映画『マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”』が9月17日(金)公開となる。
常に時代の美的価値に挑戦し、服の概念を解体し続けたデザイナー、マルタン・マルジェラ。本作は、キャリアを通して一切公の場に姿を現さず、あらゆる取材や撮影を断り続け匿名性を貫いた彼が、初めて自らの言葉でそのキャリアやクリエイティビティを余すことなく解き明かす、貴重なドキュメンタリー。
このたび、H&Mとのコラボでも話題のTOGAデザイナー古田泰子さん、AKIRA NAKAのデザイナーナカアキラさん、スタイリストの北村道子さん、島津由行さん、祐真朋樹さん、堀越絹衣さんら日本のファッション界を牽引する面々によるマルジェラ愛に満ちた絶賛コメントが到着した。
コメント(五十音順・敬称略)
有名モデルの着る有名デザイナーの服を有名人が買う――そんな商業主義を転覆したのがマルタン・マルジェラだった。顔を隠したモデルの着る不在のデザイナーの服は、いわばブランド商品の否定として市場に出されたのだ。逆説的なのは、それが最新のブランド商品となり、作者が新種のカリスマとなったことだろう。賢明なマルジェラはやがて激化するブランド競争から身を引く。メゾン マルタン マルジェラあらためメゾン マルジェラの現在のデザイナーはジョン・ガリアーノだ。
いま顔を隠したまま当時のことを淡々と語るマルジェラにルサンチマンは感じられない。
だが、彼は満足しているのか?映画の最後が物語るように、答えはおそらく「否」だ。
そしてわれわれも、顔に替わって映画の主人公を演ずる二つの手がつくりだす服をもう見られないことを心から残念に思う。
浅田彰(批評家)
ファッションというフレームでしか語らないのはあまりにも勿体ない。
タブーが常識に変わっていく瞬間を捉えた映像には息を呑まずにはいられません。
アンビバレントでフラジャイルな美しさは、虚構としてのファッションを壊し、僕達にその喜びを戻してくれました。
そして何よりマルタン自身の声が聞けるという衝撃。
片山正通(インテリアデザイナー Wonderwall(R)代表、武蔵野美術大学 教授)
理髪店で働く父のハサミから落ちていく髪たち。祖母から教えてもらったバービー人形の洋服作り。早熟で無口な少年は観察したあらゆる物を方法論として洋服のデザインに与えていた。その方法は今までの洋服に対する概念とは違っていた。それにしても彼の華麗な手先は美しく常に止まることがなく動いている。
北村道子(スタイリスト)
ファッション・デザイナーの歴史を振り返るドキュメンタリーが製作される場合、服は保存されていても過去の作品制作中の画像を発掘し、使用できる可能性は低い。しかし幸運なことに本作品で監督のライナー・ホルツェマーはデザイナー本人であるマルタン・マルジェラが自身の展覧会を準備する作業を記録することが出来た。ファッション史に残るマルタンの諸名作が如何に制作されたのか?展示準備をする本人の「手」にフォーカスして撮影することによって「再現」したのだ。
栗野宏文(ユナイテッドアローズ 上級顧問 / クリエイティブディレクション担当)
マルジェラが本当素直な人で、僕もずっと素直さという技術について研究しているつもりですが、なんか勝手に同志だと思っていたのですが、まさに、素直な人間、でした~
とにかく、すぐに古着でもいいから布を買って服を作りたくなりました。
今すぐ作りたくさせる、これが芸術家ですもんね!
坂口恭平(作家、画家、音楽家)
84年当時、ジャン=ポール・ゴルチエのアトリエに顔を出すと、まだ入りたてのマルジェラが働いていました。長身、真面目そうで「新任の先生」のような印象で、エトランジェの私に優しく繊細に語りかける言葉と笑顔は、とてもとても素敵でした。
この頃から私はパリコレの有り方に疑問を持ち始めるのですが、88年にマルジェラは、答えを出してくれたのです。レアールでのファースト・ショーは、まさしくそうで、当時、想像もしえなかったレアールの古いカフェ・ディスコで「シュールレアリズム」をテーマに異質でモダン、常識を覆したショーからアンダーグラウンドシーンが産声をあげたのです。
あの、1920年代モンパルナスのアート・シーンのように。
島津由行(スタイリスト/ファッション・ディレクター)
マルタン・マルジェラの偉業を再認識させられる作品である。
常に革命的で自らは公の場に姿を現さない。横柄とも謙虚とも取れる姿勢を貫いた彼の引退から早10年以上が過ぎた。
最後のシーンで「ファッションで全てを語れましたか」と問われた彼は、2009年の資料に眼鏡を置いて「ノー」と一言。復活への期待感が膨らんだ。
祐真朋樹(ファッションディレクター)
マルジェラに会えたのは、ほんの数回でした。僕も参加した写真展で、誰もまだ来ない時間に間違えて行った時。彼は一人でその空間にいました。映画を観て思い出した[We]でない彼の姿。今、彼が[We]でなく彼の言葉で語ってくれたことの意味は、マーケティングとsnsに奪われた自由と崇高な孤独を取り戻すためなのかもしれない。
鈴木親(写真家)
自分にとってMMM(メゾン マルタン マルジェラ)と言うレーベルは哲学や思想的なコンテクストで形作られている印象がありました。ですが、今回のフィルムによってそのイメージにマルタン・マルジェラ本人の人格がレイヤーされ、MMMが如何に彼自身を映し出したレーベルであったかと言う事に気付きました。このレーベルが時を超えて愛される理由が、彼自身の魅力に起因する事が分かり、自分自身もまた彼に深く魅了されました。
ナカアキラ(AKIRA NAKA / CREATIVE DIRECTOR)
マルタン・マルジェラとは、誰だったのか?――この誰もが知りたかった問いに対する、マルジェラとは何だったのか?という回答。掴み所のない90年代ファッションから00年代のリアル・クローズ全盛期までを貫く一つの例外的な個性の歴史。作中の批評的言説に、見た人は飽き足らないだろう。モードについて語り合う欲求を刺激される映画。
平野啓一郎(小説家)
映画はずっとマルジェラと一緒にいるような気分。
やさしくわかりやすく、ドローイングと共にマルジェラが語っていく言葉のひとつひとつが ついに大きく繋がった。
ファッションへの深い思いをこれほど直截に伝えようとしたデザイナーがいただろうか。
平山景子(ファッションディレクター)
ファッション界のマルセル・デュシャン。
彼の登場により洋服の定義が大きく変わる。
洋服屋にない洋服、1992年パリで学生だった私もコレクションを見るための列に並んだ。
最も羨ましいその強い意志。
そんな彼が初めて語る幼少期からの自分。
あぁ~、顔が見たい。
古田泰子(TOGAデザイナー)
マルタン・マルジェラの服を最初に目にしたのがアーミーのソックスを袖にしたTシャツ。とても感覚的で印象に残った。パリの小さな展示会だった気がする。
映画ではひかえめな言葉で語られるルーツや白い世界観、ネームラベルの誕生など 今まで知らなかったマルタン・マルジェラの世界と美意識、否定的な美から生まれるヨーロッパのエレガンスにひかれる。
堀越絹衣(スタイリスト)
マルタン・マルジェラのショー会場に着くと、いつも故郷に戻った子供のような気持ちになった。誰もが自分自身でいられる、自由で、創造的で、何が起こるかわからないワクワクする世界。未だかつてなくファッションの存在意義が問われる今、マルジェラの手、声、服には、その問いに対するゆるぎない答えがある。彼だけが成し得た真実が。
渡辺三津子(VOGUE JAPAN編集長)
公の場に一切登場しない。撮影・対面インタビューにも応じない。
謎の天才デザイナー、マルタン・マルジェラがついに沈黙を破る。
常に時代の美的価値に挑戦し、服の概念を解体し続けたデザイナー、マルタン・マルジェラ。キャリアを通して一切公の場に姿を現さず、あらゆる取材や撮影を断り続け、そのすべてが謎に包まれていた。しかし本作では、初めてマルジェラ本人が制作に協力。これまで一切語ることのなかったキャリアやクリエイティビティについて、そして自身に影響を与えた祖母や子供時代について、重い沈黙を破って本人の言葉でつづる、これまでにないドキュメンタリー映画となっている。
不可能とも思えたこのドキュメンタリー映画を作り上げたのは、マルジェラ同様、アントワープ王立芸術学院出身のファッションデザイナー、ドリス・ヴァン・ノッテンのドキュメンタリー映画『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』を手掛けたライナー・ホルツェマー。難攻不落と思われたマルジェラ本人の信頼を勝ち取り、「このドキュメンタリーのためだけ」「顔は写さない」という条件のもと、謎に包まれてきた“マルタン・マルジェラの素顔”を少しずつ明らかにしていく。
ドローイングや膨大なメモ、初めて自分で作った服などプライベートな記録を初公開し、ドレスメーカーだった祖母からの影響、ジャン=ポール・ゴルチエのアシスタント時代、ヒット作となった足袋ブーツの誕生、世界的ハイブランド、エルメスのデザイナーへの抜擢就任、そして51歳にして突然の引退――その全てをカメラの前でマルジェラ自身が明かしている。
型破りでエレガント、突然の引退から10年以上経った今も大きな影響力をもつ謎の天才デザイナー、マルタン・マルジェラ。なぜ、マルタン・マルジェラは評価され続けるのか?革新的、繊細で優しく、かつ大胆不敵、本質を見極め、決して妥協しない。マルジェラの創造性と仕事術、その全貌がいま、初めて明かされる。
作品タイトル:『マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”』
出演:マルタン・マルジェラ(声のみ)、ジャン=ポール・ゴルチエ、カリーヌ・ロワトフェルド、リドヴィッジ・エデルコート、キャシー・ホリン、オリヴィエ・サイヤールほか
監督・脚本・撮影:ライナー・ホルツェマー(『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』)
撮影:トゥーン・イレハム
編集:ヘルマー・ユングマン
音楽:dEUS
ドイツ、ベルギー/2019年/90分/16:9/英語、フランス語
原題:Martin Margiela: In His Own Words
日本語字幕:額賀深雪
宣伝美術:千原航
配給・宣伝:アップリンク
公式サイト:https://www.uplink.co.jp/margiela
公式Twitter:@MargielaMovieJP
公式Facebook:@MargielaMovieJP
コピーライト:(c) 2019 Reiner Holzemer Film – RTBF – Aminata Productions
9月17日(金)より全国順次公開
渋谷ホワイトシネクイント、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺ほか
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