映画『ビルド・ア・ガール』女の子たちの困難を描くために、本作がすべて女性スタッフで作り上げられた意味―10月22日公開

『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』、『レディ・バード』のビーニー・フェルドスタイン主演、青春エンパワーメントムービー『ビルド・ア・ガール』がいよいよ10月22日(金)より公開。本作は、文才と想像力を武器に大人社会に飛び込んだ高校生・ジョアンナが、失敗や挑戦を繰り返しながら、がむしゃらに成長していく青春ストーリーだ。

イギリスの人気コラムニストで、影響力のあるフェミニストのひとりとして知られるキャトリン・モランが2014年に発表した半自伝的小説『How To Build A Girl』をもとに映画化された本作。

今回、脚本も担当したキャトリン・モラン本人以外にも、監督には「The Sound of Music Live」で英国アカデミー賞最優秀監督賞を獲得し、本作が初の長編映画作品となるコーキー・ギェドロイツ、プロデューサーには『ブリジット・ジョーンズの日記』(01)や『レ・ミゼラブル』(11)などを製作したデブラ・ヘイワードと、『ウォルト・ディズニーの約束』(13)などを手掛けてきたアリソン・オーウェンが担当。
さらにプロダクションデザイナーには『ペネロピ』(2006)、『17 歳のエンディングノート』(2012)、『マイ・ベスト・フレンド』(2015)などを担当したアマンダ・マッカーサー、メイクには『裏切りのサーカス』(2011)、『ボーン・レガシー』(2012)など多くの作品に参加しているスー・ワイバラ、衣装を『ヘルボーイ』(2019)、『エンド・オブ・ステイツ』(2019)、『ヒットマンズ・ボディガード』(2017)などを手掛けたステファニー・コリーが担当するなど、本作は主要なスタッフはすべて女性で固められている。

コーキー・ギェドロイツ監督

その理由を、原作者のキャトリン・モランは「もし男性の監督だったら、生理とかセックスシーンのイメージとか、一から説明しないといけないじゃない。ガールズトークの言語を、いちいち翻訳して伝えないといけないわけ。女性の監督ならそんな手間はいらないしね。」と語る。

90年代のイギリスを舞台に主人公の高校生・ジョアンナがたぐいまれなる文才を活かし、音楽ライターとして活躍するも失敗し、自分を見失ったり、傷ついたり、男性だらけの編集部で生き残ろうとしていく姿を描く本作は、随所で女の子が実際に遭遇する困難や問題が描かれている。しかし、それらを悲観的ではなくあくまで人生の一つのポイントとして描かれているのが本作の特徴だ。そのためにも、言語で説明できなくとも同じ経験をしている女性スタッフたちが集められたのは必然だった。

そんな本作の脚本については、原作小説から大幅な修正が加えられたものの、本質のメッセージを損なわないように思春期の少女の心の旅を描いていくため、執筆にはなんと2年もかけられた。
モランは特に女の子たちが実際に人生の中で抱えている困難について取り上げることで、本作が大きな助けになると考えて脚本を作り上げたと同時に、“10代の女性のセクシュアリティを表現すること”も、もう一つの重要なテーマだと明かす。「彼女は魂の旅を経験する必要はないの。重大な教訓を学ぶ必要もない。」と語るモランは、「10代の男の子がセックスするのは見たことがあるけど、10代の女の子がマスターベーションをしたり、何のしがらみもなく男の子とセックスしたりする映画は見たことがない。」と、これまで描かれてきた映画の主人公像にも疑問を投げかける。

「私が文章を書く上で肝に銘じているのは、タブーとされていること、人々が恐れていること、暗闇の中にとどめておきたいと思っていることを探し出し、そこに巨大なアークライトを当てて、スプーンで鍋を叩きながら走っていって、「これからはこういう話をしましょう」と言うこと。『もう恥じなくていい。秘密にしなくていい。これは笑えて面白いことなんだ』って。女の子たちに映画を見てもらって、『私は変人じゃない』と思ってもらいたいの。自分の作品を読んで『自分が普通になった気がする』と思ってほしいの。」とモランは女性たちへの想いを語る。

「私は “普通”という言葉の定義を誰が握っているのかにずっとこだわっていて、それは私たちがこれから広げていかなければならない辞書だと思う。太った女の子だったこと、労働者階級だったこと、想像力が旺盛すぎたこと、そして長い間、セックスしすぎだったこと。そういう自分の経験を、今、私たちが普通だと思っている世界に持ち込みたいと思ったのよ。」といわゆるタブーとされていることを“普通”として描いていくためにも、あえて女性スタッフたちによってつくられる必要があった。

そして、「『10代がどれだけ危険で、ダークになることを私は知っている。それをすべて映画にぶち込むから、一緒に見ましょう。最後には何もかも万事解決するから』と言ってくれる作品が必要なのよ」というモランの期待通りとなった本作は、まさに10代だけでなく様々な10代を過ごしてきたあらゆる女性たちの背中を押す作品となっており、一足先に本編を鑑賞した女性からも「自分の人生を作るのは自分なんだと強く思わせてくれる」、「失敗を昇華させありのままの自分を表現していく様がキュートで、自然と元気がもらえる」、「とにかく共感できて何かを変えたい気持ちと、成功と失敗またやり直しが聞くってことに希望を持たせられた」といった共感が相次いだほか、男性からも「自分と重ね合わせて泣いてしまった」と絶賛されている。

“大人社会”に飛び込んだ高校生・ジョアンナのクソったれで愛しい日々に共感必至!青春エンパワーメントムービー『ビルド・ア・ガール』は、10月22日(金)より全国順次ロードショー

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