パヤル・カパーリヤー監督による映画『All We Imagine as Light』が、『私たちが光と想うすべて』の邦題で7月25日に公開されることが決定。本ビジュアルポスターとメイン写真が解禁された。
インド映画として30年振りに第77回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門入りを果たした本作。グレタ・ガーウィグ監督を審査員長に、日本から審査員として参加した是枝裕和監督からも称賛されパルム・ドールを受賞、インド映画史上初のグランプリを獲得した。さらに、ゴールデン・グローブ賞など100以上の映画祭・映画賞にノミネートされ25以上の賞を受賞、オバマ元大統領の2024年のベスト10に選ばれ、70か国以上での上映が決定するなど、世界中から高評価を獲得している。
インドのムンバイで看護師をしているプラバと、年下の同僚のアヌ。二人はルームメイトとして一緒に暮らしているが、職場と自宅を往復するだけの真面目なプラバと、何事も楽しみたい陽気なアヌの間には少し心の距離があった。プラバは親が決めた相手と結婚したが、ドイツで仕事を見つけた夫から、もうずっと音沙汰がない。アヌには密かに付き合うイスラム教徒の恋人がいるが、親に知られたら大反対されることはわかっていた。
そんな中、病院の食堂に勤めるパルヴァディが、高層ビル建築のために立ち退きを迫られ、故郷の海辺の村へ帰ることになる。揺れる想いを抱えたプラバとアヌは、一人で生きていくというパルヴァディを村まで見送る旅に出る。神秘的な森や洞窟のある別世界のような村で、二人はそれぞれの人生を変えようと決意させる、ある出来事に遭遇する――。
本作の監督を務めたムンバイ生まれの新鋭カパーリヤーが、最初に世界で注目を集めたのは、初の長編ドキュメンタリー映画『何も知らない夜』。2021年のカンヌ国際映画祭監督週間でベスト・ドキュメンタリー賞に当たるゴールデンアイ賞、2023年の山形国際ドキュメンタリー映画祭インターナショナル・コンペティション部門でロバート&フランシス・フラハティ賞（大賞）を受賞。鋭く政治的でありながら美しく詩的なハイブリッド作品と高評価を受け、ドキュメンタリーというジャンルの可能性を広げ、初の長編劇映画となった本作で、見事カンヌ国際映画祭グランプリを獲得した。
光に満ちたやさしく淡い映像美、洗練されたサウンド、そして詩的で幻想的な世界観を紡ぎ出し、これまでのインド映画のイメージを一新。「ウォン・カーウァイを彷彿とさせる」と評判を呼び、シャーロット・ウェルズ監督（『aftersun／アフターサン』）、セリーヌ・ソン監督（『パスト ライブス／再会』）など30代の若手女性監督たちの作品が世界の映画祭で脚光を浴びる中、現在39歳のパヤル監督もまた、世界中から新たな才能として注目を集めている。
さらに「夜のムンバイを背景にした孤独なロマンスを、これほど美しくとらえた映画は初めてだ」（Variety）、「心を奪われない人はいないはず」（BBC）「完璧な1作」（Les Inrockuptibles）との評価も寄せられ、初長編劇映画にして70か国以上での公開が決定している。
解禁された本ポスターは、夜のムンバイの駅のホームに静かに佇むアヌの姿を捉えたもの。カパーリヤー監督が映し出す、夜の青い光と影の美しいコントラストの中で浮かび上がるアヌの静かな眼差しが、「運命から、解き放たれる」というキャッチコピーと深く呼応する印象的なビジュアルだ。
そして、シーン写真は外国へ行ったきりのプラバの夫から突然＜炊飯器＞の贈り物が届く様子を映し出したもの。長年音沙汰がなかった夫からの唐突なプレゼントに戸惑いながら、ルームメイトのアヌとあれこれ推察しあう様子は、寄り添い、時にはそっと距離を置く―そんな、もどかしくも心地良い二人の関係が伝わってくるようだ。
プラバを演じるのは、『Biriyaani（原題）』でケーララ州映画賞・主演女優賞を受賞、2024年度東京フィルメックスでも上映され話題を呼んだ『女の子は女の子』にも出演したカニ・クスルティ。アヌには『Ariyippu（原題）』でロカルノ国際映画祭国際コンペティション部門主演女優賞にノミネートされたディヴィヤ・プラバ。パルヴァディには、日本でもスマッシュヒットを記録したインド映画『花嫁はどこへ？』のベテラン俳優のチャヤ・カダム。
『私たちが光と想うすべて』
出演：カニ・クスルティ、ディヴィヤ・プラバ、チャヤ・カダム
監督・脚本：パヤル・カパーリヤー
原題：All We imagine as Light／2024年／フランス、インド、オランダ、ルクセンブルク／マラヤーラム語、ヒンディー語／118分／1.66:1／字幕：藤井美佳
PG12
配給：セテラ・インターナショナル
(C) PETIT CHAOS – CHALK & CHEESE FILMS – BALDR FILM – LES FILMS FAUVES – ARTE FRANCE CINÉMA – 2024
公式サイト：watahika.com
公式X：https://x.com/Watahika_cinema
7月25日（金）よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかロードショー