ラナ・ゴゴベリゼ監督の27年ぶりの新作『OKROS DZAPI(英題:THE GOLDEN THREAD)』が、『金の糸』の邦題で2月26日(土)より岩波ホールほか全国順次公開となることが決定し、ポスタービジュアルが解禁された。
『インタビュアー』(サンレモ国際映画祭グランプリ)、『転回』(東京国際映画祭最優秀監督賞)など高いクオリティの作品を数々発表し、テンギズ・アブラゼ監督、オタール・イオセリアーニ監督、ギオルギ・シェンゲラヤ監督たちとともにジョージア映画の発展を担い、女性と社会を瑞々しく捉え続けてきたゴゴベリゼ監督。そんな彼女が91歳にして描いたのは、過去との和解をテーマにした物語だ。
題名の“GOLDEN THREAD”には、日本の「金継ぎ」から着想を得て、“未来を見るために過去を金で修復する”という意味がこめられた。監督は「日本人が数世紀も前に壊れた器を継ぎ合わせる金継ぎの技のように、金の糸で過去を継ぎ合わせるならば、過去は、そのもっとも痛ましいものでさえ、重荷になるだけでなく、財産にもなることでしょう」と語っている。音楽は、2019年に亡くなった、ジョージアの世界的作曲家ギヤ・カンチェリ。主役のエレネは、『ロビンソナーダ』で知られるジョージア映画界の重鎮ナナ・ジョルジャゼ監督が演じている。
このたび解禁されたポスターは、ジョージアらしい古い家で椅子に腰掛けるエレネをメインに、ミランダ、アルチルの表情のほか、映画の鍵となる「野の花」「過去の写真」「小さな人形」などが配置され、恋人たちの姿と金継ぎがコラージュされている。キャッチフレーズは、「旧市街の片隅で 私たちは語る 信じて欲しい 壊れた過去も美しいと。」。
ゴゴベリゼ監督の母親は、サイレント時代に活躍したジョージア初の女性監督ヌツァ・ゴゴベリゼ(1902~1966)。母ヌツァはソ連政府の「大粛清」により約10年を強制収容所で過ごしたという。そんな自身の記憶を重ねた本作『金の糸』は、人間の過去と国の歴史を重ねながら、想像の翼を羽ばたかせた見事な作品となっている。
ストーリー
未来のために、過去を「金」で継ぎ合わせて。
旧市街の片隅で 私たちは語る 信じて欲しい 壊れた過去も美しいと。
トビリシの旧市街の片隅。作家のエレネは生まれた時からの古い家で娘夫婦と暮らしている。今日は彼女の79歳の誕生日だが、家族の誰もが忘れていた。娘は、姑のミランダにアルツハイマーの症状が出始めたので、この家に引っ越しさせるという。ミランダはソヴィエト時代、政府の高官だった。そこへかつての恋人アルチルから数十年ぶりに電話がかかってきて…
作品タイトル:『金の糸』
出演:ナナ・ジョルジャゼ、グランダ・ガブニア、ズラ・キプシゼ
監督・脚本:ラナ・ゴゴベリゼ
撮影:ゴガ・デヴダリアニ
音楽:ギヤ・カンチェリ
原題:OKROS DZAPI|英語題:THE GOLDEN THREAD|2019年|ジョージア=フランス|91分
字幕:児島康宏
配給:ムヴィオラ
公式サイト:http://moviola.jp/kinnoito/
コピーライト:(C)3003 film production, 2019
2月26日(土)より岩波ホールほか全国順次公開