長年にわたって一流ファッション誌で女性を撮り続けたファッション・フォトグラファーの世界的巨匠ヘルムート・ニュートンが、2020年に生誕100年となることを記念して制作されたドキュメンタリー映画『ヘルムート・ニュートンと12人の女たち』が12月11日(金)よりBunkamuraル・シネマ、新宿ピカデリーほか全国順次公開となる。
ヘルムート・ニュートンは、2004年にロサンゼルスで自動車事故により不慮の死を遂げた後も、長く人々の記憶に残り続けている写真家のひとりだ。1920年にドイツ・ベルリンに生まれ、映画やラジオなどの大衆文化が広まったワイマール文化の中で育ったニュートンは、50年代半ばから各国版の「ヴォーグ」誌をはじめとするファッション誌にユニークかつ衝撃的な作品を次々と発表。ワーグナーの歌劇に登場する女神のような女性たち、バロック趣味のインテリアや建築物に覆い尽くされた作品世界は、それまでの着せ替え人形のようなモードを見慣れていた読者に強烈なインパクトを与えた。だが、その作品は「ポルノまがい」「女性嫌悪主義」との議論も巻き起こし、「20世紀を最も騒がせた写真家」とも呼ばれた。
本作では、シャーロット・ランプリングやイザベラ・ロッセリーニ、ハンナ・シグラといった女優たちに加え、米国版「ヴォーグ」編集長のアナ・ウィンター、モデルのクラウディア・シファーらの貴重なインタビューを収録。さらに、ニュートンを鋭く批判した批評家スーザン・ソンタグとのTV討論のアーカイブ映像なども紹介。稀代の才能の持ち主の作品世界を、ニュートンにインスピレーションを与えた12人の女性たちの視点から捉え直したスリリングなドキュメンタリーとなっている。
なお、公開決定にあわせて、本編でも使用されているニュートンの写真作品2点と、彼の妻であり写真家でもあるジューン・ニュートンが撮影したニュートンのポートレート1点が解禁となった。
いずれも美しくスタイリッシュな構図が目を引くが、映画文化に親しんで青春時代を送ったニュートンだけに、写真からストーリーやユーモアが感じられる写真となっている。
1986年の米国映画『ブルーベルベット』の撮影現場で、監督のデヴィッド・リンチと女優のイザベラ・ロッセリーニを写した1枚については、本編でもイザベラが当時を振り返り、このシーンの背景を鋭く分析している。
作品タイトル:『ヘルムート・ニュートンと12人の女たち』
出演:シャーロット・ランプリング、イザベラ・ロッセリーニ、グレイス・ジョーンズ、アナ・ウィンター、クラウディア・シファー、マリアンヌ・フェイスフル、ハンナ・シグラ、シルヴィア・ゴベル、ナジャ・アウアマン、アリヤ・トゥールラ、ジューン・ニュートン、スーザン・ソンタグ、カトリーヌ・ドヌーヴ、シガニー・ウィーバー、ヘルムート・ニュートンほか
監督:ゲロ・フォン・べーム
2020年/93分/カラー/1.78:1/ドイツ/英語・フランス語・ドイツ語
原題:HELMUT NEWTON THE BAD AND THE BEAUTIFUL
配給:彩プロ
公式サイト:helmutnewton.ayapro.ne.jp
公式twitter:@helmutmovie
12月11日(金)よりBunkamuraル・シネマ、新宿ピカデリーほか全国順次公開