『PERFECT DAYS』映画初出演の中野有紗&ヴェンダースが一目惚れした柄本時生の特別映像解禁! ―公開中

PERFECT DAYS

ヴィム・ヴェンダース監督が役所広司を主演に迎え、東京・渋谷の公共トイレ清掃員の日々を描いた『PERFECT DAYS』(公開中)より、特別映像が解禁された。

『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』など、数々の傑作を世に送り出し続けてきたヴィム・ヴェンダース。彼が日本の公共トイレのなかに small sanctuaries of peace and dignity(平穏と高貴さをあわせもった、ささやかで神聖な場所)を見出し、清掃員の平山という男の日々の小さな揺らぎを丁寧に追いながら紡いた本作は、第76回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞したことを皮切りに、第50回テルライド映画祭、第48回トロント国際映画祭、第71回サンセバスチャン映画祭、第60回台北金馬映画祭と名だたる映画祭に招待され、第36回東京国際映画祭ではオープニング作品として大きな話題を呼んだ。

また、米国アカデミー賞国際長編映画賞・日本代表に選ばれ、ショートリストにも選出。第96回アカデミー賞へのコマをひとつ進め、本選ノミネート、そして受賞への期待が高まっている。

東京渋谷の公衆トイレの清掃員、平山(役所広司)は押上の古いアパートで一人暮らしている。その日々はきわめて規則正しく、同じことの繰り返しのなかに身を置いているように見えた。
今回解禁されたのは、そんな平山の前に現れる2人のキャラクター、姪のニコ(中野有紗)、そして平山に遠慮なく“絡んで”いく、同僚のタカシ(柄本時生)の特別映像だ。

「おじさん」。平山のアパートを訪ねてきたのは、家出をしてきた姪だった。おどろいて「ニコ?」と尋ねる。夕暮れの中並んで自転車を漕ぐ。ニコは緩やかに流れる川を見つめて、「ここ、ずっと行ったら海?行く?」と独り言のように呟いたので、「今度ね」と答えた。「今度っていつ?」と笑顔を向けられる。そしてシーンは変わり、車の中でニコと話しながら、心からの笑顔が溢れ出した。じぶんがこんな顔をするなんて。そしてまた、同じようでありながら同じではない1日がはじまる。

ニコを演じた中野は映画初出演となる。平山の前に久しぶりに現れる姪という、どこか思春期独特の雰囲気のあるキャスティングが必要だったと、共同脚本・プロデュースの高崎は語る。カンヌ映画祭では、2,300人以上を収容できる会場にて、約10分に渡るスタンディングオベーションに、「どういう反応がくるのかなと不安だったけど、きっと感じるものがあるんじゃないかという望みはあった。拍手と喝采を感じた時にそれが確信に変わりました」と堂々とコメントを残した中野。映画初出演でありながら、世界的映画監督のヴィム・ヴェンダースと、役所をはじめ錚々たるキャストに囲まれながらも、ニコという役を瑞々しく演じ切った。

PERFECT DAYS

一方、平山の同僚タカシからは、「平山さんって、結婚していないすよね?その歳でひとりで寂しくないんすか」と遠慮がない言葉を投げかけられる。「金がないと恋もできないなんて、なんなんすか俺」下北沢の中古レコード店でカセットテープを手に、タカシが不満を吐き出す。なぜか嫌いになれない男だ。そして、同じようにまた1日が始まり、夜が開ける前の空を見上げるのだった。

平山の同僚、タカシを演じた柄本は、高崎がベルリンで柄本の写真をヴェンダースに見せたことをきっかけに決定した。平山と対照的でチャランポランな男がいいと話し合いながら、写真の柄本を見て、「タカシがいた!」と嬉しそうにヴェンダースが叫んだという。東京国際映画祭のオープニングでは、監督とキャストと和やかに登場した柄本。「(タカシは)分かりやすく、憎めない人間性がある。僕はそれをどう見つけられるかなと思いながら、楽しく演じさせていただきました」と振り返り、ヴェンダース作品に出演した喜びを語っていた。

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