第76回カンヌ国際映画祭 ACID部門に正式出品された映画『逃げきれた夢』(6月9日(金)公開)より、本編映像が解禁された。
本作は、映画デビューから45年を迎える光石研の12年ぶりとなる映画単独主演作。光石自身の地元でもある北九州を舞台に、人生のターニングポイントを迎えた中年男・末永周平の可笑しくも切ない日常が描かれる。
今回解禁されたのは、親子役で共演した光石と工藤遥が繰り広げる会話シーン。娘とコミュニケーションを取ろうと必死になる父親だが、まったく相手にされず、むしろ心配されてしまい、空回りする姿が、多くの父親から共感を呼びそうな場面だ。
周平の娘・由真役を務める工藤は2018年より女優として活動を開始し、2020年には『のぼる小寺さん』で映画初主演、近年はドラマ「ダブル」(WOWOW)や1月クールドラマ「ブラザー・トラップ」(TBS)に出演するなど、活躍の場を広げている注目の若手俳優の一人。
映像からは、周平が由真に「付き合っとる人とかおらんの?」と声を掛けるも、「なんなん?今日、ほんと」と怪訝そうに返事をする由真のセリフを皮切りに、どこか居心地の悪いリアルな親子の空気感が伝わってくる。「お前の彼氏に“娘さんを僕にください”ちゅ言われたら、父さんどうするっちゅ思う?」など突飛な質問を続けて娘とのコミュニケーションを試みる周平に対して、由真は真顔で父を見つめながら「気持ち悪すぎなんやけど」と冷たく言い放つ。親子の複雑な関係が浮かび上がるこのシーンは、周平の人間臭いリアルな可笑しさと切なさが見事に映し出されており、パッとしない彼の日常をありありと描き出す重要な場面となっている。
父という役作りについて、光石は「娘がいないので、20代の娘との接し方が分からない。たぶん、(娘が)いてもわからない。だから“わからない”という風にして演じていいのではないかと思っていました」と本作の演技に自然体で挑んだ様子。対する工藤は「私は普段、家族仲が良いので、由真を演じる時は自分の思い描く家族からひたすら引き算でした」と役作りの大変さを語っている。
映画『逃げきれた夢』は6月9日(金)より新宿武蔵野館、シアター・イメージフォーラムほかにて全国公開。
ストーリー
北九州で定時制高校の教頭を務める末永周平。ある日、元教え子の南が働く定食屋で、周平は支払いをせず無言で立ち去ってしまう。記憶が薄れていく症状によって、これまでのように生きられなくなってしまったようだ。待てよ、「これまで」って、そんなに素晴らしい日々だったか?妻の彰子との仲は冷え切り、一人娘の由真は、父親よりスマホ相手の方が楽しそうだ。旧友の石田との時間も、ちっとも大切にしていない。「これから」のために、「これまで」を見つめ直していく周平だが――。
作品タイトル:『逃げきれた夢』
出演:光石研
吉本実憂 工藤遥 杏花 岡本麗 光石禎弘
坂井真紀 松重豊
監督/脚本:二ノ宮隆太郎
製作総指揮:木下直哉
プロデューサー:國實瑞惠、関友彦、鈴木徳至、谷川由希子
撮影:四宮秀俊 照明:高井大樹 録音:古谷正志 美術:福島奈央花 装飾:遠藤善人
衣装:宮本まさ江 ヘアメイク:吉村英里 編集:長瀬万里 音楽:曽我部恵一 助監督:平波亘 制作担当:飯塚香織
企画:鈍牛倶楽部
製作:木下グループ
制作プロダクション:コギトワークス
映倫G DCP/カラー/スタンダード/モノラル/96分
配給:キノフィルムズ
公式サイト:nigekiretayume.jp
公式Instagram:@nigekiretayume
コピーライト:(C)2022『逃げきれた夢』フィルムパートナーズ
6月9日(金)より新宿武蔵野館、シアター・イメージフォーラムほか全国ロードショー
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