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『怪物』永山瑛太演じる担任教師が生徒に暴力?衝撃の棒読み謝罪&坂元裕二節の効いた独特の会話劇を捉えた本編映像解禁!

是枝裕和監督、脚本・坂元裕二、音楽・坂本龍一による映画『怪物』(6月2日(金)公開)より、本編映像が解禁された。

先日開催された第76回カンヌ国際映画祭では、コンペティション部門の公式上映後には9分半ものスタンディングオベーションで称えられ、さらに授賞式では坂元裕二が脚本賞を受賞の栄誉に輝き、独立部門「クィア・パルム賞」と合わせて2冠を獲得した本作。

この度解禁されたのは、息子の湊(黒川想矢)が担任教師の保利(永山瑛太)から暴力を受けていることを疑ったシングルマザーの早織(安藤サクラ)が、学校へ説明を求めに行く本編映像。校長室に案内された早織の前にぞろぞろと教師陣が入室。校長の伏見(田中裕子)が担任教師の保利から謝罪をすると切り出し、保利が座ったままか細い声で「え~…」と話し始めると隣に座っていた教頭の正田(角田晃広)がすかさず「立って」と指摘する。保利は立ち上がりボソボソとしたぎこちない口調かつ、釈然としない態度で謝罪を述べ始め、早織に頭を下げる。すると周りの教師陣もタイミングを見計らったかのように一同に立ち上がり、保利と共に頭を下げて謝罪。あまりにもその場しのぎの様子が見て取れる学校側の対応に早織は不信感を露わにするも、校長は「指導が適切に伝わらなかったものと考えております」と回答。早織は校長との対話を諦め、当事者の保利を問い詰めるが、目を見て真摯に問いかける早織に対し、保利は俯いたままティッシュを取り出し鼻を噛み始める。そんな中、校長はまるで心がこもっていない弁明を繰り返すのであった。シリアスな場面でありながら、役者陣の不自然な言動やしぐさが滑稽でさえ感じられる坂元裕二ならではのエッセンスが散りばめられた一幕である。

坂元の脚本の執筆と登場人物のキャスティングは平行して行われた。配役が決定することによって、坂元による脚本のキャラクターが膨らみ、物語がますますクリアになっていく過程を目の当たりにした是枝監督は「こうやって坂元さんは本を固めていくんだな」と感心したといい、また自身の脚本と坂元による今回の脚本の違いについて「今回は構造も含めて、非常にしっかりとした物語ですよね。僕が普段書くものは“スライス・オブ・ライフ”なんです。日常を切り取り、描写して、その前後を想像させるようなものが多いから、それはたぶん物語ではない。今回も描写の力で持たせているシーンは多少あるけど、基本的に言えば劇映画だと思います。物語のラインが非常に強くて、太いんじゃないでしょうか」と考えを明かしている。

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