第70回カンヌ国際映画祭でも上映され話題となったソル・ギョング、イム・シワン出演の傑作ノワール『名もなき野良犬の輪舞』が、5月5日(土)より新宿武蔵野館ほか全国で順次公開され、関西では5月26日(土)よりシネ・リーブル梅田ほかで順次公開となる。
80年代の香港映画やヨーロッパ映画のような古典的でスタイリッシュな映像は既存の韓国ノワールとは一線を画すハードボイルド映画として、昨年のカンヌでの上映を皮切りに、第54回大鐘賞映画祭、第37回韓国映画評論家協会賞、第38回青龍映画賞など主要な映画賞を席巻した。
中でもソル・ギョングの演技が高い評価を得て数々の主演賞を獲得するなど、彼の最高傑作といっても過言ではない作品となっている。また共演のイム・シワンはいつもの好青年の印象とは真逆な冷酷で暴力的な男を演じるという、彼のキャリアで最大の挑戦に挑み話題を呼んだ。
その他にも『アジョシ』で強烈なインパクトを残したキム・ヒウォン、男勝りの冷酷な捜査官を演じた『王の運命-歴史を変えた8日間-』のチョン・ヘジン、また韓国映画界の重鎮で『黒く濁る村』など多くの作品で存在感を見せつけるホ・ジュノが特別出演しているのも見逃せない。
まさに、全員無慈悲な登場たちが、裏切りと復讐の雨を降らす『名もなき野良犬の輪舞』。野良犬たちの最後は映画史上に残る衝撃を与えるに違いない。
誰も信じることができない男と、そんな男を信じた青年。
獄中で生まれた確かな絆。彼らの運命の行き着く先は―。
“捜査の為に己を偽り組織に潜入する刑事”の物語は多く存在する。組織の潜入捜査官として送り込まれた刑事が自身の正体を悟られぬよう、ひっそりと組織に溶け込み、警察と組織の狭間で揺れ動く姿にハラハラさせられるストーリー展開、『インファナルアフェア』や『新しき世界』と聞いてピンと来る方には是非この映画を観ていただきたい。
本作は前述の作品と同様、若き刑事ヒョンス(イム・シワン)がジェホ(ソル・ギョング)が所属する疑惑の組織に潜入捜査官として潜り込む姿を描く。しかし、本作で描かれるのは、潜入捜査の緊張感や駆け引きだけではない。本作が前述した潜入映画と大きく異なるのは、潜入捜査官であるヒョンスが標的である組織の幹部であるジェホに正体をバラした上でストーリーが展開していくという点だ。
本来であれば潜入捜査官の正体がバレること=死を意味するが、ジェホはヒョンスの正体を知った上で自分のそばに彼を置き、組織の乗っ取りを画策する。中年のヤクザと野心溢れる青年という年齢・地位の全く異なる二人が手を組む展開は、ブロマンス的な、所謂バディ映画が好きな人には堪らない展開なのではないだろうか。
独特のカメラワークと俳優人の機敏でダイナミックなアクションを楽しめるシーンも勿論あり、刑務所内や波止場の倉庫、廃屋で繰り広げられる泥臭い乱闘は圧巻そのもの。勇ましい男達が殴りあう様にも是非注目して頂きたい。
親子の絆、兄弟の絆、それと同等ながらも大きく歪んだ絆を育む二人。しかしここでふと気付く。“誰も信じられない男”は他人を信じぬが故に“どうすれば他人が自分を信用するか”それも熟知しているのだと。重厚なアクションとシリアスなドラマが見事に混ざり合った本作。筆者としては、ワンシーンずつ記憶に刻んでラストの余韻を感じて頂きたい。
ストーリー
もう、俺を信じろとは言わない。だが、俺はあんたを信じてる―。
犯罪組織でナンバー1に成り上がるという野望を持つ受刑者のジェホ(ソル・ギョング)は、刑務所へ入所してきた野心的な新入りヒョンス(イム・シワン)と出会う。
ジェホはこれまでの人生で一度も他人を信じたことはなかったが、ヒョンスが奇襲からジェホを救って以降、二人はお互いに信頼しあい、一緒に働くことを誓う。出所後、彼らはチームを組んで犯罪組織を乗っ取ろうとするが、次第にそれぞれの秘めた動機が現れ始める。彼らの信頼の下に潜む真実が姿を現すとき、二人の関係は哀しみのものへと変わっていく。
作品タイトル:『名もなき野良犬の輪舞』
出演:ソル・ギョング『シルミド SILMIDO』 イム・シワン『弁護人』 チョン・ヘジン『王の運命―歴史を変えた八日間―』 キム・ヒウォン『アジョシ』 イ・ギョンヨン『ベルリンファイル』
監督:ビョン・ソンヒョン『マイPSパートナー』
2017年/韓国映画/120分/カラー/シネスコ/5.1chデジタル/字幕翻訳:石井 絹香/原題:불한당: 나쁜 놈들의 세상/提供:ツイン、Hulu/
PG12
配給:ツイン
公式サイト:http://norainu-movie.com/index2.html
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5月26日(土)シネ・リーブル梅田ほか順次ロードショー