関根光才脚本・監督の映画『かくしごと』(6月7日(金)公開)で主演を務めた杏のインタビュー映像が解禁された。さらに、宮崎美子・りんたろー。・山口恵以子・さかもと未明ほか著名人からのコメントも到着した。
杏演じる主人公・千紗子が、事故で記憶を失った少年・拓未を自分の子どもとして匿う、深く激しい母性をとらえた本作。出演の決め手について、杏は「千紗子という役を、今の自分だったらできるかもしれないと思ったのが大きな理由のひとつかなと思います」と語る。
脚本を読んだ印象については「いろんな世界の中での出来事に思いを馳せて、もっと胸が苦しくなることが年を重ねるにつれて増えてきたと思うので、その想いを反映できる作品だと感じました」と語り、撮影については「楽しいシーンではない、辛いこともたくさんあったので、1日撮影が終わると『は~終わった~』という感じで、結構大変だったと思います。2日に1回くらい泣いていました」と千紗子役の難しさと苦労を明かした。
さらに、本作の物語に「現代のおとぎ話みたいだ」という印象を抱いたという杏。「例えば本当にかわいそうな目に遭っている子どもがニュースで出てきたときに、この子を守ってあげたいとか、もし目の前にいたらあったかいご飯をあげて抱きしめてあげたいと思っても、何かが起きてしまったからニュースになっているから、なかなかそこから先に自分ができることってなくて歯がゆいことが多いと思います。それをひっくり返して、千紗子は私が母親だと言って、親子として関係を築いてしまう。それがいいことなのか悪いことなのか、自分だったらどうするだろうかと考えながら、ミステリーとして観ていただけると思います」と見どころを語った。
完成した作品を観た感想については、「日本の緑の深さや夏の背景がすごく叙情的にもミステリアスにも感じる部分が多かったので、景色を見ているだけでも美しいなと思いました」と映像美の魅力を明かした。さらに、美しい景色のなかで明かされていく〈かくしごと〉について、「人間のつく嘘とか愛情がどのような結末を迎えるのか、予想しながら観ていただければと思います」と呼びかけている。
さらに今回、千紗子の深い愛と嘘、そしてそれぞれの登場人物が抱える〈かくしごと〉をひと足早く見届けた著名人から、以下のコメントが寄せられている。
コメント一覧(順不同・敬称略)
■ 宮崎美子(女優、タレント)
いったいどうすればよかったのか──。静謐な自然を背景に、時折湧きあがる記憶の底からの暗い澱みに抗い、もがき、それでも前を向こうとする千紗子の姿がたまらなく切ない。それは本当の救いになるのですか?
■ りんたろー。(EXIT)
千紗子は救いたかったのか、それとも救われたかったのか?その切実な願いが倫理や道徳を超えて心のつながりを生んでいく様に、目を離せなくなった。嘘から生まれた絆と愛に感動!
■ 山口恵以子(作家)
私も要介護5の兄と暮らしているので、認知症が進行して別人になっていく奥田瑛二の鬼気迫る演技が切なく、身につまされた。
ヒロインの捨て身の愛に、少年の勇気に、救われる思いがした。
■ さかもと未明(アーティスト)
人は家族に対して一番残酷になれる。なのに家族を求めずにいられない人間のどうしようもなさ。罪と知りながら重ねられる「かくしごと」が、人々の本音を暴いていく構成は見事。遂に最大の隠し事が明らかになる時、私たちは主人公を演ずる杏と共に涙するだろう。「それでもやはり愛したい、愛されたい」、と、人間を信じたくなった。
■ 伊藤さとり(映画パーソナリティ)
光と影の世界の中で人間の表と裏を見せていく鬼才・関根光才の痛烈な問い。親子とは血ではない繋がりで結ばれるもので、それは自分が家族だと思った時に急速に近づくのだと杏の表情が全てを物語る。そして子の為なら時に狂気の沙汰にも出ると。きっと多くの人が持つ裏側の顔でもあるのだ。
■ 内田恭子(フリーアナウンサー、マインドフルネストレーナー)
親から子への愛。それは悦びであり、憂である。
そしてそれは強さであり、脆さである。
人間はその愛によって生きていく本当の意味を知ることができるんだと思う。
■ 枝優花(映画監督、写真家)
悲しみや憎しみの源はどこからやってきたのか
目に見えるものたちはほんの一部でしかなく
私の心にある傷は
私の知らない、いつかの誰かの寂しさなのかもしれない
その連鎖を断ち切ることができるのは
嘘偽りのない愛だけだ
■ 小谷実由(モデル)
嘘をつくとき、誰しもが自分が救われたくて嘘をつくのかもしれない。うしろめたさと仄暖い幸せの狭間、夢のような日々。ついてしまった嘘の中に本当の気持ちがあったとしても全ては嘘でしかないのだろうか。
■ 呉美保(映画監督)
誰かを守るためについてしまう嘘を、
大胆に見せながらも丹念に演じてみせる、
俳優、杏の嘘なき執念が、そこにある。
■ 折田千鶴子(映画ライター)
彼女の行為は断罪されるべきなのか? 優しさ、正義感、それともエゴか自己愛か。なら私たちは、どうすればいい!? 今の日本を鋭く映し込み、まったくもって他人事にさせずに観る者をドップリ引きずり込む。いつまでも胸のざわめきが止まらない!
■ 神崎恵(美容家)
静けさの中、刻々と帯びる温もり。
どうかそっと、
どうかこのままいさせてあげて、と。
願わずにはいられない。
ラストシーン。
子を守る母として、
この真実に救われた気がしています。
■ 榊原郁恵(女優、タレント)
人はどこまで《ことば》で正直な本当の事を表しているかしら?自分でも何が本当か、分からなくなる事もある。それを、他人がどこまで理解出来るのかしら…。本当かどうかなんて。そこは《愛》でしか視えない世界なのかしら。
■ SYO(物書き)
子は親を選べず、親も子を選べない。
だから嘘をつく。偶像を創り上げる。
正しさ以外を排斥しがちな時代の何処に
この映画は居場所を見つけられるだろう。
暗い海に沈むのか、青空を仰ぎ見るのか。
■ しんのすけ(映画感想TikToker)
「貴方は誰の為なら嘘をつけるのか?」
この映画が投げかけるのは“正しさ”と真逆である。
だが決して、杏さん演じる母親が犯した罪を肯定しない。
最後の瞬間まで、観客自身の“正しさ”を揺さぶり続けるのだ。
■ 杉嶋未来(映画ライター)
千紗子と少年、孝蔵は、嘘で繋がった関係だが、そこには純粋な愛があり、愛一つで満たされていく姿が切なくも美しい。そして、千紗子を演じる杏の絶望や諦め、慈愛と様々な眼差しに引き込まれる。ラスト、彼女が見せる表情が胸を鷲掴みにし、涙が溢れ出た。
■ 中井圭(映画解説者)
認知症を抱えて忘れゆく父、記憶喪失で発見された少年、忘れたい過去に縛られた娘。
心に葛藤を抱えた三者の共同生活は、記憶によって愛憎が溢れ出し、記憶によって救われる。
忘却が赦しを与える物語に、現代はどう応答するのか。
■ 中島京子(小説家)
嘘も忘却も人間らしい営みなのだと改めて思った。自分だったら、どうしただろう。。。
■ 東直子(歌人・作家)
愛とエゴイズムの区別は難しくて、人間はずるくて、残酷で、やさしくて、うつくしくて……。この映画は、そんな「人間」をつつみかくさず突き付けてくる。なんて誠実な映画だろう。無意識のうちに心を縛りつけているものが、彼らの、私たちの苦しみになる。その一つ一つをほどくための何かを、見つけたいと思った。
■ 山崎ナオコーラ(作家)
嘘とはなんだろう。「嘘」と「本当」の間に、長い長いあわいがあるのかもしれない。家族は、あわいの中で儚く暮らす。親子の関係はそこで輝く。
ストーリー
絵本作家の千紗子(杏)は、長年絶縁状態にあった父・孝蔵(奥田瑛二)の認知症の介護のため、渋々田舎に戻る。他人のような父親との同居に辟易する日々を送っていたある日、事故で記憶を失ってしまった少年(中須翔真)を助けた千紗子は彼の身体に虐待の痕を見つける。少年を守るため、千紗子は自分が母親だと嘘をつき、少年と暮らし始めるのだった。
ひとつの“嘘”からはじまった千紗子と少年、そして認知症が進行する父親の三人の生活。最初はぎこちなかった三人だが、次第に心を通わせ、新しい家族のかたちを育んでいく。しかし、その幸せな生活は長くは続かなかった。
許されないとわかっていても、なぜ彼女は嘘をついてまで少年を守ろうとしたのか。そして、このひとつの嘘から明かされていく、それぞれの<かくしごと>とは―。
『かくしごと』
出演:杏
中須翔真 佐津川愛美 酒向 芳
木竜麻生 和田聰宏 丸山智己 河井青葉
安藤政信 / 奥田瑛二
脚本・監督:関根光才
原作:北國浩二「噓」(PHP文芸文庫刊)
音楽:Aska Matsumiya
主題歌:羊文学「tears」F.C.L.S.(Sony Music Labels Inc.)
製作幹事:メ~テレ ホリプロ
企画・制作:ホリプロ
2024年/日本/カラー/ヨーロピアンビスタ/5.1ch/128分
配給:ハピネットファントム・スタジオ
(C)2024「かくしごと」製作委員会
公式サイト:happinet-phantom.com/kakushigoto
公式X:@kakushigotofilm
6月7日(金)TOHOシネマズ 日比谷、テアトル新宿他全国ロードショー
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