『マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”』「有名人にはなりたくない」匿名性を貫いたその真意とは―?本編冒頭映像が解禁

マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”

映画『マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”』(9月17日(金)公開)より、約4分半の本編冒頭映像が解禁された。

常に時代の美的価値に挑戦し、服の概念を解体し続けたデザイナー、マルタン・マルジェラ。キャリアを通して一切公の場に姿を現さず、あらゆる取材や撮影を断り続け匿名性を貫いた。本作の監督のライナー・ホルツェマーは、難攻不落と思われたマルジェラ本人の信頼を勝ち取り、「このドキュメンタリーのためだけ」という条件のもと、ドローイングや膨大なメモ、初めて自分で作ったバービー人形の服などプライベートな記録を初公開し、ドレスメーカーの祖母からの影響、ジャン=ポール・ゴルチエのアシスタント時代、ヒット作となった足袋ブーツの誕生、世界的ハイブランド、エルメスのデザイナーへの抜擢就任、そして51歳にして突然の引退――これまで一切語ることのなかったキャリアやクリエイティビティについてカメラの前でマルジェラ自身が語る、貴重なドキュメンタリーを作り上げた。

2008年9月29日、パリ。20周年を記念して行われたメゾン マルタン マルジェラのショーの開幕にあわせ、歓声をあげる来場者たちと共にスタートする本作。次の瞬間に映し出されるのは”マルタン・マルジェラは同日、ファッション業界を引退した”という衝撃的な言葉だ。これまで一切公の場に姿を現さず、メディアの取材にも応じてこなかった謎の天才デザイナー”マルタン・マルジェラ”が初めて、自身の言葉で「過去と現在」を語る他に類をみないドキュメンタリー映画でありながら、その引退から本編をスタートさせるこの冒頭の映像は、観るものを強烈にスクリーンの中へと引き込んでいく。

マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”

マルジェラのファッションに身を包んだモデルたちが次々とランウェイを歩いていく映像と共に、ファッション業界における重鎮たちが、「マルジェラはファッションの最後の革命児よ(カルラ・ソッツァー二/ディエチ・コルソコモ創業者)」「19世紀末まで遡っても10本の指に入る(キャシー・ホリン/ファッション評論家:ニューヨーク・タイムズ紙)」と口々にマルジェラについて言葉を紡いでいく様からは、引退を経て尚、ファッション業界に強い影響を与えていることが伺える。ジャン=ポール・ゴルチエも登場する中、初めて公開されるマルジェラのアトリエと思われる部屋から“ゴルチエ関連”と書かれた資料BOXが引っ張り出される映像は鳥肌ものだ。

「声と手」のみとはいえ、不可能と思われていたマルジェラ本人の協力を得る事ができたホルツェマー監督は、本作製作にあたり「長年、正体を明かさずに生きている、この魅力的で有名な人物を撮るのが許されたことは、私にとって嬉しくも光栄なことだった。と同時に、この映画が難しい作業になることが分かっていた。」と製作過程の困難さを明かしつつも、「このドキュメンタリーを通して、マルタン・マルジェラが観客を笑顔にすることは間違いないだろう。」と言葉を残している。その言葉通り、“マルタン・マルジェラの最後のショーから10年が過ぎた”という言葉の後に、遂に語り始めるマルジェラの言葉、声、映像は、どれをとってもファンなら必ず笑顔になること必至だ。

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