
観客は開演した真夜中から明け方まで、会場に並べられたベッドに横たわり“眠っている間に聞くために作られた8時間以上に及ぶマックス・リヒターの「SLEEP」ライブ演奏を聴く。そしてそのまま本当に眠ってしまったり、歩き回ることも自由―。
ロサンゼルス野外のグランド・パークやシドニーのオペラハウス、アントワープの聖母大聖堂など世界各地のシンボリックな場所で次々と開催し話題をさらった“眠り”をテーマとするまったく新しいスタイルのコンサート【SLEEP】。
その全貌とその裏側を、このコンサートを企画、そして「SLEEP」の作曲・演奏も手掛けた音楽家 マックス・リヒターの素顔とともに追いかけた珠玉のドキュメンタリー『SLEEP マックス・リヒターからの招待状』が、3月26日(金)より公開される。
「スリープ公演へようこそ、8時間の⼦守歌です」― マックス・リヒターからの観客への呼びかけから映像は始まる。そのままピアノの前に腰掛けるリヒター。これから真夜中から明け⽅まで、ベッドに横たわって聞く、8時間以上に及ぶ眠りのための演奏が始まるのだ。「規則はありません。聴くのも寝るのも⾃由です」本イベントのルールについて説明するリヒターの声に誘導されながら、ベッドの上で、流れる⾳楽に静かに聴き⼊る⼥性の姿が映し出される。
続いて切り取られたのは、世界各地での【スリープ】公演の模様。LAグランドパーク、シドニーのオペラハウスアントワープの聖⺟⼤聖堂― いずれの会場でも共通するのは、演奏舞台の前にはずらりと並ぶベッドと、そこで横たわりながら⾳楽を聞く観客がいるということ。
脳科学者のデイヴィッド・イーグルマンが「彼が⽬指したのは深いノンレム睡眠時の脳波とリズムが調和する⾳楽を作ることだ」と解説するように、リヒターは「【スリープ】は、睡眠状態の⼼と対話するための⾳楽」「⼦宮内の胎児の聴覚環境を再現した」のであり「加速し続ける現代の⽣活に無⾔の抗議の意味を込めこの作品を作った」と“眠り”をテーマにしたこの異⾊コンサートへの想いを語る。
最後は夜明けの時間が近づくと共に、それまで奏でられていた眠りのための⾳楽が終わりに近づいていき、それとともに美しい歌声を伴ったへと⽬覚めるための⾳楽へと移り変わっていく様⼦が映し出され、リヒターにしか作り上げることのできない、圧巻の“⾳の美しさ”を伴った映像となっている。
マックス・リヒターは、クラシックとエレクトロニック・ミュージックを融合させて作られるポスト・クラシカルの旗⼿であると同時に、映画やテレビのサントラも数多く⼿掛け、『戦場でワルツを』(2008年)がヨーロッパ映画賞作曲賞、『メアリーとエリザベス ふたりの⼥王』(2018年)がハリウッド⾳楽メディア賞作曲賞を受賞したほか『アド・アストラ』(2019年)が、2021年度に開催される予定の第63回グラミー賞最優秀スコア・サウンドトラック賞にノミネートされている。
加えて、⼤ヒットSF映画『メッセージ』(17)のオープニング&エンディングでも彼のオリジナルスコア「オン・ザ・ネイチャー・オブ・デイライト」が使⽤され、⽇本でもiTunesクラシック・チャート1位を獲得するなど、いま、映画⾳楽の世界においてもっとも重要なアーティストの1⼈ともいわれる⼈物だ。
劇中ではそんなリヒターと彼の公私に渡るパートナーであり、本コンサートも⼀緒に作り上げてきたユリア・マールへのインタビューや、15年間にわたって彼⼥が撮りためていたリヒターの創作の様⼦を捉えたプライベート映像、そして、彼が作曲家として成功するまでの苦難の道のりやマールとの強い絆も明らかにされていく。
監督はボノやサム・スミスなど様々なミュージシャンとコラボレートしてきたナタリー・ジョンズ。その繊細な演出と美しい映像で「SLEEP」の魅⼒を浮かび上がらせる。
仕事に追われ、誰もが⽣き急いでいるような現代社会。そんな中、睡眠と芸術を題材に、⼈間にとって本当に必要なものは何かを考えさせてくれ、同時に、劇場の観客も観賞後は実際にコンサート【SLEEP】に参加したかのように最⾼級の“眠り”と“⽬覚め”の体験を感じられる珠⽟のドキュメンタリー『SLEEP マックス・リヒターからの招待状』は3月26日(金)公開。
作品タイトル:『SLEEP マックス・リヒターからの招待状』
出演:マックス・リヒター、ユリア・マール、(ソプラノ)グレース・デイヴィッドソン、(チェロ)エミリー・ブラウサ、クラリス・ジェンセン、(ヴィオラ)イザベル・ヘイゲン、(ヴァイオリン)ベン・ラッセル、アンドリュー・トール
監督:ナタリー・ジョンズ
製作:ステファン・デメトリウ、ジュリー・ヤコベク、ウアリド・ムアネス、ユリア・マール
撮影:エリーシャ・クリスチャン
2019年/イギリス/英語/99分/シネスコサイズ/原題:Max Richter’s Sleep/映倫:G
配給:アット エンタテインメント
公式サイト:max-sleep.com
公式Twitter:@maxsleepmovie
公式Facebook:@maxsleepmovie
公式Instagarm:@maxsleepmovie
コピーライト:(c)2018 Deutsche Grammophon GmbH, Berlin All Rights Reserved
2021年3月26日(金)
新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、
ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開
関連記事:
■ “眠り”がテーマの8時間以上におよぶコンサートの全貌と裏側『SLEEP マックス・リヒターからの招待状』3月公開決定!