『毒戦 BELIEVER』「ジョニー・トー版よりウェット!」公開前夜祭イベントレポート&公開記念ムービングポスター解禁!

毒戦 BELIEVER

韓国で『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『デッドプール2』を押さえ初登場第1位を記録し、日本でも熱狂的なファンを持つ潜入捜査ノワールの傑作『新しき世界』(2013)を超える観客動員数500万人を突破。その圧倒的な完成度と個性に魅了され『毒戦』中毒者が続出、異例の完全版まで公開された驚異のヒット作『毒戦 BELIEVER』がいよいよ10月4日(金)シネマート新宿ほかにて全国順次公開となる。

その公開を記念し、本作のオリジナルであるジョニー・トー監督作『ドラッグ・ウォー 毒戦』と『毒戦 BELIEVER』の2作連続上映が、10月3日(木)シネマート新宿にて開催され、さらに映画ライターのよしひろまさみちさん、ライターの西森路代さんのトークイベントも実施された。

公開前夜の『毒戦 BELIEVER』と本作のオリジナルである、香港ノワールの名手として知られる巨匠ジョニー・トー監督作『ドラッグ・ウォー 毒戦』(12)の2作品が連続で鑑賞できる貴重な機会とあって、平日夜にもかかわらず多くの観客が劇場に集結。まずは久しぶりのスクリーン上映となった『ドラッグ・ウォー 毒戦』を鑑賞後、その余韻が冷めやらぬうちに、よしひろまさみちさんと西森路代さんによるトークイベントがスタートした。

まず、オリジナルである『ドラッグ・ウォー 毒戦』の感想について、よしひろさんは「私すごい好きで。WOWOWの放映が5年くらい前に確かあったのですが、最初のルイス・クーが吐きながら車でぶっこんでくる掴みからOKで!しかも聾唖の技術者がまさかの最強キャラだったりと、作品に惹かれまくって暇さえあればみていました」と熱い思いを披露。西森さんも「香港映画から映画好きになったこともあり、ジョニー・トーということでみたのだけど、それまでみていた『ザ・ミッション 非情の掟』のように緊迫した黒社会の中の絆というか、心が通じ合う、というものにくらべても本作はめずらしく情が排除されていた印象でした」とコメント。

するとよしひろさんは「本作はすべて中国でのロケで、これはジョニー・トーにとっても初めての経験。当時私の香港人の友達はみんな“ジョニー・トーは中国に心を売った”と嘆いていた(笑)」と当時をふりかえりつつ、「ただ香港映画界の状況を考えると、中国の資本が入らないと大きな映画は作れない。某配信で観られるジョニー・トーのドキュメンタリーでも語られているのですが、検閲システムが全く違うところでやらなければいけないし、スタッフのモチベーションも香港とは違うし、そういったジレンマをかかえたまま、『ドラッグ・ウォー』を作った。そしてこれは私の憶測だけれど、北京語に囲まれながら悶々と作っていて、編集で“もう情なんてすべて捨ててしまえ!”ってことになったのではないか」という鋭い解説が。

一方、西森さんも「ルイス・クー演じる、登場人物で唯一の香港人が中国に飲み込まれない、という執念と、刑事の執念を描いて、韓国映画のように通じあってはいけない、というのがあったのでは。今の香港の情勢をみても、香港の映画人として、ずっと持ち続けていたものだったんだなぁ、と改めて感じました」という、興味深い考察には会場でお客様がうなづく様子も。

そして、ついに10月4日から公開となる、韓国版『毒戦 BELIEVER』へ話が移ると「これから韓国版見ていただければわかると思うのですが、これリメイクと言いつつ、全然別物です」とよしひろさん。「通常どこかの国の素晴らしい作品をリメイクします、となると、ものすごいダメにするか、まったくおなじものにするか、だと思うんです。例えば、『インファナル・アフェア』を『ディパーテッド』にしたとき、(監督の)スコセッシは“俺はオリジナルをみていない”と言っていましたが、カット割りまで一緒じゃん、へぇ~イタコってすごいね、と思ったわけです。一方、韓国映画の『サニー』がベトナムや日本版になったり、私、日本版大っ嫌いなんですけど。せっかくのいい脚本があるのに・・・」と続けつつ、「今回は『ドラッグ・ウォー』があまりにもよくできたハードボイルドで、『毒戦 BELIEVER』は、そのオイシイところを掻い摘みつつ、まったく違う作品になっています」と解説。

西森さんも「例えば同じ韓国映画の『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』、あれは私はラブロマンスだと思っているのですが(笑) 、本作においても信じるか、信じないか、お互いがお互いをどう思っているんだろう、というの彼らの「情」の部分も見どころですね」とし、さらに「リュ・ジュンヨル演じるラクが、ジョニー・トー版でいうとルイス・クーと同じ役なのですが、年齢もイメージも違うし、オリジナルの死刑になるという切羽詰まった状況とは違うので、何かずっと刑事よりも余裕があるというか達観している顔をしているんです。それを演じきれるのはリュ・ジュンヨルしかいないよな、と思いました」と力説。また「チョ・ジヌン演じる刑事が、オリジナルと同じく氷風呂に入るシーン。もともとあったアイディアをもっと面白くするためにどうしたらよいかと考え抜いて作られていたし、ジヌンさんはすごく色気があった。それに潜入捜査で、狂った人になりきるところも、俳優にとっては演技の中でもう一つ嘘をつく、というか、魅力的なシーンだな、と思います」と俳優陣を絶賛。

よしひろさんからは「あと、本作はジョニー・トー版と比べて、本気の狂人でてきます。こんな人が本当にいたらヤバいよね、というレベルの人が(笑)そして、一回見ただけでは消化しきれないはず。私は実は三回みてはじめて、ファーストシーンのあれってこれだったのね、と気づいたこともあり、ぜひ何度でも見ていただきたいですね!」と熱いコメントが。最後に、「1つだけ言えるのは、『毒戦 BELIEVER』はウェットです。これがザ・韓国ノワールです」(よしひろさん)、「『新しき世界』以降は、これが韓国のノワールだというものができてきて、そのあとも前のものを超えようとやってきている。そういう意味では本作が現在の集大成といえるのでは」(西森さん)とますます『毒戦 BELIEVER』への期待が高まるコメントで締めくくられた。

さらに、公開を記念し、本作の魅力を体現する“濃い登場人物たち”のムービングポスターが解禁された。チョ・ジヌン演じるウォノ刑事の精悍さ、リュ・ジュンヨル演じるラクの眼差し、チャ・スンウォン演じる残虐なクリスチャンの不気味な微笑など、一度みたら忘れられないキャラのオンパレードだ。
韓国最高峰の演技派・クセ者俳優陣が繰り広げる、一度見たら魂まで毒される<狂気>の演技合戦、そして衝撃のラストをお見逃しなく。

ストーリー
巨大麻薬組織に君臨し、その悪名を轟かせているにも関わらず、誰ひとり本名も経歴も、顔さえ知らない麻薬王“イ先生”。麻薬取締局のウォノ刑事(チョ・ジヌン)は、組織壊滅のため長年イ先生を追っているが、いまだにその尻尾すら掴めない。ある日、麻薬製造工場が爆破され、事故現場から一人の生存者・ラク(リュ・ジュンヨル)が発見される。ウォノ刑事は組織に見捨てられたという青年・ラクと手を組み、大胆かつ危険極まりない筋書きによる、組織への潜入捜査を決意する。そこは麻薬に魅入られた狂人たちの巣窟だった――。

作品タイトル:『毒戦 BELIEVER』
出演:チョ・ジヌン『お嬢さん』 リュ・ジュンヨル『タクシー運転手 約束は海を越えて』
キム・ジュヒョク 『ビューティー・インサイド』、チャ・スンウォン『ハイヒールの男』、パク・ヘジュン『ミセン -未生-』
監督:イ・ヘヨン 『京城学校:消えた少女たち』
脚本:チョン・ソギョン『お嬢さん』『渇き』『親切なクムジャさん』
原題:Believer/2018年/韓国/韓国語/124分/カラー/シネスコ/字幕翻訳:根本理恵
配給:ギャガ・プラス

公式サイト:gaga.ne.jp/dokusen
コピーライト:(c)2018 CINEGURU KIDARIENT & YONG FILM. All Rights Reserved.

10月4日(金)シネマート新宿ほか全国順次ロードショー

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