代表作から紐解く、心優しき映画プロデューサー フィリップ・ルスレとは『デュオ 1/2のピアニスト』公開中

実在するフランスの双子の天才ピアニスト、プレネ姉妹の数奇な運命と人生をモデルに、難病により夢を奪われた双子姉妹の苦難と葛藤と成功の物語を描いた、映画『デュオ 1/2のピアニスト』が絶賛上映中。

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本作を手がけるのは、数々のヒット作を手がける映画プロデューサーのフィリップ・ルスレだ。
フランスの民間テレビ局Canal+の創始者アンドレ・ルスレを父に持ち、フランスのパリ西部の街で育ったフィリップは、教室にいるよりも長い時間を映画館で過ごす学生で、14歳の頃にはすでに映画プロデューサーになりたいという夢を持っていた。

21歳にはアメリカに行き、制作スタジオで5年ほど働いたのち自身の制作会社を設立。しかし、美しく優しい家族の物語が大好きと語る優しい性格をした彼は、礼儀正しさゆえに「アメリカでは多くの人が私を信じてくれるまで長い時間がかかりました」と過去のインタビューで語った。数々の映画をプロデュースしあらゆるリスクを負いながら、2005年にニコラス・ケイジ主演の『ロード・オブ・ウォー』を制作、当初2,500万ドルという予算を大幅に超える5,500万ドルの制作費をかけて作った映画で興行収入が爆発的に伸びる大ヒットを果たし、アメリカでの初めての大成功を収めることとなった。

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その後2012年に聴覚障害を持つ家族と唯一耳の聞こえる少女ポーラの物語を映画いた『エール!』をフランスの小さな制作会社と協力して制作。フランスで異例の大ヒットを収め、2015年にフランスにおけるアカデミー賞に匹敵するセザール賞やリュミエール賞にて、主演をつとめたルアンヌ・エメラが最優秀新人女優賞を受賞。さらにこの成功を受けて海外からの映画化のオファーが絶えない中、「この素敵な物語を台無しにしないために」とハリウッド版のリメイクを自らプロデュースすることを決心し、生み出されたのが『コーダ あいのうた』である。

予算は厳しく1,500万ドルと他のノミネート作品に比べるとはるかに低い額で、さらに新型コロナウイルスが猛威を振るう複雑な状況下で制作されたこの作品は右往曲折を乗り越え2021年、サンダンス映画祭にて初上映をするとサンダンス史上最多の観客賞、審査員賞、監督賞、アンサンブルキャスト賞の4冠に輝き、さらに配信権の争奪戦が勃発し、同映画祭史上最高額の2,500万ドル(当時のレートで約26億円)で落札されたことで大きな話題となる。口コミが広がり、ついには第94回アカデミー賞にて最優秀作品賞、最優秀脚色賞、最優秀助演男優賞の3部門でオスカーを受賞するなど輝かしい成績を残している。

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今回は、家族の絆や人間の美しさを描いた感動の物語を数多く作り出しているフィリップ・ルレスの代表作をご紹介する。最新作『デュオ 1/2のピアニスト』を観る前にも観た後にも是非チェックしてほしい。

『エール!』

[各種VOD等にて配信中]

フランスの田舎町。農家を営むベリエ家は、高校生の長女ポーラ以外、父も母も弟も聴覚障害者。ミスコンで優勝したこともある美しい母、口(手話)は悪いが熱血漢な父とゲーム好きの弟。オープンで明るく、仲のいい家族だ。ある日、ポーラの歌声を聴いた音楽教師トマソンはその才能を見出し、彼女にパリの音楽学校のオーディションを受けることを勧める。夢に胸をふくらませるポーラだったが、彼女の歌声を聴くことができない家族は、彼女の才能を信じることもできず、もちろん大反対。一家の「通訳」でもあるポーラは悩んだ末に、夢をあきらめる決意をする。しかしその歌声が、耳の聴こえない家族に届く出来事が起こる―。

歌手を目指す主人公のポーラ役には、フランスで人気のオーディション番組「The Voice」で注目を集めたルアンヌ・エメラが抜擢。その“奇跡の歌声”で観客を包み込み、セザール賞・リュミエール賞にて最優秀新人女優賞を受賞。フランス本国で4週連続1位、12週連続TOP10入りを果たし、観客動員750万人超えの驚異的大ヒットを記録したフィリップ・ルスレの原点となる一作。

『コーダ あいのうた』

[各種VOD等にて配信中]

豊かな自然に恵まれた海の町で暮らす高校生のルビーは、両親と兄の4人家族の中で一人だけ耳が聴こえる。陽気で優しい家族のために、ルビーは幼い頃から“通訳”となり、家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。新学期、秘かに憧れるクラスメイトのマイルズと同じ合唱クラブを選択するルビー。すると、顧問の先生がルビーの歌の才能に気づき、都会の名門音楽大学の受験を強く勧める。だが、ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられず、家業の方が大事だと大反対。悩んだルビーは夢よりも家族の助けを続けることを選ぶと決めるが、思いがけない方法で娘の才能に気づいた父は、意外な決意をし・・・。

タイトルにある“コーダ(CODA)”とは「child of deaf adults(聴覚障害を抱えた両親の子供)」という意味を持っており、『エール!』をハリウッドでリメイクした本作。舞台をフランスの田舎からマサチューセッツ州の漁村に移し、実際に聴覚障害を持つ俳優たちをルビーの家族役として起用し、第94回アカデミー賞にて最優秀作品賞、最優秀脚色賞、最優秀助演男優賞の3冠を成し遂げ、中でも最優秀助演男優賞を受賞した父親役のトロイ・コッツァーの手話による受賞スピーチは、会場に響き渡る拍手に包まれ、授賞式を観ていた全ての人たちの心を揺さぶったのも記憶に新しい。

『ふたりのマエストロ』

[各種VOD等にてレンタル・販売中]

父も息子も、パリの華やかなクラシック界で活躍する指揮者の親子。父のフランソワ・デュマールは、輝かしいキャリアを誇る大ベテラン。息子のドニ・デュマールも指揮者として才能を発揮し、今や飛ぶ鳥を落とす勢い。ある日、父へ一本の電話が。それは夢にまで見た世界最高峰<ミラノ・スカラ座>の音楽監督就任の依頼だった。家族全員が父の快挙を祝福するが、息子の表情は険しい。父と息子の間には、不協和音が鳴り響いているのだ。翌日、ドニにスカラ座の総裁から呼び出しが。なんと父への依頼は“デュマール違い”で、息子への依頼の誤りだったことを告げられる。ドニは浮き足立つ父に真実を伝えなければいけない苦渋の選択を迫られる―。

カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞、アカデミー外国語映画賞にもノミネートされたイスラエル映画『フットノート』をフランスでリメイクした本作。すれ違いを重ねて生きた父と子の再起を描いた物語と、ベートヴェン「交響曲第9番」をはじめモーツァルト「フィガロの結婚 序曲」やシューベルト「セレナーデ」など物語を彩る数々のクラシックの名曲にも注目してほしい。

『デュオ 1/2のピアニスト』
出演:カミーユ・ラザ、メラニー・ロベール、フランク・デュボスク、イザベル・カレ、エリザ・ダウティほか
監督:フレデリック・ポティエ&ヴァランタン・ポティエ『216mois』で2014 SXSW 審査員大賞ノミネート(短編部門)
製作:フィリップ・ルスレ『コーダ あいのうた』『エール!』『ふたりのマエストロ』
撮影監督:ダニー・エルセン『人生は狂詩曲(ラプソディ)』
音楽:ダン・レヴィ『VESPER/ヴェスパー』
コンポーザー:ダン・レヴィ『失くした体』
音響:マルク・ドワーヌ『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』
原題:Prodigieuses/英題:Prodigie
2024 | フランス | 109分 | カラー | ビスタ|DCP | 5.1ch | 字幕翻訳 星加久実 | G
提供:フラッグ/シンカ
配給:シンカ/フラッグ
(C) 2024 / JERICO – ONE WORLD FILMS – STUDIOCANAL – FRANCE 3 CINEMA

公式サイト:https://www.flag-pictures.co.jp/duo-pianist/
公式X:@duo_pianist0228
公式Instagram:@duo_pianist0228

絶賛公開中

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