『ノマドランド』クロエ・ジャオ監督の想い、”こだわりの撮影”に迫った特別映像解禁!是枝裕和監督ら著名人のコメントも

ノマドランド

賞レースを席捲する数多くの名作を世に送り出してきたサーチライト・ピクチャーズが贈る最新作『ノマドランド』が3月26日(金)公開となる。

主演は、『スリー・ビルボード』でアカデミー賞主演女優賞受賞し、その絶対的存在感で世界を圧倒したフランシス・マクドーマンド。そして監督は、前作『ザ・ライダー』が第70回カンヌ国際映画祭の監督週間でプレミア上映されアート・シネマ賞を獲得、本作では賞レースで監督賞を総なめしている新鋭クロエ・ジャオ

なお、本作はアカデミー賞の前哨戦のひとつである第78回ゴールデン・グローブ賞で<作品賞(ドラマ部門)><監督賞(映画部門)>の主要2部門を受賞クロエ・ジャオは初の監督賞ノミネートにして初受賞の快挙を果たした。まもなくノミネートの発表を控える本年度アカデミー賞においても注目を集めている。

今回解禁された特別映像には、『最強のふたり』や『三度目の殺人』などの劇伴を担当したイタリアの巨匠ルドヴィコ・エイナウディの美しい音楽と共に、本作の舞台となったアメリカ西部の美しい光景が広がる。リーマンショックによって、突如住処を失い、やむを得なく車上で生活を送る高齢者=ノマドの過酷ながら希望にも溢れた生き様を描いた本作だが、監督を務めたクロエ・ジャオが「放浪する人々の物語を語るために必要なのは人々が放浪に魅了される理由を理解すること」と明かすように、ノマドの生き方そのものに寄り添いながら本作の製作は進められた。

本作で主人公ファーンを演じ、またプロデューサーとしても参加している名優フランシス・マクドーマンドからのオファーによって、本作の監督を務めたクロエだが、同じくプロデューサーのモリー・アッシャーは「監督が本作で描いたのはアメリカンドリーム。外国出身者ならではの鋭い視点で捉えているわ」とクロエの手腕を絶賛している。

ノマドの生き様をリアルに描くためにクロエが採用したのは『ザ・ライダー』でも行った“俳優ではない一般人を役者に起用する”ということ。ファーンを演じたマクドーマンドと、オリジナルキャラクターのノマドを演じたデヴィッド・ストラザーン以外のノマド役がすべて一般人によって演じられているが、そのひとりで劇中でファーンと友人になるノマドのリンダ役として出演したリンダ・メイは「監督はただ歩き回って、人々の振る舞いを観察し、それを完璧に捉えたわ」とクロエの表現力を賞賛している。

本映像では、リンダがファーンにノマドの生活について語る様子、また2人で自由な生活を謳歌する様子も映し出されているが、自然な掛け合いに微笑ましくなると同時に驚きも隠せないワンシーンとなっている。

「リアルな作品にするために必要なのは、登場人物を軸に、配役やロケ地を決めること。彼らの経験と彼ら個人に光を当てることよ」と自身の考えを力強く語っているクロエ。ますます期待が膨らむその全貌は、是非劇場で。

なお、そんな本作をひと足先に鑑賞した著名人から寄せられたコメントは以下の通り。

目次

コメント一覧(※順不同・敬称略)

■是枝裕和(映画監督)
終始マクドーマンドから目が離せない。いや、目を逸らすことを許されない。そこに写っているのは最早、女優ではない。演技でもない。上手い言葉が見つからない。とにかく、凄いものを見てしまった。

■今泉力哉(映画監督)
とても不思議な気持ちになった。
人間ってちっぽけなんだなと思った。
でもそれを感じることができるのも人間で。
自然の方が人間より優れてるとかじゃなくて人間も自然の一部であることを教えてくれる映画。

■ふくだももこ(映画監督・小説家)
映画は、監督が世界をどう見ているかがはっきりと映る。
クロエ・ジャオ監督の、薄暮のように嫋やかなまなざしが好きだ。
喪失を抱きしめながら車を走らせる主人公に、やさしい夜が訪れますように。

■冨永愛(モデル)
生きることは旅する事というけれど、旅する事で私達は何を探し求めているのだろうか。
生きる上で何を選択し、何を排除するのか…。
逞しくも哀しく生きる彼女に自分を重ねずにはいられない。
もし私が彼女だったら…。

■ピーター・バラカン(ブロードキャスター)
最底辺で生きる人たちの姿を淡々と、ほとんどドキュメンタリーのように描いた美しい映画です。
フランシス・マクドーマンドと聞いただけで間違いない!

■木村東吉(アウトドア・エッセイスト)
ノマドランド…そこでは様々な人生が、熱く激しく、時には優しく交錯する。
夢、希望、哀しみ、愛が、焚き火の上をかすめていく。

■早坂香須子(メイクアップアーティスト)
自分の心に正直に生きることは厳しさも伴うけれど、映画に登場するノマド達は気高く皺さえ美しい。
映像の美しさも、この時代の閉塞感の中では自由な風のようだ。

■高橋ヨーコ(写真家)
果てしのない動かぬ大地と留まらず移動するノマド達。本物のノマド達と本物の役者が演者となって語るリアルに引き込まれ(どちらも素晴らしかった!)、風景の美しさに魅了される。自由に生きていくことは簡単ではない。あのようには暮らしていけないだろうけれど、旅をしにまた、あの果てに行きたくてたまらなくなった。是非映画館のスクリーンで見て欲しい至極の一本。

■稲垣えみ子
生きるのに本当に必要なギリギリのものだけで生きる。それはこの、閉塞した現代からの唯一の脱出口なのだ。似たことをしている私にはそのことが本当に良くわかります。すべてを捨てた彼らの瞳の深い輝きを見よ。老後不安に怯えまくる現代人への魂の一撃。

■赤ペン瀧川(映画プレゼンター)
日本では知ることが難しい「ノマド」という生き方を通して見える自由と不自由。様々な人物が抱える孤独と希望を描きだす大傑作!

■町山智浩(映画評論家)
彼女は老いとともに何もかも失っていく。愛する人も、住む場所も。その代わり、新しい家を手に入れる。果てしない大地だ。

■酒井順子(エッセイスト)
経済というくびきに翻弄されるアメリカという国、そしてアメリカ人の心中に広がる“荒涼たる絶景”に、圧倒されました

■山崎まどか(コラムニスト)
今のアメリカのシステムでは救えない人々
それでも政府の介入を望まず、自分の生き方を貫こうとする人々
彼らの厳しい生活、自由と裏表の危うさ、矛盾、人生の輝きを
包み込んで、クロエ・ジャオは何という映像の叙事詩を綴ったのだろう

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