
小雪が主演を務める映画『桜色の風が咲く』(11月4日(金)公開)の本編シーン映像が解禁された。また、日本語字幕付きバリアフリー予告編が完成し、バリアフリー上映の詳細も決定した。
9歳で失明、18歳で聴力を失いながらも世界で初めて盲ろう者の大学教授となり、東京大学の教授として教鞭をとっている福島智氏。2003年TIME誌による「アジアの英雄」に選出され、現在は、東京大学先端科学技術研究センターバリアフリー分野教授を務める福島氏の幼少期から大学受験までの姿を描く。主演の小雪は、12年ぶりの主演となる本作で、困難に立ち向かう福島氏の母・令子を演じる。
ひとつひとつ困難を乗り越えながら人生の可能性を広げていく二人の勇気が、観る者の心を生きる歓びで満たす本作は、令子が盲ろう者である智との日常の中から考案し、リアルタイムで言葉を伝える新たなコミュニケーションの手段“指点字”の誕生に至る、知られざる物語でもある。
今回、解禁となる本編シーン映像は、3歳の時に右目を失明しながらもやんちゃで明るい智だったが、徐々に左目の状態も悪くなり、小学校に行くことを医者から止められて「ああ暇や~学校行きたいなぁ」と母に文句を言う場面から始まる。「先生に言われたでしょ、目が治ったら行けるから今は我慢」と言い聞かせ、目の負担になるTVも禁じる母に、智は仕方ないとばかりに「ラジオはええ?目ぇ使わんし」と落語を聞いてみるなど、持前の好奇心は健在。
そして台所で料理をする母のそばでは、クレヨンで絵を描きながら物語を作り出す。「川上からかわいい靴が流れてきました。少し経ってからキュウリも流れてきました。キュウリは靴を見つけて“やれやれこれで一休みできる”と喜んで靴の中に入りました。でも靴は小さくて、キュウクツ、キュウクツといいました」と話す智。
するとその声に続けて、「今度はタイが流れてきました。タイも靴の中に入りたくなりました。入ってしばらくすると“タイクツ、タイクツ”と言いました」と母・令子がにこやかに続ける。それを聞いた智も「タイと靴でタイクツやな~タイクツ タイクツ 僕はタイクツ」と返し、母子でユーモアを忘れずに日常を過ごしていた。
一方で智の左目の病状は悪化し、病院では「眼圧の高い状態が続いていて危険です、すぐに入院したほうがいいでしょう」と診断を受けてしまう。そして「万が一のことも、覚悟してください」という医者の言葉に戸惑う表情を垣間見せながらも、気丈に振る舞う母親の姿を小雪が繊細に演じ、観る者の胸に迫るシーンとなっている。本作の脚本を読むなり出演を熱望した小雪の凛として強く、大らかな母を体現する圧倒的な存在感に注目だ。なお、今回の本編シーンは、バリアフリー版(日本語字幕付き)の映像で解禁となる。
また本編シーンのあとには、今回あわせて解禁される本作の予告編に日本語の字幕をつけたバリアフリー予告編が続く。邦画の予告編に字幕を付ける形での紹介は珍しく、本作では新たな試みとして作成を決定。本作の公式サイトでも、バリアフリー日本語字幕付きと合わせて音声ガイドが作成され、2種類の予告編が公開となる。
劇場でのバリアフリー上映に関して
障害を持つ方々が、健常者と同じように楽しめる環境を整え上映できるよう、本作の上映が予定されている全国の映画館の協力のもと、通常の作品より日本語字幕付き上映の期間が長く設定され(※1)、上映劇場では、公開初日から少なくとも1週間、連日1回以上の上映が予定されている。また、上映劇場すべての回でアプリ UDCast(※2)を使用した日本語字幕、音声ガイドで鑑賞することができる。
そして、本作では「盲ろう者用シナリオテキスト」、「点字シナリオテキスト」も制作され、公式HPからの配布が予定されている。
★バリアフリー上映の詳細は映画公式サイト 劇場情報にてご確認ください。
https://eigakan.org/theaterpage/schedule.php?t=sakurairo
※1:日本語字幕付き上映とは
上映中の画面にセリフ、人物の名前、環境音等の音情報を字幕で表示している上映のこと。
※2:UDCastとは
映画の「音声」をスマートフォン等の携帯端末のマイクが拾うことで、その端末を通じて、字幕や音声ガイド再生等を行うことのできるアプリケーション。UDCastの日本語字幕は専用メガネやタブレット端末に日本語字幕を表示させて上映を楽しむことが可能。UDCastの音声ガイドでは視覚で伝わる情報を音声によるガイドをスマートフォン等の携帯端末をイヤフォンで接続して聞く事で、楽しむことができる。
ストーリー
見えない。聞こえない。でも僕は“考える”ことができる――。
母と息子が見出していく希望に満ちた未来。
教師の夫、三人の息子とともに関西の町で暮らす令子。末っ子の智は幼少時に視力を失いながらも、家族の愛に包まれて天真爛漫に育つ。やがて令子の心配をよそに東京の盲学校で高校生活を謳歌。だが18歳のときに聴力も失う…。暗闇と無音の宇宙空間に放り出されたような孤独にある息子に立ち上がるきっかけを与えたのは、令子が彼との日常から見出した、“指点字”という新たなコミュニケーションの“手段”だった。勇気をもって困難を乗り越えていく母子の行く手には、希望に満ちた未来が広がっていく…。
作品タイトル:『桜色の風が咲く』
出演:小雪
田中偉登 吉沢悠 吉田美佳子 山崎竜太郎 札内幸太 井上肇 朝倉あき / リリー・フランキー
製作総指揮・プロデューサー:結城崇史
監督:松本准平
脚本:横幕智裕
音楽:小瀬村晶
協力:福島令子 福島智
エンディング曲:辻井伸行「ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 作品13 《悲愴》 II. ADAGIO CANTABILE」
製作:スローネ、キャラバンピクチャーズ
制作:THRONE INC./KARAVAN PICTURES PTE LTD
助成:文化庁文化芸術振興費補助金
製作国:日本/日本語/2022/ビスタ/5.1Ch/113分/英題:“A Mother’s Touch”
配給:ギャガ
公式サイト:gaga.ne.jp/sakurairo
公式Twitter:@sakurairo114
コピーライト:(C)THRONE / KARAVAN Pictures
11/4(金)シネスイッチ銀座、ユーロスペース、新宿ピカデリー他全国順次ロードショー
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