第74回カンヌ国際映画祭にてグランプリ&フランソワ・シャレ賞、第93回ナショナル・ボード・オブ・レビュー脚本賞、外国語映画賞などを受賞し、第79回ゴールデングローブ賞非英語映画賞にノミネート、本年度米アカデミー賞国際長編映画賞ショートリストに選出された『英雄の証明』(4月1日より全国順次公開)より、本編映像とアスガー・ファルハディ監督からのコメントが解禁された。
解禁されたのは、美談の英雄に祭り上げられた男が一転、SNSで持ち上がった疑惑に翻弄される本編映像。借金のため刑務所に服役しているラヒムは、休暇中に拾った金貨を返却したことで、「正直者の囚人」とマスコミに取り上げられ、一躍有名人となる。仕事を斡旋してもらえることになり、意気揚々と面接に出向くが、なぜか雲行きが怪しい。「あなたを採用する前に事実確認をしたい」と面接官より言われ、金貨の持ち主の電話番号や住所を矢継ぎ早に聞かれるも、何も答えられないラヒム。さらに、この善行が作り話かもしれないとSNSなどでウワサとなっており、疑念を抱いていると告げられる。驚きを隠せないラヒムだったが、「息子に誓って嘘はついていない」と伝えると「なぜ誓う必要が?」と冷たく突き放されてしまう…。
ラヒムの時に人をイラつかせる微笑について、アスガー・ファルハディ監督は「この映画に登場するのは言わば“グレー”な登場人物たちです。型にはまっておらず、一面的でもないのです。日々の生活に登場する実在の人物のように、この映画の登場人物たちには陰影があり、また、彼らは相反する感情を持つ傾向があり、決断しなければならなくなると苦悩してしまうというわけです。ラヒムの微笑は、数ヶ月間のリハーサルでどのような演技をするか絞り込んでいく中で段々と露になってきたラヒムの特徴です。彼の日常生活の一部である“グレー”な性格を与えるにはどうすれば良いかということだったのです。」と話している。
どんどん追い込まれてしまうラヒム。彼は本物の“英雄”か、それとも世の中を騙す“ペテン師”なのか。真相はぜひ劇場で確認してほしい。
ストーリー
大きな正義感と小さな嘘で狂ってゆく人生の行方は――。借金にあえぐ男に舞い込んだ千載一遇のチャンス。
イランの古都シラーズ。ラヒムは借金の罪で投獄され服役している。そんな彼の婚約者が偶然にも17枚の金貨を拾う。借金を返済すればその日にでも出所できる彼にとって、まさに神からの贈り物のように思えた。しかし、罪悪感に苛まれたラヒムは落とし主に返すことを決意。そのささやかな善行は、メディアに報じられると大反響を呼び“正直者の囚人”という美談の英雄に祭り上げられていく。ところが、SNSを介して広まったある噂をきっかけに状況は一変。周囲の狂騒に翻弄され、無垢な吃音症の幼い息子をも残酷に巻き込んだ大事件へと発展していく。
作品タイトル:『英雄の証明』
出演:アミル・ジャディディ、モーセン・タナバンデ、サハル・ゴルデュースト、サリナ・ファルハディ
監督・脚本・製作:アスガー・ファルハディ
2021年/イラン・フランス/ペルシア語/2.39:1/5.1ch/127分/原題:GHAHREMAN/英題:A HERO/日本語字幕:金井厚樹/字幕監修:ショーレ・ゴルパリアン/後援:イラン・イスラム共和国大使館イラン文化センター、在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ
提供:シンカ、スカーレット、シャ・ラ・ラ・カンパニー、Filmarks
配給:シンカ
公式サイト:https://synca.jp/ahero/
コピーライト:(C) 2021 Memento Production – Asghar Farhadi Production – ARTE France Cinéma
4月1日(金)Bunkamuraル・シネマ、シネスイッチ銀座、新宿シネマカリテにて公開
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