ペドロ・アルモドバル監督最新作『ヒューマン・ボイス』(11月3日(木・祝)公開)より、主演ティルダ・スウィントンのオフィシャルインタビューと撮り下ろしの特別写真が解禁された。
ペドロ・アルモドバル監督作品『パラレル・マザーズ』と、同日11月3日(木・祝)に公開となる本作は、フランスの芸術家ジャン・コクトーの名作戯曲「人間の声」を翻案し、監督初の全編英語で映画化した30分間の短編作品。ティルダ・スウィントンが、恋人に突然別れを告げられた女性を一人芝居で見事に演じ切っている。
今作がアルモドバル監督と初のタッグとなるティルダは、アルモドバル監督作品との出会いについて「セント・マーティンズ・レーンにある素晴らしいルミエール・シネマで見た『神経衰弱ぎりぎりの女たち』(88)です。バイクの後ろに乗ったフリエタ・セラーノのトンネルでの追跡シーンには本当に目を奪われました。彼女のかつらは後ろ向きに吹き飛ばされ、まるで綿菓子のような形をしていたんです。ジョニー・ギターやレイ・クーニー、ジャン・コクトーのコンビネーションは間違いないものでした。」と明かす。
監督作品のお気に入りを聞かれると、「非常に難しいですが強いて選ぶならば、『トーク・トゥー・ハー』(02)、『ボルベール<帰郷>』(06)、『ペイン・アンド・グローリー』(19)。過去と現在の関係、忘れられないもの、自由な感情、主人公が現在の解決と慰めを見つける方法が、それぞれ精巧に語られ、全体を通して崇高な内容になっていると思います。」と回答。
「ある日、特別な招待状を含むメールが私に届きました。その時コロンビアで、『MEMORIA メモリア』の撮影をしており、丘の上にある農場の木々に囲まれた小さな家でインターネットがあまり繋がらなかった環境でした。しかし、監督からの依頼のメールは奇跡的に見ることが出来たんです。」と、監督とのコラボレーションが実現した経緯を振り返る。
アルモドバル監督に対して驚いたことがあったかと問われたティルダは、「彼の作品を長い間みてきたので彼の感性をよく知っており、見慣れた地に足を踏み入れたような気がして特に驚くべきことはありませんでした。セットで見たものは、まさにここ数年彼の映画をみて楽しんでいたものでした。これまでの人生で何度か、自分のよく知っている地に足を踏み入れるという機会に恵まれました。例えば、ウェス・アンダーソン監督やアピチャッポン監督との撮影です。アルモドバル監督の場合は、彼が創り出す色、環境、ジェスチャー、そして彼の周りの人々は非常に特別であり、私は自分自身の限界を超えることが務めだと思いました。」と、現場の雰囲気や監督との作業を難なく受け入れることが出来たようだ。
今回、アルモドバル監督作品ファンならばお馴染みのアイテム“固定電話”が、本作ではなんと“AirPods”が使用されている。「この新しい技術が私たちに成功をもたらすことは最初から分かっていました。なぜなら、モノローグのあらゆる側面を適切に探求できるからです。私が演じた女性は、あらゆる方法で効果的に話をしていたと思います。」と、時代や設定に沿ったアイテムを使用するという新しい試みが作品のスタイルとマッチしていたと、自信たっぷりのティルダ。アルモドバル監督ならではの世界観を唯一無二の存在であるティルダが迫真の演技で魅せる本作をぜひ劇場で堪能してみては。
ストーリー
1人の女が元恋人のスーツケースの横で、ただ時が過ぎるのを待っている。スーツケースを取りに来るはずが、結局姿を現さない。傍らには、主人に捨てられたことをまだ理解していない落ち着きのない犬がいる。女は待ち続けた3日間のうち、1度しか外出をしていない。その外出先で、斧と缶入りガソリンを買ってくる。女は無力感に苛まれ、絶望を味わい、理性を失う。様々な感情を体験したところで、やっと元恋人からの電話がかかってくるが…
作品タイトル:『ヒューマン・ボイス』
出演:ティルダ・スウィントン アグスティン・アルモドバル ダッシュ(犬)
監督・脚本:ペドロ・アルモドバル
原作:ジャン・コクトー「人間の声」
2020/スペイン/英語/30分/カラー/5.1ch/ドルビーデジタル/アメリカンビスタ/原題:THE HUMAN VOICE 字幕翻訳:松浦美奈 G
提供:木下グループ
配給:キノフィルムズ
コピーライト:(C) El Deseo D.A.
11月3日(木・祝) ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ、新宿シネマカリテ 他公開
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