「私の作品のほとんどは、秘密裏に製作されたもの」ラスロフ監督インタビュー映像公開『聖なるイチジクの種』

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第77回カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞し、先日発表された第97回アカデミー賞では国際長編映画賞にノミネートされた映画『聖なるイチジクの種』(2月14日(金)公開)より、モハマド・ラスロフ監督のインタビュー映像が公開された。

2022年に実際に起き社会問題となった、ある若い女性の不審死に対する市民による政府抗議運動が苛烈するイランを背景に、家庭内で消えた一丁の<銃>を巡って家族も知らない家族の顔が炙り出されていくサスペンススリラー。

国家公務に従事する一家の主・イマンは20年間にわたる勤勉さと愛国心を買われ夢にまで見た予審判事に昇進。しかし業務は、反政府デモ逮捕者に不当な刑罰を課すための国家の下働きだった。報復の危険が付きまとうため国から家族を守る護身用の銃が支給される。しかしある日、家庭内から銃が消えた。最初はイマンの不始末による紛失だと思われたが、次第に疑いの目は、妻・ナジメ、姉のレズワン、妹・サナの3人に向けられる。誰が?何のために?捜索が進むにつれ互いの疑心暗鬼が家庭を支配する。そして家族さえ知らないそれぞれの疑惑が交錯するとき、物語は予想不能に壮絶に狂いだす―。

「私の作品のほとんどは、秘密裏に製作されたもの」―検閲に捉われない自由な映画作りへの願いと、そのビジョンに共感する人集めがいかに困難なものかを語るラスロフ監督。本作でも、逮捕される危険に晒されながらも、長年イラン映画界に影を落としてきた大きなタブーを打ち破るために「勇敢な女性たちがヒジャーブなしでカメラの前に立った」こと、それは常にスタッフたちと共に裏ルートを辿りながら、物語を進めるために打開策を見出してきたことを明かし、本作が無事生み出されたことは「奇跡」だったと振り返る。

だが、もちろん、全てがうまく行ったわけではない。「いま彼ら(スタッフや俳優)はプレッシャーをかけられ、訴訟を起こされています。それでも彼らがこのプロジェクトに参加したことを後悔していると聞いたことはありません」とともに闘った同士への想いを語る。

冒頭の本編映像は、父親の昇進を祝う席で、母親が娘たちに今後のたち振る舞いを説くワンシーン。「ヒジャブは必須よ」「SNSへの写真投稿は禁止」「常に清廉潔白でいること」「少しでも隙を見せれば、すぐ糾弾される」「態度も服装も、出かける場所も気をつけて」―自由に生き、暮らすことがままならない未来を悲観するような少女たちの表情を捉えている。

『聖なるイチジクの種』
出演:ミシャク・ザラ、ソヘイラ・ゴレスターニ、マフサ・ロスタミ、セターレ・マレキ
監督・脚本:モハマド・ラスロフ
2024年/フランス・ドイツ・イラン/167分
配給:ギャガ
(C)Films Boutique

公式サイト:https://gaga.ne.jp/sacredfig/
公式X:https://x.com/sacredfig_movie

2月14日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開

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