現代フランスを代表するアニメーション監督ミッシェル・オスロの最新作『古(いにしえ)の王子と3つの花』(7月21日(金)公開)より、著名人からの絶賛コメントと、ミッシェル・オスロ監督のオフィシャルインタビューが到着した。
エジプトからフランス・オーヴェルニュ、そしてオスマン・トルコ帝国へ。古代・中世・18世紀のうっとりするような至福の旅は、美しい歴史書の世界へと観客を誘う。ルーヴル美術館とのコラボレーションで制作された、古代エジプト、クシュ王国の王子が上下エジプトを統一し、黒人初のファラオとなる物語『ファラオ』。理不尽な城主である父に叛逆した中世フランスの王子の物語『美しき野生児』。千夜一夜物語に想をとった、イスタンブールが舞台の豪華絢爛な美味しい物語『バラの王女と揚げ菓子の王子』。勇気と知恵を糧に、非暴力で自分の人生を逆転させていく異なる都市と時代の3人の王子のエキゾチックな物語は、先の見えない不安を抱えて生きる現代人に勇気を与えてくれる。
コメント(順不同・敬称略)
今まで出会ったことのない素敵な雰囲気に感動しました。
そして主人公たちに共通しているのは、彼らが「知恵者」ということ。
知恵と勇気と優しい心で苦難を乗り越えるそんな珠玉の物語です。
是非、ご覧下さい!
―吉村作治(エジプト考古学者)
三つの物語がかくも美しくかくも抱擁的なのは、
オスロ監督の魔法が誰の心のなかにもある懐かしい人間的な風景に、
私たちを連れ戻してくれるからではないか。
―小野正嗣(作家)
現代フランスの殺伐とした工事現場で一人のアフリカ系女性が語りだす。
それは黄金煌めく古代エジプト、影に覆われた中世フランス、
世界のあらゆる色彩があふれる近世オスマン帝国を舞台に、
偶然と決断により運命を切り開く3人の王子の物語。
大スクリーンで流れに身を任せれば時間も空間も超えられる!
―サラーム海上(音楽評論家/中東料理研究家)
見たこともないような、壮麗な物語世界を旅するような映画です。
古代エジプトの壁画やヨーロッパの絵本、アラビアンナイトの挿絵が、
色彩鮮やかに、流麗に動き出すようなアニメーションは、
私たちに全く新しい感覚を呼び起こすでしょう。
―加藤隆(アニメーション作家)
オスロ監督が描く若い主人公たちの聡明さにはいつもハッとさせられます。
憂き目にあっても決して腐らず、権力に屈することなく、知恵と勇気で困難を乗り越える…
そんな彼らの自由でしなやかな姿に、自然と元気をもらえます。
―トリコロル・パリ
ミッシェル・オスロ監督 オフィシャルインタビュー
異なるスタイルで描かれた3つの物語からなる本作。古代エジプトを舞台にした第1話『ファラオ』では人物がエジプトのレリーフに見られる特殊な姿勢(胴体は正面を向いたまま、頭と足は横向き)を再現して描かれている。
制作のきっかけについてオスロ監督は「ルーヴル美術館の館長から、あるプロジェクトでコラボレーションをしないかと誘われ『二つの土地のファラオ:ナパタ王家の叙事詩』という特別展を準備していることを話してくれました。私は、小学1年生ときからエジプト文明に魅せられていたこともあり、シナプスに火がつきました」と明かし、作品のテーマについては「展覧会に関する資料をすべて取り寄せ、クシュ(スーダン北部)の王が、エジプト全土を征服する夢を見る『夢の碑文』の翻訳を読みました。クシュ人は決して残酷な民族ではなく、さらに許すという文化を持っています。この王朝の素晴らしい要素を強調しながら、彼の旅路を忠実に脚本にしました」と、その制作過程を語った。
中世フランスを舞台にした第2話『美しき野生児』は、舞台となるオーベルニュの民話をアレンジして作られており、切り絵のような黒いシルエットで人物が描かれている。オスロ監督は「予算の関係でお金があまりかからないというのもありますが、その潔さやシンプルさを気に入っています。それに、物語の陰鬱な面や中世の雰囲気にも見事にマッチしました」とこの手法を使った理由を説明した。
歴史に忠実に作られた1、2話とは対照的に、自由に創作されたトルコを舞台にした第3話『バラの王女と揚げ菓子の王子』では、「民族学的な正確さよりも、視覚的に美しく楽しくカラフルで、笑えるものを作りたかった」という監督の言葉通り、多様な民族の特徴が入り混じった衣装や豪華絢爛な宮殿など、目にも鮮やかな美しい絵柄で描かれている。
また、各話を繋ぐ存在としてストーリーテラーが登場し3つの物語へと誘っていくが、ストーリーテラーの背景が建築現場で、労働者たちを前に話し始めるというアイデアについて「突然やってきたパンデミック、そして最初のロックダウンは、極端で人々を警戒させ国中が動けなくなり、誰もが待機するように生活するというものでした。ストーリーテラーの絵は、あの静寂と想像を絶する空虚に包まれた最初の週に私が描いたものです。青色の仕事着に身を包んだ女性です。なぜなら“戦争“が終われば、前よりもエネルギーが必要になり、誰もがまじめに仕事に取り組まないといけないからです。そして、その風景は明らかに『復興』の現場と言えます」と、コロナ禍終息後の復興への希望を滲ませた。
映画作りについては「毎回、作品を作るときは、映画を見ている間だけでも楽しんでもらいたいと思いながら作ります。そして観終わった後に、考えたり、何か残るものがあるといいなと願っています」と語った。
親の権威に反抗し正義を求めるという今回の3つの物語に共通するテーマについて「私の映画のヒーローたちは、不当な権力に反旗を翻しただけなのです。私は、人々に自由であること、有害なルールに屈服したり従ったりすることを拒否するよう勧めています。私は映画を作るとき、先入観を持たずにあちこちから情報を集めています。私は真実と誠実さを追求しています。今、子供のころに私の映画を見たという若い人たちに会い、感謝されることがあります。これはすごいことです。しかも、一緒に働くアニメーターのほとんどが、こう言ってくれます。『私たちはあなたの映画で育ったから、ここにいるんですよ』と。私はよく観客と出会う場所に出向くのですが、あらゆる年齢層の観客が私に話しかけてきます。自分の作品が長年にわたってどんなインスピレーションを与えてきたかを知ることは、映画監督にとってとてつもないことです。私は幸せ者です。恵まれていると思います」と観客への感謝の気持ちを表した。
ストーリー
クシュ王国の王子は結婚を認めてもらうため、エジプト遠征の旅に出て、神々に祈り祝福されながら戦わずして国々を降伏させ、上下エジプトを統一、最初の黒人ファラオとなる。中世フランスの酷薄な城主に追いやられた王子は、地下牢の囚人を逃がした罪で森に追放されるが、数年後美しき野生児として城主に立ち向かう。モロッコ王宮を追われた王子は、雇われたお店の揚げ菓子を通じて国から出た事がない王女と出合い、2人は宮殿を抜け出し自分たちで生きていく。自分を信じることで自らの運命を変え幸福を手にする、至福の映像美で巡る3つの都、3つの時代の物語。
作品タイトル:『古の王子と3つの花』
声の出演:オスカー・ルサージュ クレール・ドゥ・ラリュドゥカン(コメディー・フランセーズ) アイッサ・マイガ
監督・脚本:ミッシェル・オスロ(『ディリリとパリの時間旅行』『キリクと魔女』)
2022年/フランス・ベルギー映画/カラー/1.89:1/5.1ch/83分
原題:Le Pharaon, le Sauvage et la Princesse
日本語字幕:橋本裕充
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ
配給:チャイルド・フィルム
公式サイト:https://child-film.com/inishie
コピーライト:(C)2022 Nord-Ouest Films-StudioO – Les Productions du Ch’timi – Musée du Louvre – Artémis
7/21(金)より、YEBISU GARDEN CINEMA、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
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