーこれは『風の谷のナウシカ』の王蟲に似ているなぁと思ったのです。もしかしたら自分の中に眠っていた潜在的なものが影響を与えたのではと思いました。子供のころから宮崎駿監督の作品は数十回見てきましたから」と敬愛する宮崎監督の影響について言及。

『ミッキー17』を鑑賞した観客からも王蟲を連想させるという声が多数発信されているが、観客の代表でもある山崎監督は、「すごいなと思ったのが、普通に見たら気持ち悪いものがどんどん可愛くなっていって…、あれを助けたい!…という気持ちで劇場が一体となる瞬間があると思うんです。それはやはりなかなかできないことです」と、得体の知れない存在であったクリーパーが物語の進捗に合わせてどんどん愛らしくなっていくポン・ジュノ監督の演出手腕を絶賛している。

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「『ゴジラ-1.0』では実際に触っているような手触りが感じられるような感覚があったと思います。CGで100%表現するのではなく物理的なエフェクトを使われていると聞きました。53年のクラシックのオリジナルゴジラの時はデジタルの効果はなかったはずですから、その当時に向けた郷愁のようなものを込めたのかなと思いました」と、ポン・ジュノ監督が改めて『ゴジラ-1.0-』の表現を讃えると「予算がなくて手作りでやるしかなかった…」と恐縮した様子で山崎監督が苦笑い。ポン・ジュノ監督からは「クラシックな怪獣を見ていると、着ぐるみの中の演者が東宝のセットで怪獣の頭を脱ぎタバコを一服している姿を一度見てみたいなと、そんなことを想像してしまいます」と思わずほっこりするコメントが飛び出す。

最後に日本の観客に対するメッセージを求められた山崎監督は、「社会的な問題も扱っているのですがとにかく面白いんですよ。それがこの映画の何よりの特徴だと思います。ひたすら面白い。ずーっとずーっと、どうなるんだどうなるんだという気持ちを持ちながら最後にすごいところに連れていかれる映画なので、劇場で是非、観ていただきたいです。ちょっと宣伝では伝わってないくらい大スペクタクルがたくさんあるんですよ。だからこの面白さを伝えたいですね。観てくれ、とにかく観てくれということを伝えたいです。ほんと素晴らしい作品です。これが作れて羨ましいし、良かったと思います。是非劇場でご覧ください」と語った。

ポン・ジュノ監督は、「観客の皆さんには楽しんで観てほしい、そういう気持ちでずっと作っているんです。正直に言うと、自分自身が楽しめる映画を撮りたい。そんな子供のような気持ちで映画を撮っているんです。最終的にはとにかく観客の皆さんに是非楽しんでいただきたいです」と、結んでいる。

ストーリー
人生失敗だらけの“ミッキー”(ロバート・パティンソン)が手に入れたのは、何度でも生まれ変われる夢の仕事、のはずが……?それは身勝手な権力者たちの過酷すぎる業務命令で次々と死んでは生き返る任務、まさに究極の“死にゲー”だった!しかしブラック企業のどん底で搾取されるミッキーの前にある日、手違いで自分のコピーが同時に現れ、事態は一変。使い捨てワーカー代表、ミッキーの反撃が始まる!

『ミッキー17』
出演:ロバート・パティンソン、ナオミ・アッキー、スティーブン・ユァン、トニ・コレット、マーク・ラファロ
監督・脚本:ポン・ジュノ
製作年:2025年
製作国:アメリカ
映倫区分:G
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C) 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

公式サイト:mickey17.jp

大ヒット上映中
4D/Dolby Cinema(R)/ScreenX/IMAX(R) 同時公開

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